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東雲曙⑨

更新だおらん!


最後の展開だけ決まった。途中はこの後のイベントは二~三個しか決まってない。


……どうしよう?

「……と、言うわけだ。理解できたか?」


「う、うん……。まだちょっと混乱してるけど……だいたいは」



 俺からひとみへの説明は、数分で終わった。もともとそんなに話す内容は多くない。


 神の理不尽により『終わりなき終焉(エンドレス・エンド)』という名のゲームが始まったこと。


 それによりそこらかしこに魔物が現れ人を襲うようになったこと。


 人間にはステータスという魔物に対抗する力が与えられ、現状を生き抜くにはその力を使って魔物と戦うしかないこと。


 俺が使った力がそのステータスによるものであるということ。……まぁ、こんなところだ。


 困惑と納得が混ざり合ったような表情をうかべたひとみ。クラスメイト共も、ひとみと似たような表情を浮かべている。


 彼らにとって、この話が受け入れがたいモノであることは重々承知だ。だが、ここは常識とかその辺をかなぐり捨ててでも理解してもらわねば。もうひと押しが必要か……?


 

「信じがたいだろうが、これが事実なんだ。証拠は……さっき襲ってきた魔物、俺が使った魔法の如き力……後は、コイツとか?」



 コイツ、と言いながら、俺は胸ポケットに差し込んでいたヴァイスシュテルンを抜き、ひとみに見せる。


 眼前に掲げられたヴァイスシュテルンを眺めるひとみの表情には、はっきり「?」と書いてあった。ヴァイスシュテルンの待機状態って、本当にただのシャーペンかボールペンにしか見えないもんな……。



「曙くん、これは?」


「ヴァイスシュテルン。俺が持ってた杖だ」


「ふぇ? つえ……? 杖って、あの銀色で先っぽに十字架が付いてて、途中から機械っぽい大砲に代わってたあれのこと?」


「ああ、それで間違いない。ヴァイスシュテルン、自己紹介」


《ご紹介に預かりました、私はヴァイスシュテルン。主の武器であり相棒です。よろしくお願いいたしますね、我が主のご友人様》


「ひゃぁ!? しゃ、喋った!?」


「いや、さっきも喋っていただろうに……」


「こ、こんな風に流暢にしゃべるなんて思わないよ! えっと……ヴァイスシュテルンちゃん? は、人工知能とかなの?」



 俺の持つペン(状のナニカ)に恐る恐るといった様子で話しかけるひとみ。はたから見ると、とてもシュールな光景だった。



《私は私です。常に主の側に在り、主をサポートする。それが私の役目であり、私の存在意義。それ以上でもそれ以下でもありません》


「そ、そうなんだ……」


「こら、なんでお前はそんなに喧嘩腰なんだ。ひとみは別にお前に何もしてないだろ?」


《むぅ……ですが主、この小娘は主に対して不埒なしせ……》


「わーーー!! ヴァイスちゃん! な、なななな何を言ってるの!!?」


《やっぱりでしたか。主よ、気を付けてください。この小娘は主を狙っています》


「うにゃぁあああああああああああっ!!」



 ああ、うん。なんか仲良くなってくれたみたいで良かったよ。二人が何を言っているのかはよく分からんが。


 ヴァイスシュテルンにからかわれて悲鳴なのか鳴き声なのか判断の付きにくい叫び声を上げるひとみが、涙目でこちらを見てきた。



「あ、あのあの! 曙くん、そのね? ヴァイスちゃんが言ってたことなんだけど……」


「ん? ああ、狙うとかなんとかってやつか? なんだ、ひとみは俺の命でも狙っているのか? そいつは困ったな」


「……良かった、曙くん分かってないの」


《……これは想定外。主はこういうことに疎いタイプでしたか》


「ふむ、なんか、すぐに仲良くなったな。ひとみとヴァイスシュテルンは相性がいいのか?」



 仲良きことは良き哉良き哉。俺も友人と相棒の仲が良いのは嬉しい……って、ひとみ? なんだその呆れた表情は? ヴァイスシュテルンも、わざとらしく《はぁ……》ってため息なんか吐いてどうしたんだ?


 ……まぁ、あれだ。ヴァイスシュテルンの人格は女性型だし、女同士分かり合えることがあるんだろう。男の俺には分からないナニカが、な。


 こほん、話を戻そう。



「ひとみ、何はともあれまずはステータスだ。これが無ければ何も始まらないからな。というわけで……リピートアフタミー、『ステータス・オープン』」


「す、すてーたす・おーぷん!」


「「「「「ステータス・オープン」」」」」



 ひとみに続いて、クラスメイト共も復唱。教室いっぱいに響き渡る「ステータス・オープン」の掛け声。その直後、いたるところから驚きの声が上がった。


 どうやら無事にステータスを開けたようだ。それは、俺の目の前で大きく目を見開いているひとみも同じだろう。


 確認のため、一応声を掛ける。



「ステータスは確認できたか?」


「……うん。名前とか、HPとかスキルとか……すごいね。まんまゲームみたい」


「ほう、ひとみはこういう感じのゲームはやったことあるのか」



 なんというか、少し意外だな。リア充の極みのようなひとみは、ゲームなんざやってないのかと思っていたが……偏見だったようだ。



「うん、ドラ〇エとかファイ〇ァンとかポ〇モンとか」


「王道だな。ということは、ステータスの意味は大体分かるな?」


「大丈夫……だと思う」


「不安なら、ステータスの各項目をタップしてみろ。詳細な説明が出てくるぞ」


「え? ……あ、ホントだ!」



 嬉しそうにステータスをポチポチといじくるひとみ……なんだが、傍から見ると何もないところで指を動かしているようにしか見えない。中々に笑いがこみあげてくる光景だった。


 

「くくっ……ひとみ、ステータスの確認は終わったか?」


「うん……って、なんで笑ってるの?」


「何でもない、気にするな。ステータスの確認が終わったら、今度は職業と初期スキルを決める。これは重要になるだろうから、しっかりと考えてから決定しろよ? やり直しは効かないからな」


「うぇ……? そ、そう言われると不安になってくるなぁ……」


「これに関しては頑張れとしか言いようがないな。誰かに決定権を委ねれば、何かあった時にどうしてもその誰かを責めてしまう。表に出さなくても、心の奥では絶対に不満が溜まる……。そうやって疑心暗鬼が生まれ、育ってしまえば、あっという間に集団なんか崩壊するぞ。ひとみやお前らがどうか知らんが、この先集団で動こうとしているなら、今この時の重大な決定を他人に任せるのだけはやめて置け。せっかく助けた連中が、仲違いからの抗争で殺し合いましたなんてなられたら、寝覚めが悪すぎる」



 そう、少し突き放した感じの言い方をすると、ひとみは捨てられた子犬のような目をこちらに向けてきた。……やめないか。ひとみみたいな美少女にそんな顔されると、罪悪感がすさまじいだろうが。


 ちらっ、うるうる。ちらっ、うるうる。


 ステータスと俺の顔を往ったり来たりするひとみの視線。……くっ、アレか? ちょっと厳しく言い過ぎたか? それとも、悪戯に不安を煽り過ぎただろうか……。


 ひとみの視線にだんだんと耐えきれなくなってくる。…………ええい、仕方がないっ!



「……まぁ、アドバイスくらいはしてやってもいい」



 俺がそっぽを向きながらそう言うと、ひとみは蕾が花開く時のような、輝かんばかりの笑みをうかべて見せた。


 ……やっぱり、この表情が瞳には一番似合ってるんだよなぁ。できれば彼女には笑みを絶やさないで欲しいと願うのは、俺のワガママなのだろうか? というか、友人相手にそう思うこと自体が変なのか? そういうのはもっと仲を深めた時に抱く感情なのだろか……?


 はぁ、やはり俺は対人能力が低すぎるな。


 そんなことを思い、ちらりと視線をひとみに向ける。それに気づいた彼女は、笑みを深め、弾む声で告げてきた。



「曙くん、ありがとう!」


「……はいよ、どういたしまして」



 ……まぁ、こうやって礼を言われるのも悪くはない、な。


 

「それで、何を聞きたいんだ?」


「えっとね、とりあえず私のステータスを見てほしいんだけど……。自分のステータスって、他人に見せられるのかなぁ?」


「ああ、それなら。ステータスの【特殊】の部分を触ってみろ」


「【特殊】? ……わっ、なんかいっぱい出てきたの」



 ステータスの【特殊】には、あの神からのふざけたメールと神ガチャが送られてきたメッセージ機能以外にも、様々な機能が備わっている。



「その中から、【パーティー編成】ってのを選べ」


「【パーティー編成】……あ、あったの」


「よし、そのままちょっと待ってろ」



 俺もステータスを開き、【特殊】から【パーティー編成】を選び、さらにそこから派生した【パーティーを作る】をタップ。


 ……ん、パーティー名を考えなきゃならんのか。えーっと……これでいいか。じゃあ、決定。

 

 すると、新しい画面が浮かび上がり、そこには『パーティーへの参加者を待っています』というメッセージが表示された。


 これでこちらの準備は完了した。後は……。



「ひとみ、【パーティー編成】を押して出てきた項目の中から、【パーティーに参加する】を選べ」


「【パーティーに参加する】、だね。分かったの……選んだよ」


「よし、そこに現在参加することのできるパーティー名が表示されているはずだ。それを選んで参加してくれ」


「……パーティー名って、この『ああああ』であってる?」


「おお、上手くいったか。それに参加すると、俺とひとみはパーティーを組んでいる状態になる。そうすると、本人の承認は必要だが、互いのステータスが確認できるようになるんだ」


「そんな機能まで……。ますますゲーム染みてきたの。……とりあえず、参加っと」



 ひとみが宙で何かを触る動作をすると、俺のステータスに『プレイヤー「壱埼ひとみ」がパーティーへの参加を求めています。許可しますか?』と表示され、『Yes/No』ボタンが現れる。もちろん、イエスだ。


 そして、直後に頭の中に《パーティー『ああああ』が結成されました》と《条件の達成を確認。称号《始まりのパーティー》を入手しました》というアナウンスが流れる。


 その声はひとみにも聞こえたようで、声の発生源を探してキョロキョロとあたりを見渡している。



「あ、曙くん! なんか、変な声聞こえた!?」


「ゲームのシステムメッセージだな。レベルアップや称号の入手なんかを伝えてくれる」


「……ゲームゲームしすぎなの」


「それは俺もそう思う。まぁ、それはともかく、ひとみのステータスを見せてくれるか?」


「あ、うん。えっと……許可っと、これでいいのかな?」


「……ああ、ばっちりだ。これで俺もひとみのステータスが見れるようになったな。ついでだし、俺のステータスを見れるようにしておくから、良かったら参考にしてくれ。……まぁ、あまり参考にはならないと思うが」


「うん、わかったの」



 さっさとひとみへの許可を出して、俺は見れるようになったひとみのステータスに目を通す。どれどれ……ん?




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【名前】:壱埼ひとみ

【性別】:女

【年齢】:15

【状態】:正常

【Lv】1

【JOB】:第一職業を選択してください

【HP】225/225

【MP】75/75

【筋力】25

【耐久】20

【敏捷】5

【知力】5

【精神】10 

【器用】5

【スキル】:初期スキルを選択してください

【称号】:《始まりのパーティー》

【装備】:なし

【ポイント】:100

【ポイント利用】

【特殊】:なし


============================





 ま、まさかの脳筋ステ……だと?

個人的に、ひとみちゃんみたいなキャラは好きです。


どうでもいいけどいい加減バトれや主人公!

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