2 結月弥生
あるところに『結月 弥生』という名前の平凡な少年がいた。
中世的な顔立ちをした、小柄な心優しい少年だった。
普通に暮らし、普通に学び、普通に遊ぶ少年がいた。
少年はそんな日常が大好きだった。
しかし、そんな日常はある日音もなく崩れ去った。
普通の日常のはずだった。
いつも通りに起き、いつも通りに学校に通い、いつも通りに帰宅した。
いつも通りだったのはここまでだった。
家の中に入った瞬間、不意に目に入ったのは血まみれになった父と母の残骸、その傍に立つ両親のものと思われる血の付着した凶器を持つ二人の男。
その後の事はよく覚えてなかった。ただ何かよくわからない大きなチカラが自分を支配していた。
気付いたときそこには母を殺した男たち‘だったモノ,があった。
「ふむ、これは興味深い」
後ろから声がした。振り向くとそこには長身の男がいた。
「今まで確認されなかった『能力』ですか…やはりこの血統のもの達は一味も二味も違いますね」
一体この男が何者なのか、なにを言っているのか分からない、だが
「ねぇ、おじさん、おじさんは敵?」
自分でも驚くほど落ち着き冷めた声が出た。
「もし、敵だと言ったら?」
男が問うてきた。
「だったら、こうする」
すると少年、弥生の手から赤黒いマグマのようにドロドロした『闇』があふれてきた。
弥生は一瞬でこのチカラの使い方を理解した。
あふれてきた闇は渦を巻き針のような形状になり男に向かい発射された。
しかし...
「ふむ成程、これが彼らを殺したチカラですか、しかし何とも禍々しい」
男はそんなことを呟きながらその針を素手で受け止め、粉々に粉砕した。
「しかしまだ錬度が低いですね、完全に制御し切れていない証拠だ」
男は徐々に弥生に近づいていく。
「あなたにそのチカラの使い方を教えましょう、その代わりにあなたは私の手伝いをしてください」
男は目線を弥生と合わせるような姿勢になり手を差し出した。
その誘いに弥生は...
「ふむ、私好みのいい返事だ」
先ほどの闇の針を男の顔めがけ発射させることで答えた。
しかし、少年はまだ知らない。この先に地獄のような戦いの日々が待ち受けていることを...
to be continued...
次話投稿は...未定です。
投稿日時が決まりましたら、活動報告等でお知らせいたします。