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第7話 レント将軍



 名を名乗った魔王は天に向かって雄たけびをあげた。

 それを聞いた兵士たちはその声だけで恐怖に飲まれ、姿が見えていたものは腰が抜けてしまったものもいるほどだ。


 ルシフ。レント将軍はその名に覚えがあった。

 ドラゴンが出現した直後に王国に現れたという謎の冒険者のうちの一人だ。

 たしか二人組で、駆け出しの冒険者を短期間で鍛え上げ、さらには妖しい秘術までを授けたという噂で、帝国ではその秘密を聞きだすために駆け出しの冒険者を捕まえるという作戦がたてられたと聞いている。

 レントにはそんな都合のいい訓練や秘術が存在するものかと思ったものの、万が一そんなものがあってそれを使うことができれば、帝国の武力をさらにあげることができると期待はせずに丸投げにしていた案件だ。

 現在その作戦がどうなっているのかは知らないが、このタイミングを考えると偶然とは思えない。

 なにか情報を引き出すべきかと考え、レントが口を開こうとしたその時。


 天空から赤い光が放たれ、北門を城壁ごと爆砕した。

 黒雲の中から赤い光を放ったそれは、巨大な真っ赤なドラゴンであった。


 その後は地獄であった。

 ドラゴンが口を開くたびに街ごと兵は焼かれていき、崩れた北門からなだれ込んでくる闇の兵士たちには帝国の兵士たちでは歯がたたず、なすすべもなく逃げ回っていた。

 虎の子の竜騎士ですら巨大なドラゴンにはただの羽虫のような存在でしかない。


 悪魔はゆっくりと街を歩き、城に向かっているようだった。

 レントはなんとかドラゴンの火から逃れながら城に向かって駆ける。

 もはや撃退など不可能。あれは人の勝てる相手ではないのだ。

 なんとかして皇帝陛下だけでも逃がせないか。そう考えやっと着いた城は、静寂に包まれていた。


 城の中に入ると、あちこちで兵や文官が倒れている。

 警戒しながら皇帝を探しながら廊下を進んでいると、この場に不釣り合いなドレスを着た妖艶な女性が歩いてきた。


「帝国の者…ではないな?何者だ?」


「ウフフ、私は魔王様の忠臣、グリシーヌ。質問してもいいかしら?」


「答える義理はないが、言ってみるがいい。」


「アウグスト王国から連れてきた冒険者について、あなたはなにか知っているかしら?」


「…冒険者から話を聞くために、王国から連れてくるという作戦があったのは知っている。やはり、今回の件はそれと関係が…?」


 その時甘い匂いが漂ってきたと思ったら急に息ができなくなった。

 グリシーヌの目が妖しく光っている。レントは地面に倒れて血を吐き出し、その時になってようやく毒に侵されていることに気づいた。

 倒れたレントにすでに興味がないグリシーヌは、死の香りをばらまきながら廊下を歩いて行った。



 ルシフは城にたどり着くと人の姿にもどり、グリシーヌの案内で城の中に入る。

 ロイたちが連れて来られた理由やその後をグリシーヌから聞きながら、地下に降りる階段を降りる。


 どうやらロイたちは強くなったことで注目を浴び、帝国の密偵に目をつけられ監視されている間にアイテムボックスや職業などについて話しているのを聞かれてしまい、ルシフたちが呼んでいるからと帝国へと連れてこられたらしい。

 その後はなかなか話をしない三人についには仲間の目の前で一人ずつ毒薬を飲ませ、話せば解毒剤を使ってやると脅されたようだ。


 結局誰もルシフのことについてなにも話さなかったようで、ニーナの亡骸だけはルシフとの交渉に役に立つかもと氷漬けにされたが、ロイとウィルに至ってはすでに焼かれてしまったそうだ。


 地下の一室に入ると、そこには壁から伸びた何本もの鎖と、倒れた椅子がいくつか転がっていた。そして部屋の真ん中に、棺で眠るように氷の中で眠るニーナがいた。





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