第4話
世界各地に諜報部隊を送り出してから一か月。
情報は日々集まっているが、この世界は思ったよりも広いようでこれだけ時間をかけてもまだまだ地図は完成せず、国の情勢などはおおまかにしかわかっていない。
それでもいくらかのことは判明した。
世界には様々な国が存在しており、そのどれもが領土拡大や人種差別、飢えや貧困、あるいはモンスターの脅威などの問題をかかえているようだ。
西の大陸には大きくわけて四つの国があった。
大陸を東西に流れる大河リーフェの北側をアウグスト王国とグラストン帝国が山脈を隔てて東西に二分し、南側にはいくつもの都市国家の連合国とそのさらに南に聖国がある。
東の大陸には様々な亜人がそれぞれ国を作っており、世界樹イグドラシルを守るエルフの王国、獣人たちの暮らす獣国、鉱山に住むドワーフの国、海辺で暮らす魚人族の国などがあった。
闇の島の南にあるというモンスターが住む大陸はかなりの広さがあり、内部はまさに弱肉強食の世界であった。
情報の他にもわかったことがある。
連絡の手段をほぼルシフとラミリリスの転移魔法に頼るしかなかったために、細やかな連絡のやりとりができず、いろいろと問題が発生した。
近くにいさえすればルシフは召喚したモンスターに命令することはできたが、あまりに遠くにいってしまうとなんとなく存在を感じられる程度の認識しかもてなかった。
そのため効率的な連絡手段の確立を話し合っていた時にふと、プレイヤーたちが使っていた“音声チャット”と“メール”というものを使っていたことを思い出したのだ。
プレイヤーがよく使っていた音声チャットはパーティーを組んでいればどこにいても声が聞こえるというものだったはずなので、システムとしてもパーティー昨日が失われているこの世界では使えないかとも思ったが、いろいろ試してみた結果1:1という機能があり、特定の相手をイメージして音声チャットを使用すると、その相手と会話できるというものだった。
メールの方も問題なく使用でき、メールを使用して頭の中で文章を書くと特定の相手に手紙のように届けることができるようだ。
どちらも非常に便利な機能であり、なぜもっと早くに気づかなかったのかと全員でショックを受けたものだ。
その後は情報の伝達が素早く的確にできるようになり、格段に正確でスピーディーな情報収集が可能になったのである。
(この調子なら俺のやることもほとんどないし、任せても大丈夫だろう。さてどうするか。場所が判明している高難易度ダンジョンにでものりこみダンジョンボスに話でも聞いて回るか?)
高難易度のボスはレベルも高く、召喚したモンスターなどでは深層まで探索できないのであと回しにしている。
クロードのように2000年前を知り、なにか知っている者もいるかもしれない。
(ああ、それか久しぶりにロイたち三人でも見に行くか。もうAランクくらいにはなっているかもしれないな。)
集めた情報によると、この世界の亜人を含む人族のレベルは低い。
それはそうだろう。プレイヤーと違い一度死ねば本当にこの世界から消えてしまうし、レベルをあげるための生活をしているわけではない。
稀にSランク冒険者のような一握りの者に多少レベルの高いものもいるようだが、それでも100レベルなど遠く及ばない。
(せっかくだから音声チャットでも使っておどろかせてみるか。これも教えておいた方が後々役に立つかもしれん。)
そう思ってルシフはなんとなく自分に会いたがっているような気がして、ニーナを思い浮かべながら音声チャットを送った、はずなのだが…。
(なに?音声チャットが届かない?今まで試した限りでは特に使用条件などはなかったはずだが…。)
そう思いながらロイとウィルにも同じように試してみるが、同様に音声チャットは送れなかった。
(なにか気づいていない条件があるのか?…調べてみる必要があるか。)
そう考え、ラミリリスに「少しでてくる。」と声をかけてからハルディスに転移した。




