三ノ宮 流樹 & 七瀬 蓑 ┬Side Mino
別に高校はどこでも良かった。
入れてくれるなら。
足の速さには自信あったし、どっかその脚力を買ってくれるところでいっか、くらいな思いだった。
周りの人や先生に勧められるまま、推薦を受けて入った高校。
男子校って聞いてがっくり。
だって花がないじゃん?
中学は共学だったから、多少は華やかだった。
べつに女の子とつきあったことなかったし、無理して付き合いたいとかとも思ったことはないけれど、むさくるしくて汗臭い男の園ってイメージが先行してて受かったあとに超がっくり。
勝手に共学だと思い込んでたんだよな、オレ。
でも、全寮制って聞いてちょっとラッキー。
家を出る大義名分ばっちり。
べつに家がいやだとかじゃないけれどさ。
やっぱ、家を出るってのにあこがれてたわけで。
だからといって一人暮らしなんて、料理もできないのにどーやって食ってけばいいんだって感じなわけで。
三食昼寝付き(?)の寮なら最高じゃん?
走るのは大好きだし。
走ることが評価されてるなら期待に副えるよう頑張れる。
走って、ちょっと勉強して。
楽しい仲間が見つかるといいな。
そんな期待と不安とを詰め込んで行った入学式。
さすが全寮制。
入学式終わったらすぐHRやって寮直行。 そこでまた入寮式だかなんだかあるらしい。
玄関に本日のプログラムが張り出されていた。
荷物は全部事前に送りつけてるし、まぁ入学式のきっと ながーーーい話を聞いて、担任の顔とか見て、そんなかんじで一日が過ぎるんだろうな、と校庭に咲く桜の花を見上げながらぼーっとしていた。
周りには誰もいない。
実は早く来すぎたのだ。
在学生っぽいのは準備やらなにやらできっと大変なんだろう、校内からは声が聞こえる。
超早く来すぎた。
2時間、時間を間違えた。
中に入っててもいいですよ、とさっき通りかかった用務員のおじさんっぽいのが言ってくれたけど、そんな誰もいない新入生の教室とかいるより 桜の木の下でぼーっとしていたほうが100倍良い。
1年B組だってさ。
数字の組かとおもったら アルファベッドだよ。さすがブルジョア学園。(勝手な感想)
なんかカネモチとか多いらしいけど、オレやってけんのかな。おれんち、平凡な家庭だぞ?
推薦入学だけど、オレは南寮。
推薦のやつらってほとんど北寮らしいけど。
北寮ってのは 特待生やら超カネモチやら特別扱いされてるのが集まってるらしい。
そんなんよりは少しでも平凡なのが集まる南寮のが過ごしやすいに決まってる。
つか、北寮は基本自炊らしいし。
できるやつは料理まで自分でできんのかな。
南寮は二人部屋だけど、にぎやかそうでいいじゃん?
同室がいい奴だといいな。
次から次へと浮かんでいっては消えてゆく止め処ない暇つぶしの思考に終止符を打ったのは男の子にしては高めの声だった。
「式までまだ1時間以上あるじゃない~!ひ~ま~っ!」
何事かと声のするほうを見ると…一瞬目を疑った。
あれ、ここ共学だったっけ?と一瞬戸惑う。
いやちがうな、着ているのはオレと同じ真新しい制服だ。
んじゃあれか、
「男装の麗人?」
思ったことが思わず口にでるオレの悪い癖。
ぼそりと言ったつもりがしっかり相手に聞こえてたわけで。
ばっちりと目があってしまった。
「ちゃんと男だよ。麗人ってのは否定しないけどネ」
にっと笑ったそいつは、暇つぶしを見つけたといわんばかりに近寄ってきた。
「なに、あんたも2時間時間まちがえた?」
オレと同じことするやついるんだな、とまで言ったら思いっきり笑われた。
「あんた時間まちがったの?ばっかみたい、2時間も?らみあは定時にきたらみんなを騒がせちゃうじゃない。だから早めにきたの。寮に先に入れるとおもってたから!そしたら式の後じゃないと駄目だって言うんだもん、暇ったらありゃしない」
あぁ、騒がせちゃうって。
自分でわかってんだな、誰だって驚くよ。お前女みたいじゃん。
「やーだも~、あんた、言いたいことが顔にでるってよくいわれるでしょ~。そんな物珍しく見ないでよ」
「いや、えらいべっぴんだなって」
いや、べっぴんって。
言ってから思った。よくじーちゃんが使ってた言葉だけど、いまどき言わねぇよな。
案の定けらけらとそいつは笑い出した。
「らみあ様!」
違う声がしてまた校門のほうを見るとこちらに駆けてくるのが一人。
すらっとしてて、なんつーか…カッコイイ?
いいね。なんか武士みたいだ。
しかもなに、らみあ様って。様ってなによ?
「らみあ様、あまり不用意に歩き回られると…」
そう言いながらそいつはキツイ目つきで座ってる俺のことを見下ろした。
つか、オレが立っていてもきっと見下ろされてる。
自慢じゃないが、オレちっこいからな。
まったく、自慢じゃない。
「紫苑、様つけないでっていってんじゃん。それが嫌で家出たのに意味ないじゃん!」
「…そう言われましても…」
なんだなんだ?
よくわからないけど、なんか悪い雰囲気?
でも真剣に怒ってるようでもないからいっか。
ま、なんかワケアリなんだろな。
「あぁ、構内にはもう入っていて良いそうです。あと…残念ながらクラスは別でした」
「残念なんかじゃないよ。そんな始終紫苑くっついてたら窒息するもん」
「……」
おいおい、そんな言い方すっからこっちの武士が言葉詰まってるよ。
いつもこんなんなのかな。
「あんた、おもしろいわ~。ちょっと困ったでしょ」
そりゃ困るよ、知らねーやつが目の前でよくわからない口調でよくわからない状況で。
「学校入れるって。あんた何組?」
「オレB」
「らみあは?」
「らみあ様もB組です。私はA組でした」
武士が答える。
オレの中ではこいつは武士決定。
このらみあっての、お姫様だな。うん。
「あ、いっしょか~。行こ行こ。一人じゃなければ暇ならないし~」
おいおい、一人じゃなければって武士がついてんじゃんよ。
オレに決定権はないらしく、すたすたとそいつは歩いてゆく。
仕方ないから姫君と武士の後をついていく。
「うん、あんた気に入った。名前は?」
「へ?オレ?蓑」
「ミノ?」
「うん。七瀬 蓑」
「ふ~ん、ミノ、ね。よろしくね、あ、こっちは紫苑っての」
一方的に気に入った宣言。
ま、いいけど。気に入らねぇ、って言われるよりかは穏便。
「らみあと初対面で普通におしゃべりしてくれるってのうれしいわ~。大抵怖気づくか、変に機嫌とってくるから」
いや、おれも怖気づいたぞ。
まぁ、こんな美人じゃ惚れるのもいるんじゃね?
口開かなきゃ美人の類だよな。
それよかちらりちらりと武士がオレを観察するように見ているのが気になる。
あれか。
姫君を狙う忍びの者じゃないかと疑ってるのか。
いくら美人でも野郎には手ぇださねぇよ・・・
校内に入ると、姫君はスタスタと自分のクラスへ歩いていってしまった。
武士のクラスと隣ではあるけれど、少しは武士に気を使ったら?と言いたい所だ。
振り向きもしねぇ。
「七瀬様」
ぼそりと武士に呼ばれて、はひっと思わず驚いて返事をした。
様って。様つきで呼ばれるなんて病院とかの呼び出しくらいだぞ。
「らみあ様を…よろしくお願いいたします。自分はクラスが違うので…」
お願いってなに?なんなのよ?
「へ?」
武士は深々と頭を下げた。
つか、同い年だろ?
オレより背でかいし、オレよりあきらかに格好良いのが、オレにむかって頭下げてるって?
天変地異?いやいや、前代未聞?
いやちがうか。
「…あのような身なりなので、なにかと危ういことがありえるのです…学校生活が落ち着くまでお一人で歩かれることなきようお願いしているのですが、何分あのようなお方ですから…」
あぁ、たしかに。
うん、わかる。わかるようなきがする。
姫君ってそういうかんじ?
「…っつーか、えーと、んじゃできるだけ一緒にいたらいいんかな」
お願いされたところで何をしていいのかわからない。
「えぇ、お一人でいるよりは危険がありませんから…。あの方は自分が認めた人以外は近寄らせません。こうも早く…七瀬様のような方と出会えて良かった…」
えーっと。
一人でいるよりは危険がない=二人でいても危険はたまにあるってことじゃね?
つか、オレのような方って、おいおいそんな信頼されていいわけ?
でもなんというか、武士の真剣な目をみてたらふざけるわけにもいかなくて。
「おぅ、まかしとき」
思わずそう答えてしまった。
時間が過ぎて式間近。
クラスが新入生で埋まったとき、たしかに姫君が早めに来た理由が理解できた。
そりゃ、あの見てくれだ。だれもが奴を見る。
うわさが噂を呼んで、クラスに覗きに来るわ来るわ。
ちょっとした大騒動だな。
当の姫君は、そんなのを何も気にする様子もなく。
見られていても何も感じないらしい。
オレなんてあんな四方八方から見つめられたら冷や汗出るぜ。
でもって。
気がついた。
いくつかの視線がオレにむいている。
そりゃそうだ、こんだけいるクラスの中で らみあがしゃべりかけているのはオレただ一人。
他の奴が取り付く島もないようなオーラ漂わせてオレだけとおしゃべり。
なんかこえーな、おい。
やっと担任が来てクラスが落ち着いた時、席順も偶然に隣どうしのらみあから ぽいっとメモが丸められたものを渡された。
『色々迷惑かけてゴメンネ でもこれからもよろしくねv』
迷惑ってべっつにまぁ、目立つ姫君の従者のごとくくっついてたらいやでもオレまで目立つってことかな、なんか考えてたわけだが。
式も無事におわり、全学年全校生徒にらみあの姿とうわさが広まった。
らみあは 他の生徒と同じように式に出ただけだけど、まぁ、見ちゃうわな。
全員同じ制服きてるっつーのに、目立つわな。
そのときオレは気づかなかったんだ。っていうか気づくわけないじゃん。
姫君を見る視線に、決して好意ではないものがあることとか。
普通は『ちょっと変な奴』って扱いでそのうち慣れていくもんじゃん?
HRが終わって全員 各寮へ移動、入寮式まで自由時間ってなったとき、俺は南寮だし、姫君は北寮だっていうから じゃ、また明日な、ってクラスで分かれた。
学校から寮まで徒歩10分。
しかも北寮は学校敷地内を通っていけるし、安全じゃね?って普通にオレは思ってた。
南寮に向かうべく、慣れない校舎を歩き玄関までいくと武士が立っていた。
「七瀬様、らみあ様は...?」
「あれ?オレより先に出てったぞ?」
「B組より早く終わって、あそこで待っているとまたご機嫌損ねそうなのでこちらで待っていたのですが…」
「まだ来てねぇの?」
靴箱をみてみるとまだ外靴が残っている。
…校舎で迷った?
オレならありえるけど、姫君もか?
なんてことを考えていたら武士が走りだした。
ここはなんか付いていかないとならないような気がしてオレも走り出す。
走るのは得意だ。
武士を抜かして2階へと駆け上がる。1階に1年のクラスがあるけど姿はあのあと見かけてない。いや、どっかのクラスにいるならわからんけど。
2階に駆け上がると入寮式の準備のせいか上級生は見当たらない。
「っいったぁい!」
きょろきょろと走っていると声が聞こえた。姫君のだ。
姫君、従者は今参ります!
突き当たりの…ドアの上を見たらPC室とかいてあった。
まぁ、名前なんて関係ない。
とりあえず力任せにドアを開いた。てっきり鍵でもかけられてんじゃね?って思ってたら鍵のついてる部屋じゃなかったらしい。
スコーンと思い切り扉が開いて、その弾みでバダンと派手な音が響く。
それと うぐっという男のくぐもったうめき声とが重なった。
え?姫君にしちゃ野太い声じゃね?
一瞬そんなことを考えて部屋の中を探すと…野郎一人がのされてぐったりと床にへたってる。
あとの二人は凍りついたように立ちすくんでる。
「あ、ミノ~。…と紫苑!来るのおっそい!」
背後から現れた武士に向かって、ぷっくりと頬を膨れさせる姫君。
そりゃないだろ…と思うのだが。
「申し訳ありません…」
おいおい、素直に謝るなよ…。
「お怪我はありませんか?」
近寄る武士に、姫君はさっと左拳を隠した。
「っつか、手、血でてるぜ?」
「あ…」
思わず隠した手に見えた赤いのを指摘すると、姫君はばつが悪そうに下を向いた。
一瞬沈黙が訪れる。
「保健室!バンソウコもらってくるよ」
オレは踵を返して走り出した。
なんか、やばいとこ見ちゃったような。
オレ関係ナイヨ?となんとなく あの立ち尽くしてる二人にアピールしたかったような。
走るオレの背後で 汚い手で触らないでよねって姫君が言ってる声がうっすら聞こえた。
こえぇよ、姫君。
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この学校は無駄に広い。生徒数も多いからなのだろうが。
走って走って、一階の保健室に飛び込む。
「ホケンイ!バンソウコちょうだい!」
開口一番 そこにホケンイが居るものだと信じ込んで叫ぶ。
あ。いたいた。
なんか仕事してたのかな。机に座ったまま振り向いてホケンイはこっちを向いた。
向いたまま…こっちをじーっと見ている。
「ちょ、ホケンイ バンソウコ!」
姫君が所望されてるんだよ!
いや、持って来いとはいわれてないけど。
「あ、えぇと、怪我したんですか?」
なんとも穏やかな落ち着いた口調。
なんか焦って走ってきたオレが馬鹿じゃね?
怪我したのオレじゃないし。
「あー、オレじゃなくてらみあって奴」
お前じゃないのか的な視線を感じてちょっと気まずい。
姫君の怪我だって そこまで至急手当てされたし!的なもんでもないわけで。
「では、そのらみあ…君が来たら怪我の様子をまず見ないとですね」
さすがホケンイ落ち着いてるな。
つーか、綺麗な髪だな。さらさらヘアーだろそれ。
いまどきのジョシコーセーだってそんなさらさらしてねーぞ?
しかも長髪。後ろから見て…肩幅とか広いから男っておもうけどさ、頭だけ後ろから見たら女っていえんじゃね?
ま、頭だけ見えることなんてねーか。
そんな観察してたら姫君がやってきた。
「あなたが怪我をしたらみあ君ですね」
そうそう。姫君。
つか、さすがホケンイ。姫君の姿をみても動揺しねーんだな。
男子校ってたまにこーゆーのがいるんだろうか。
見慣れてんのかな。
「どうしましたか?」
そう尋ねるホケンイに姫君はひとこと、らみあは悪くないもん、と。
悪くないもん、って。
さすが姫君。
「びっくりしたぜ、でっかいやつのしてんだもん…あれ、2年の奴じゃね?」
言葉たりない姫君のかわりに説明しようかとおもったら、言ってはいけない事から口にしてしまったらしい。
いや素でびびったし。
か弱そうなホッソイ姫君が左拳痛めてたってことは、こいつがあいつを倒したってことだろ?
アリエネー。
と、思いたいけど目の前で起こったらしい事実だし。
あーあ、やべ。
姫君膨れちゃったよ…
「左手を貸してください、湿布はっておきましょう。親指も大丈夫そうですね、この血は…相手のですか」
姫君の手をとり様子を見るホケンイ。
姫君の手も綺麗だけど、ホケンイの手も綺麗だな。
でかい。けど指細いな。
「入学早々大変でしたね。問題あるようでしたらその生徒のことと詳細を伺って私が報告しておきますが…」
さすがホケンイ。飲み込みがいい。
つーか、オオゴトになったらオレまでなんかとばっちり食らいそうで怖いんだけど。
どうすんだべ、って思ってたら武士が 今日のところは様子を見ておきますと言った。
さすが武士。
さささっと手際よく消毒したり包帯巻いたり。
長くて細い指は器用なんだな。
「センセの指きれーだなー」
思わず言ってしまう。
思ったことが言葉に出てしまう厄介な口ともいう。
「消毒液とかで荒れることもありますからきれいじゃないですよ」
あ、ホケンイ笑った。
笑顔までかっこいいじゃん?なんかすげくね?
そいやA組にも目立った美形いたな。
美形多いなー。
「ほんと、綺麗なセンセでよかった~。好みじゃなかったらすぐ帰ろうとおもってたもん」
姫君の言葉に思わずうんうんと頷いた。
ごっついむっさいホケンイよりはやさしくてカッコイイほうが良いに決まってる。
「ありがと、センセ。ちょっと…むかついたこと言われちゃってさ。入学早々問題起こすつもりなかったんだけど。このこと、ナイショね?あ、またセンセに会いに来ていい?」
そんなことを言いながらすっとホケンイの顔へ手を伸ばした。
正直びびった。
姫!ちょいやりすぎじゃね?!
素早すぎて手の動きみえなかったけど、ホケンイの黒縁眼鏡を姫が手に取っていた。
「! センセ眼鏡ないほうがかっこいいじゃん~」
お、姫君機嫌直った。
っじゃなくて。
まじ、カッコイイ。ホケンイ。
よくやった、姫君。これ見れたの得かも?
「って、これ伊達眼鏡?センセもったいないよ、こんなんつけてるの~」
うん、オレもそう思う。
つーか、スカウトとか来ちゃうんじゃね?
十分芸能人なれると思うんだけど。
なんてじーっと見ていたら、武士からいい加減にしてくださいと一言。
武士の一声。
あ、あれは鶴か。
なんだかんだいって武士の言う事きくんだな、姫君。
ホケンイは反応に困って固まっている。
「ゴメンネせんせv」
…さすが姫君。
にんまり笑って眼鏡を返す姫君は小悪魔そのもの。
「じゃ、センセありがとね。また会いに来るからv」
眼鏡を取られて素顔を見られたホケンイは少しバツが悪そうだった。
まぁ、姫君にホケンイも気に入られたのかな。
お互いに大変だな、とか思いつつ 綺麗な顔をじーっと見てしまう。
オレもこのくらい背が高くてオトコマエになれたらいいんだけど。
「ここは怪我しているか具合の悪い人じゃないと入れませんよ」
姫君の言葉にそう返すも、でもまた来るねv と気にせず姫君は武士に連れられて去っていった。
っていうか。
オレ帰るタイミングのがしたくさくね?
「君も帰らなくていいのですか?」
ぼーっとホケンイの顔眺めてたら突然声かけられた。
あたりまえか、オレ本来ここにいる理由ないし。
「あ…うん。あ、あのさ。オレも怪我したらホケンイ治してくれる?」
何気なく聞いて見る。
また怪我でもしないと このホケンイの顔も指も見れないんだろな。
つか、怪我したらいつでも見れるのか。
「保健医 保健医って…ホケンイって言葉自体が本来存在してませんよ」
「え?まじ?んじゃなに?」
「学校医です」
「へ~。でも、ホケンイだっていいじゃん」
だって保健室にいる医者みたいなんだろ?ホケンイでいいじゃん。
難しいことわからねーし。
とりあえず、そろそろ帰らないと入寮式までに部屋に入って片付けもしなきゃならんし。
なんとなく良い印象を残しておきたくてにっこり。
「またね!ホケンイ!」
びっくりしたような、呆れたような顔をしたホケンイを後に走り出す。
入学早々、なんかいろいろあったけど。
それなりに楽しい学生生活を送れそうなきがする。
さて、寮はどんなとこかな。
同室はどんなやつだろ。
ちょっとハプニングはあったけど なんか得した気分になった一日。
明日も良い一日になりますように!
- The Land of the Last Moon -
Side Mino