もう一人の自分
控えめにしてますが、ちょっとグロイです。
読みたくない方は避けてください。
僕は今、猛烈に困っている。
「ぐへへへ。こりゃあ上玉が手に入りそうだ。」
「兄貴、ちょっとの間遊んで暮らせますぜ。」
「クククク。」
何だこのおったさんたちキモい。そう、俺は森の中で絶賛襲われ中なのだ!
やっぱここ日本じゃないよなぁ。
謎の場所で初めに会う人がこの人たちとか、俺どんだけ付いてないんだろう。俺は極度の人見知りである。しかしそれは対人恐怖症というわけではない。ただ喋れなくなるだけだ。もともと、無口な方だしな。
「おい、こいつ何にもしゃべらねぇぜ。」
「ぐへへへ怖くて声も出ねえか。」
「クククク。」
言わせておけば腹の立つ奴らだ。
突然、俺は彼らに向かって全力で駆け出した。
え!?ちょっと待って。
体が勝手に〜。
俺はおじさんたちに腰につけていた短刀で斬りかかる。その動作には迷いがなく、1人のおじさんの腹を切った。
さ、殺人!?
俺どうしちゃったんだ。嫌だ嫌だ嫌だ。こんなの俺じゃない。
パニックに陥りそうになったその時、後ろから切りつけられた。
「うがっ、あああああ!」
痛い、痛い、痛い!日本で平和に生活していた俺には耐えられない。
しかし、俺の体はひるまなかった。切りつけたおじさんが少し安心した瞬間に短刀をその人の腹に刺す。
残り1人にも使っていなかった短刀で切り掛かり、相手が倒れた。
「こんなの俺じゃない。」
遠のく意識の中でそう、呟いた。