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19.親友の意見

 

 前回のあらすじ


 ………。





「で、おまえの落ち込んでる原因はなんだよ?」


 動物園に行った日、あの後なんとか持ち直して元気に振る舞えた……と、思っている。

 でもやっぱり家に帰ってから頭のぐるぐるが再発した。

 モヤモヤした気持ちを吐き出したくて、前世のことを知っている悟に話すことにしたのだ。


 俺が話終えると悟はおもむろに口を開いた。


「子供がいたことを知らなかったことか?前世の嫁さんが親友と付き合ってたかもしれないことか?」


 確かにそれだってショックなことだった。でも、1番の落ち込む原因は……



「……違う。……いや、それもそうなんだけど。……貴美子が信雄と付き合っていたら、それは良いことだと思うんだ。信雄なら絶対に貴美子を幸せに出来るんだ。……でも、それを喜べない自分が、嫌だ……。俺は自分のことばっかりだ……」


「そんなことか?」


「そんなことっておまえな!俺は真剣に悩んでるんだ!」


 つい語気が強くなってしまった。


「だってな〜。それただの嫉妬じゃん。好きな奴が別の奴と付き合ったら嫌なの当たり前じゃね?ムキになって喜ばなくたってよくね?」


 悟はへらりと笑って言った。


「でも、子供の面倒まで見てくれてたんだ……俺は存在すら知らなかった……」


 言葉尻が小さくなる。


「いや、おまえそれは仕方ないだろ?おまえ、知らされる前に死んじまったんだから」


「でも……」


「でもでもうるせえ。子供って安森先生のことなんだろ?それに関しては立派に育ててくれてありがとーって感謝しとけ!でも嫁さんのことは話が別だって言っとけや!」


 悟がバンッと机を叩いた。


「おまえ、前世のこと深く考えすぎなんだよ。もっと気楽に考えろよ」


「……気楽ってどんなだよ」


「スウちゃんと会えて良かったとか。……子供のことだって知れて良かったじゃねえか」


 確かにそうだ。今生でスウと出会って、一緒に過ごすときが幸せだった。子供だって欲しかった。子供もいないまま死んだかと思っていたけど、子供がいたことを知れて純粋に嬉しい。


「俺、前世の記憶が戻らなければよかったって考えたんだ。……でも、記憶が戻らなかったらスウとこんなに仲良くはならなかった。安森先生ともただの教師と生徒の関係としか思わない……」


 でも、俺は前世のことを思い出してスウと出会ったし、安森先生が自分の息子だと知ることが出来た。信雄にもまた会えた。


「俺、みんなにお礼が言いたいんだ……でも、今の俺は前世の俺じゃないから伝えることが出来ないのが歯痒い……」



「言えばいいじゃねえか……。久世一からの言葉だって伝えることは出来るはずさ。」



 悟が俺を励まそうとしてくれているのがわかる。うじうじしている俺の背中を押してくれる。

 俺は恵まれているんだ。前世でも今生でもいい友人と巡り会えた。


 モヤモヤする気持ちは完全には晴れないけれど、一緒にモヤモヤを取り除こうとしてくれる人が居ることに安心した。





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