第14話
昼からの戦いは午前中とはずいぶん変化していた。
ロイが聖騎士の職業を獲得したために斬撃自体に聖属性が上乗せされたようで、一撃でスケルトンを倒せるようになり、ウィルは手持ちの矢が尽きてからは回収しながら戦っていたがそのうち短剣で接近戦をするようになり、ニーナもレベルアップによるMP全回復の頻度が下がったためにMP切れを頻発し、ついにはメイスで殴りこんでいた。
ウィルもニーナもロイのように一撃ではなかったが二撃入ればキル確定だったので殲滅速度はそこまで遅くはない。レベルがあがったタイミングではニーナは【小回復】をひたすら連発していたので、殲滅速度で言えばウィルが少し遅れを取る感じだが、三人とも基本ステータスが上昇したことで回避に危なげがなく、安心して見ていられるようになってきていた。
実はルシフは徐々にスケルトンに攻撃の速度や手数を増やすように命じでいたのだが、三人は問題なく対応できているようだ。
しかしレベルアップの頻度が極端に下がったことで疲労が溜まりやすくなったようなので、昼から休憩をはさみ3時間ほどの戦闘で今日はやめることにした。
「いったん装備は返してもらおう。いったん街のそばまで送るので、また明日の朝に大門の前に集合だ。」
「わかりました!ほんとにいろいろありがとうございます!」
嬉しそうに感謝を口にする三人から装備を受け取り、街のそばの森の中に転移する。
「では、また明日。」
「はい!また明日!」
そう言って元気に街に向かって行った。
「さて、戻るか。」
「はい、魔王様」
三人を見送ったルシフとガレアスは玉座の間に転移で戻る。
そこにはすでにラミリリスと竜王たちがそろっていた。
「おかえりなさいませ、魔王様。」
「ああ。なかなか面白い結果になったぞ。」
そう言ってルシフは今日の実験の説明をした。
「まず、この世界にもレベルやステータスというシステムが機能していることが確認できた。そしてどうやら職業についてもプレイヤーと同じように、自身の意志で選択できるようだ。レベルアップの仕組みについてもプレイヤーたちと同様にモンスターを倒すことにより経験値を獲得できるようだ。」
「それはつまり、この世界の人族全てがプレイヤーと同じ存在になったということなのかしら?」
グリシーヌがそう言うが、少し違う気がする。
「いや、プレイヤーと違い人族は死んだら終わりだ。全く同じというわけではないのだろう。」
そう言ってみんなで様々な可能性について話し合い、夜が明ける前に再びルシフとガレアスはロイたちを迎えにアウグスト王国に転移した。
三人と合流し大門をくぐるとき、門番の兵士がロイたち三人を二度見していた。確かに昨日一日でだいぶ戦い慣れしたというか、存在感が増した気がしないでもない。
昨日と同じ流れで闇の島の平野まで転移すると、三人は昨日あんなに怖がっていたスケルトンを獲物を見る目で見つめていた。
昨日と同じ武具を渡すと三人は素早く装備し、顔を見合わせて頷いた。
今日は最初からウィルは弓を持っておらず、ニーナも殴りこむ気満々だ。
昼休憩の時にはスケルトンの数も残り少なくなっていた。
「最初は絶対無理って思ったけど、今となっては物足りないくらいですね。」
そんなことをロイが言うが実際ロイは常に一撃でスケルトンを倒しているし、余裕があるのだろう。
「僕は今くらいがちょうどいいかもしれないなぁ。うーん、やっぱり職業がなぁ…。」
ウィルは職業についてかなり悩んでいるようだ。
「あ、あたしもだいぶ強くなりましたよ!スケルトンなんて余裕です!この調子でいけばルシフさんだってきっと倒せちゃいますよ?」
ニーナが笑いながら冗談を言ってくる。
「あぁ、いつでも相手になるぞ?そうだな、俺に一撃入れれたらなんでも願いを叶えてやろう。」
ニヤリと、いつもより楽し気にルシフは笑う。
(うむ、やはり挑戦者がいたほうが楽しいだろうしな。)
「言いましたね!?一撃どころかほんとに倒しちゃうんですから!」
ニーナもそう言って笑い合う。
「さて、次でスケルトンは全て殲滅できるだろう。三人ともここからはその装備なしでやってみろ。」
「え、どうしてですか?」
「おそらくわかっていないだろうが、今までらくにスケルトンを倒せていたのはその装備の性能が大きい。確かにレベルがあがってステータスはあがったが、本来こんなに余裕ある戦いができるほどではない。このまま勘違いしていると実践で痛い目を見る可能性があるからな。」
「なるほど、そういうことですか。わかりました。」
そういうと三人は貸していた装備をはずし、もともとの自分の武器を取り出した。
「え?あ、あれ?」
準備ができたように見えたが、ニーナがなぜか奇声をあげた。
「どうかしたか?」
「えっと…なんか職業に“勇者”っていうのが増えてるんですけど…。」
「なんだって?」




