十一話 買い物
「さてと・・・。」
変態を殴り(手加減して)ギルドを後にした影秋は服屋を探していた。
「どっかにし○むらないかな・・・?」
と探していた。
都市エリアルは商人の街であり店だらけなのだが服屋は中々みつからなかった。
探す場所が悪いだけなのだが。
「お、服売ってる場所みっけ!!」
やっとのことで見つけた服屋に入る影秋。
そこは男物が多い服屋だった。
はいって服を物色する影秋だが、
「俺ってセンスないんだよねー。」
と諦めて店員に聞くことにしたのだった。
「お客様の服・・・ですか、ちなみに予算はどのくらいで?」
「えっと金貨一枚あるぜ!」
宿代を忘れる影秋。
「金貨一枚なら十分買えますね、少々お待ちください。」
そして服を買った。
影秋の服装は、ホットパンツにニーソックス、そして上がキリッとしたシャツにジャケットというボーイッシュな格好をしていた。
(時代的にホットパンツとかあるのか。)
そもそも男物の服屋でニーソックスの時点でおかしいのである。
影秋はおしゃれにも無頓着で店員にまかせきりであった。
ニーソックスにホットパンツは影秋的にかなり恥ずかしかったがこれしかない!という店員に従い着ることにしたのだ。
(着れればいいか。)
「これ全部で銀貨4枚に銅貨7枚ですね。」
(安い!!)
「あの、下着とかもおいてますか?」
「ございますよ。」
・・・品揃えは豊富なのである。
合計で銀貨五枚(値切った)の買い物をした影秋はホクホク顔で道をあるいていた。
冒険者になるのにただの服を買う影秋・・・考えなしである。
しかもそのことに気付いてないのだ。
「いい買い物したなぁー。おっ靴屋かー。」
「いらっしゃい!お嬢ちゃんかわうぃいねーこのロングブーツとかオススメだよ!冒険にも耐えられる耐久度がある優れものだ!」
「あ、おじちゃんその靴いくら?」
「今なら銀貨二枚でいいよ!!」
「買った!!」
冒険にも耐えられるという謳い文句に誘われ買ってしまう影秋。
宿代はどうしたのだろうか・・・。
「うっしゃーピッタシだな。かなり動きやすくなったわー」
そこにはボーイッシュな格好で黒髪黒目の可愛い顔した美少女が居たのだが、影秋は意識せず、その格好をしていた。
そして宿を探すことにした影秋。
「うーん、いい宿ないかなぁ・・・そうだ!冒険者ギルドならいい宿を紹介してくれるかもしれない」
そして冒険者ギルドに戻った影秋は早速受付に
「すみません、この街初めてなんですが、いい宿の紹介とかってギルドでやってたりしませんか?」
と聞いたのである。
「はい、でしたら・・・このギルドがある大通りを城がある方向に向かって三つ目の十字路に傍にある『朝日と共に』という宿がオススメですよ。」
「ありがとうございます!!」
この時影秋は泊まれる場所がどこかにないか?と聞いたつもりだったのだが受付は
「女性でも一人で安心して泊まれる宿はないか?」と解釈し、宿を紹介したことを影秋はしらない。
「ついたー!中々立派な宿だなぁ・・・」
「いらっしゃいませ。朝日と共にへようこそ、お食事ですか?宿をご利用になるのでしたら受付にどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
入る前に清掃してる人に話しかけられてびびる影秋、そして中に入り受付に向かう。
「すみません。泊まりたいんですけど」
「はい、一泊食事つきで銀貨3枚になります。」
「銀貨三枚・・・あ、あります」
一日で無一文になった影秋であった。
「306号室のお部屋へどうぞ」
「はい、ありがとうございます。」
そして部屋に向かう。
「うお・・・すげえ綺麗だなぁ」
部屋はとても清潔が保たれており、お風呂まで完備している。
「ベッドだぁー」
とベッドに飛び込む影秋。
「よく考えたら昨日から寝てないんだよなー。でもあんまり疲れてないし夕飯までまだ時間ありそうだなぁ」
10話以上やっておきながらまだ1日も立ってないのだった・・・。
「うっし、もうちょっと街を散策するか」
と街に繰り出すことにする影秋。
街にでて迷わないように周りの特徴を覚える。
大通りにある宿なので大通りと覚えることにした影秋は適当に歩き始めた。
「うおーうまそうだなぁ」
「あんな生き物もいるのか!すげぇ!!」
「武器かー俺も買わなきゃだめかな?」
「防具・・・命を守るものだし買わなきゃだめだよなぁ」
と、散策していた。
「お嬢ちゃんこの腕輪どう?似合うと思うよ?」
と露天商が話しかけてきた。
「おじちゃん、わりぃけど俺今無一文なんだよ」
「なんだ、そりゃあ残念だ。似合うと思ったんだがな」
「金が入ったらまたくるよ」
「いや、物々交換でどうだ?」
「おっちゃん・・・俺が何か持ってるように見えるのか?」
「なんでもいいぜ、価値がありそうなものなら金だって出すぜ、俺は芸術品をや装飾品を扱う商人だからな」
ふと、影秋は思いついた。
「なぁおっちゃん、この紙みてどう思う?」
「な、なんだこりゃ・・・すげぇな!」
ためしに日本の紙幣を見せたのだった。
「こりゃあ、すげえ。一枚金貨10枚出すぜ。」
「ま、まじで!!そんなにか!!」
「むしろもっとすると思うぜ。うちじゃあこれが限界ってだけだ」
「む・・・そうか・・・」
影秋は悩む・・・が、それも一瞬で。
「おっちゃんこれ二枚買ってくれないか?」
と千円札を二枚おっちゃんに差し出す。
「おう、金貨20枚な」
「おし、じゃあこの腕輪くれよ、おっちゃん」
「まいど!銀貨2枚銅貨3枚だ」
「これで、おっちゃんありがとうな!」
「お、おい!こんなにいらねぇって!!」
最後まで聞かずに影秋は腕輪を右手にはめて走り出す。
金貨一枚おいて逃げた影秋であった。
「まさか、千円札がこんな大金になるなんてなぁ・・・」
と、少し罪悪感が出て素直に喜べない影秋であった・・・。