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第16話



 そんな調子でダークソルジャーを倒し始めた一日目の終わりにはロイが42、ウィルが41、ニーナが45になっていた。

 二日目も同じ調子でやり始め、昼には三人とも少し余裕が出てきたようだ。そんな中ニーナが、「なんか魔法も使えそうです。」と言ってきた。


 魔法を使うのに杖が必須というわけではないが、どうせ片手が開いているので宝物庫でスタッフを探しだす。その時ふと一振りの剣に目が留まった。


(どうせならこれも試してみるか。)


 平野に戻りニーナにスタッフを渡して「試しに魔法を使ってみろ。」というと、ニーナはダークソルジャーに向けて「うーん」と唸ってしばらく考えるそぶりをした後、ニーナの握る杖の先から眩い光が飛び出たかと思うと一体のダークソルジャーに当たって爆発した。

 その爆発は周りのダークソルジャーも巻き込み、数体のダークソルジャーを一撃で闇に還した。


「わー!魔法ってすごいですね!」


 三人ともわかっていないようだが、明らかに今のニーナのレベルで放てる威力の魔法ではないはずだが、スタッフの魔法攻撃力が上乗せされ、さらには勇者の職業補正がかかっていることを思えば予想の範囲内だった。


「次はこれを使ってみないか?」


 そう言って取り出したのは、刀身の長い輝く太刀“天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)”である。


「これって、ルシフさんが使っている刀ですか?」


 バジリスク討伐の時に使っていた魔剣闇纏と形が似ているためそう思ったのだろう。


「いや、あれとは違うが、まぁ似たようなものだ。」


「ルシフさんが使っているのを見て、いいなぁって思ってたんです!ぜひ貸して下さい!」


 ニーナに渡すと、一瞬驚いた顔をして「この刀、すごいです。」と呟いていた。

ダークソルジャーに向かって駆け出すと素早く切りつける。ルシフの強化された目には実際に切られるよりも早くダークソルジャーにダメージが入ったように見えた。

 一撃でダークソルジャーを倒したニーナは、刀を凝視していた。

 ルシフの後ろからガレアスも鋭い目を向けているのがわかった。


 “天叢(あまの)雲剣(むらくものつるぎ)”は魔王にとどめを刺した者に贈られるはずだった神話級をも超える剣である。

 神々でさえも新たに創ることができないとされるそれは、この世界に三つしかない神器と呼ばれるもののうちの一つ。

 ちなみに後のふたつの行方は不明だ。


「ニーナはこれからダークソルジャーではなくダークナイトを相手にしろ。」



 ニーナは相手がダークナイトに変わっても問題なく戦えていた。というか一撃で倒している。完全に武器の性能のおかげだが、攻撃力があがろうと回避力が上がるわけではないので、攻撃を避けるのには必死になっているように見える。

 もちろん当てないように命じてあるので心配はいらないが、そんなことニーナは知らないので20レベル以上も格上の相手の一撃には相当な危険を感じるようだ。


 二日目の夕方の三人のレベルはロイとウィルが48、ニーナが59になっていた。


 三日目には三人にも徐々に余裕が見えるようになった。

 ダークソルジャーとダークナイトには徐々に攻撃の速度を速めていくよう、むしろ少しかするくらいの攻撃をするように命じていた。


 三日目の夕方にはモンスターは全て倒し切り、ロイとウィルが54、ニーナが67まであがっていた。

 ニーナのレベルアップが異常に早いが、ロイとウィルだって常識からすればありえない速さだ。


 ルシフが狙ってやったことだが、三人が強くなるのに合わせてモンスターの強さもあげるよう命じていたので、おそらく三人とも自分が強くなった自覚はそんなにないだろう。


 このまま三人を強くするのも面白そうだが、ひとまずはこのくらいにするかとルシフは思う。

 レベルアップさせるだけならやり方がないわけではないが、実戦経験を積ませることも考慮すればこれからのレベルアップは少し時間がかかるだろう。

 それこそ冒険者ギルドで依頼をこなし、モンスターの種類や対処法などの知識の獲得、レベルに見合った装備の入手などができてからの方が三人のためにはいいだろう。


「ひとまずレベル上げはここまでにする。明日からは三人で依頼を受け、知識や装備を充実させろ。」


「わかりました。レベルあげを手伝っていただいてありがとうございました!」


 そういうロイとウィルに、ニーナだけが「一緒に行ってくれないんですか?」と文句を言った。

 だんだんルシフに遠慮がなくなってきている気がする。


「機会があれば、な。それと、そうだな、Sランク冒険者になれたらその時はまたレベルあげを手伝ってやる。」


 ニヤリと笑うルシフに三人は絶望的な顔をする。


「Sランク…英雄の領域だよ。僕らなんかになれるのかな…。」


 不安そうにウィルが言うが、おそらく今の三人ならそう難しくないのではないだろうか。


「楽しみにしているぞ?」


 そう笑いながら三人をハルディスの街まで送りとどけ、ルシフは玉座の間へ帰還した。




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