プロローグ
拙い文章・設定ですがよろしくお願いします。
『もう一つの世界』
2034年に日本中で大ヒットした世界初のVRMMO。
もう一つの現実世界のような、という意味でつけられたその世界は、おおまかなメインストーリーはあるものの、ほぼ全てをAIに管理されていた。
ネット上から膨大な量の過去の歴史や伝承、あるいは小説や図鑑などのあらゆるデータを収集し、その情報を元に新しいクエスト、ダンジョンやモンスター、さらには町やマップの増設までをAIが行っていたのだ。
ゲームが好きならハマらない訳などなく、サービス開始からほどなくして他に並ぶものなしと言われるほどの人気を博した。
そのゲーム内容は戦闘だけではなく、例えば建築というジャンルでは小屋からギルド専用のダンジョンまでを造れたし、鍛冶師を極めたプレイヤーは神々が造ったものしか存在しないと言われる伝説級の装備までを制作できるほどの自由性があった。
プレイヤーの誰もが未知のダンジョン、伝説の装備、最強のスキルを求めて遊びつくした。
プレイヤーがやりこめばやりこむほど進化していく世界に、果てはないと、誰もが思ったことであっただろう。
実際、マップに果てはなかったのかもしれないが、ゲームの人気も、時代の流れにはついに敗れる時が訪れた。
最盛期にはいつまでも続くと思われた『もう一つの世界』は、2046年に登場した五感までを再現できるという謳い文句の最新型のゲームが登場して以来、プレイ人数は徐々に減り、それから2年と待たずにサービス終了した。
それでも長年このゲームを遊んでいたプレイヤーたちは充分に楽しい時間を過ごしたし、少しの寂しさと、感謝の気持ちをもってゲームをアンインストールした。
ここまでプレイヤーを楽しませたゲームは今までになかったと、やり切った、と満足して辞めていったのだ。
ただし、メインストーリーは未攻略のままだった…。