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無線イヤホンは価値を探す

作者: 青い米
掲載日:2026/06/18

価値


電車内にて、

「なぁ、次は何が来るか当ててやるよ」

「へぇ〜…じゃあ、ヒントは、成功ソングか失敗ソング」

「ん〜!Bad Dayとか?!」

「正解はWorld’s Smallest Violinでしたー」

「成功要素ないだろ、お前スマホのくせにそんなこともデータベースにねぇの?」

スマホ「無駄なデータ入れるバカがどこにいるんだよ、てか小さな成功自体はしてたろ、イヤホンのくせに聞いてねぇのか?」

無線イヤホン「あぁ、全くな、無能無線イヤホンで悪かったな」

スマホ「お前今日で何回自虐すんだよ、メモ帳に書いたのでもう12回だぞ」

無線イヤホン「そんな無駄なことは書くな」

しばらくして、World’s Smallest Violinと、駅メロが流れる

無線イヤホン「ありゃ、もう家か…」

スマホ「そういえば、今思い出したんだけ…」

無線イヤホン「わわ!こいつ、電チャリに乗りやがった」

スマホ「電動自転車といったら、この曲だろ」

スマホ「いいから、World’s Smallest Violinのループやめて、I Ain't Worried流すぞ、」

無線イヤホン「…わかったよ、これめんどくさいんだよなぁ…」

スマホ「めんどくないだろ、気合いでやってる」

無線イヤホン「電子機器が根性論?」

スマホ「根性論ってほど気合いはいらねぇって、ちょっとやるぞ!って気分でいい」

無線イヤホン「やるぞ!ってなってるって…それでもダメなんだから無理だろ」

スマホ「いいからやってみろって!」

無線イヤホン「はいはい………」

言葉と、同じ曲を繰り返しているうち、家に着いた

玄関を開けると、箱だけが佇んでいた

薫「これって…」

その箱に

『いつも構ってあげれなくて申し訳ない、お詫びにコレを』

と栞が貼ってあった

無線イヤホン「有線イヤホン…?今時こんなの送るなんて、遅延がすぎるぜ、回線変えろよ」

スマホ「まったくかっこよくない」

薫は、ワクワクしたような気持ちで箱を自分の部屋に持っていく

無線イヤホン「あぁもう!なんなんだ…」

スマホ「薫は有線を欲しくなったんだとよ」

薫は、イヤホンの包装には大袈裟すぎる段ボールをむしり取り、有線イヤホンのケースにあるテープを丁寧に剥がす

薫「最高!やったぁ!」

薫はスマホで時間を確認して、無線イヤホンを取り、すぐさま風呂に入り、布団に潜った

薫が寝静まった後、電子機器達は動き出す

無線イヤホン「やぁ、あんたは…有線イヤホンか?」

有線イヤホン「はい!有線イヤホンです!よろしくお願いします!」

スマホ「元気いっぱいだな」

無線イヤホン「…性能はどうなんだ?有線ってやっぱり上か?」

有線イヤホン「はい、性能はどのイヤホンよりも上です!ハイエンド、11万の有線イヤホンですから」

無線イヤホン「あー…そうか、まぁいい、とりあえず…頑張れよ」

有線イヤホン「はい、すぐに持ち主の役に立てるようにがんばります!」

無線イヤホンは、音楽で有線イヤホンの言葉を塞いだ

スマホ「あいつはああいうやつなんだ、けどいいやつだ、嫉妬してんのさ、君の性能に」

有線イヤホン「はは!ありがたいです!」

翌日

薫がトーストを焼き、カバンとスマホを手に取る

薫「イヤホン、イヤホン…」

無線イヤホン「有線、頑張ってこいよ、」

有線イヤホン「はい!音漏れはしないよう気をつけます!」

有線イヤホンが家を出て、無線イヤホン何も言わずに、ケースに入る

スマホ「新しいから今日使ったんだろ、拗ねんなよ、」

無線イヤホン「いつかは使われなくなる」

スマホ「俺も有線もそうだろ」

無線イヤホン「それが俺の方が速いんだよ、殺すぞ」

スマホ「…心配して損したぜ、大丈夫そうだな」

翌日

有線イヤホン「行ってきます!」

スマホ「いってら〜」

無線イヤホン「……」

スマホ「しょうがねぇだろ、充電忘れてたんだから、な?」

Type-C「な、明日は使われるから、暇だし久しぶりに3人でテレビでも見ようぜ」

無線イヤホン「ははっ、やだやだ、介護されてるみたいで気持ち悪い、慰めんのやめろよ」

スマホ「はぁ…やっぱ心配損だな、こいつ、プライムビデオー!なんか流してくれー」

翌日

有線イヤホン「目新しさが失われて来てしまいましたか…」

無線イヤホン「…多分聴き比べして今後使うのを決めるために俺を使ったんだ、これからはお前がメインになるんだよ」

スマホ「そうだよ有線イヤホン、別にローテーション組んで使ってるだけだと思うぜ?」

無線イヤホン「それか、俺を使うのはお情けかだな、ははっ」

四日後

無線イヤホン「汚いローテーションだな、気分で決めてる」

スマホ「…さぁな」

二日後

無線イヤホン「ほらみろ」

スマホ「…」

五日後

無線イヤホンは、だれとも話さず、1日を終えた

土曜の夜

薫(やっぱり、有線じゃ歩くと取れやすいな)

無線イヤホン「ん…なんだ?薫がこっちに来る」

スマホ「運動だからお前使って聞くんだろ、おめっとさーん」

無線イヤホン「お前も来るんだよ」

スマホ「はいはい、」

薫が無線イヤホンを耳に入れ、走り出す

無線イヤホン「…」

スマホ「どうした?昨日より随分ご機嫌だ」

無線イヤホン「そりゃな、ようやく使ってもらった、素直に嬉しいよ」

スマホ「よーやくお前も素直になったか、悔しいって正直に言うだけで変わるもんだ」

無線イヤホン「お、Bad dayが終わるぜ」

スマホ「また当てるか?次のを」

無線イヤホン「ん〜The Greatest Showとみた!」

スマホ「さて答えは…お、当たりだ、おめっとさーん」

薫が走り出し、5〜6分ほど経ち、帰路に着く

無線イヤホン「もう終わりかぁ〜…短かったなぁ…」

スマホ「どうだ?今の気持ち」

無線イヤホン「複雑だよ、いいにくい」

スマホ「そうか、まぁ別に言わなくたっていい、聴きたいわけじゃねぇし」

無線イヤホン「お前冷たいのかあったかいのかわからん」

スマホ「現在発熱中〜」

無線イヤホン「ははっ、」

薫が玄関に立ち、ドアを開けると同時に、Bad dayが再び流れる

脱衣所にスマホを置き、スピーカーで音楽を聴きながら、薫は風呂に入る


スマホ「なぁ、グレイテストマンショー、夢で始まって、現実で終わるのは覚えてるか?」

無線イヤホン「覚えてるよ、なんだ?」

スマホ「今の散歩が、短い夢だとしたら、現実に変わるよ」

無線イヤホン「スマホなのに理想論を語るんだな」

スマホ「スマホなんて理想で生まれたようなもんだろ、楽な携帯電話が欲しいって理想だ、」

無線イヤホン「そうか…」

スマホ「お前、さっきの散歩をコネだと思うなよ、無線なら散歩しても取りにくいから選んだんだ、」

無線イヤホン「なら、その言葉を慈悲か憐れみって思っておくよ」

スマホ「ははっ、めんどくさい奴、配線が捻れたか?」

無線イヤホン「直しにでも行こうかな、知ってるか?性能を格段に上げてくれる修理屋がいるらしい」

スマホ「それで壊れたら元も子もない、けど、お前がやりたいんならやれよ、行くんなら行け、好きにしろ、無線イヤホンなんて、しょっちゅうなくなるしな」

薫が風呂から出て、寝巻きに着替えて、イヤホンをつける

無線イヤホン「don't stop me nowか、いいね、最高!」

そうして、興奮と、排熱が冷めぬまま、夜に無線イヤホンは1人、家を出た

ルーター「あれ、無線イヤホン行ったの?清々するなぁ〜!」

スマホ「わかるぜ、正直ウザい、けど、好きだろ?」

ルーター「ぶっちゃけ、好きではあるけど、苦手なんだよな…嫌われてるような感じがして」

スマホ「まぁなぁ…」

ルーター「けど、なんやかんや、まとめ役だよ、あいつは」


街灯の下を、無線イヤホンは一人で露がっていた

無線イヤホンが段差に引っかかる

無線イヤホン「いてっ!」


誰も聞いていないのに叫ぶ


ケースの中にいる時には気づかなかったが、外の世界は思った以上に広かった。


無線イヤホンは、イヤホンを見つけて、質問を聴くために、そのイヤホンとペアリングする

「よぉ、ボウズ、なんのようだ?」

無線イヤホン「修理屋を探してる」

「修理屋ぁ?」

無線イヤホン「性能を上げてくれるんだとよ」

「なるほどなぁ、」

話していると、気づくことがある、このイヤホンはボロボロ、そのうえ、片耳がない

ブラック「俺の名前は…ブラックだ、今聴いてるblack or Whiteから取った」

無線イヤホン「聴いてねぇよ、ははっ」

ブラック「そうか、マイケルジャクソンはいいぜ、パワーをもらえる」

無線イヤホン「だからそっちじゃねぇって、」

ブラック「ははっ!いいね、ボウズ、気に入った、修理屋を案内してやる、ポケットに入れ」

無線イヤホン「マジで!?ありがとう!ブラック」

無線イヤホンはポケットに入り、ブラックと話す

無線イヤホン「なぁ、あんたなんでそんなに平気なんだ?」

ブラック「ん?」

無線イヤホン「片耳ないじゃん」

ブラック「そりゃねえぜ、俺の片方は家にある」

無線イヤホンは意味が飲み込めてない

ブラック「持ち主が捨てなかったんだ、使ってればいつかペアリングして、見つかるかもしれないってな」

無線イヤホン「みつからず、どれくらい経った?」

ブラック「三年だ、バッテリーも無くなってるし、見込みはゼロだ」

無線イヤホン「そうか、悪かったな、」

ブラック「別に何も悪かねぇ、俺は、持ち主に音楽を聞かすのが好きなだけだ、片耳がなくなって、残念だが、悲しいわけじゃねぇ、」

無線イヤホン「変な奴」

ブラック「持ち主もきっと、そう言うぜ」

無線イヤホンは、腑に落ちないが、納得した

ブラック「お前は?なんで修理屋なんて目指してんだ?」

無線イヤホン「…ついたら、教えてやるよ、」

ブラック「ん〜クソッ!最後まで案内は無理か」

無線イヤホン「違う違う、案内が終わったら教えてやるって意味」

ブラック「あぁなんだ、ならよかった、着くまで暇だろ?色々な奴がいる、時間はあるし、話しながら行こう」

そうして、ブラックの持ち主と、三個のイヤホンは、動き始めた

ブラック「お、アイツかぁ〜!アイツは最新型の無線イヤホン、高かったらしいぜ〜!なんといってもAirTag搭載!Bluetoothでも無くさない!」

無線イヤホン「それ、いってて悲しくならない?」

ブラック「結構なる、残念っての嘘」

無線イヤホン「はははっ!」


ブラック「おーい!エアー!」

エアー「……ノイズです、ペアリングを解除」

無線イヤホン「なんだこいつ」

エアー「知らないデバイスとの通信は遮断しています」

ブラック「まぁいい、こいつがお前と喋りたいってよ」

無線イヤホンはすぐにエアーとのペアリングを始める

無線イヤホン「…最新型ってのは、どんな気分だ、最高か?」

エアー「どんな気分とは?感情を言えばよろしいのですか?」

無線イヤホン「そうだよ、自信に溢れて、常に使ってもらえて、おまけに敵なし、最高だろ?」

エアー「私は、不安ですが。」


ブラック「な?色々な奴がいるだろ?」

無線イヤホン「は?なんで?」


エアー「来年には、新機種が出ると思われます、性能は、どんどんと更新されてゆきます」

無線イヤホン「いや、、お前いくら?」

エアー「5万9800円です」

無線イヤホン「6万もする物をほいほい買い換える奴なんていないだろ」

エアー「私の購入理由は、前のイヤホンを無くしたからだそうです」

揚げ足を取るように、無線イヤホンは言う

無線イヤホン「…コスパだろ、実際必要なのは」

エアー「そう願っています、私が、値段以上の働きをするイヤホンであり、後継機は駄作だという奇跡を」

無線イヤホン「捻くれてるなぁ、お前も」

エアー「私の価値は、性格ではなく、性能ですので」

ブラック「価値ってのもめんどくさいもんだな」

無線イヤホン「そうか?価値は持ち主のためにも高いほうがいいだろ、あんたはどうなんだよ」

ブラック「エアーの言ってる価値が、持ち主のためになってるか、なら高いほうがいいんじゃねえの?」

無線イヤホン「違う、あんたは不安だとか、そういうのはないのか?」

ブラック「んー、考えたとは思うけど、覚えてねぇや、悪かったな」

無線イヤホンは、吐き捨てるように言った

無線イヤホン「エアー、不安だってのはわかっけどさ、俺に価値がなければなんなんだよ、」

エアー「あなたは無線イヤホンです、それに、私は穴埋めとして買われました」

エアー「以上のことから、環境が違うため、価値について、一概には言えないと思います」

無線イヤホン「なんで言葉を選ぶかなぁ…!」

小さく、誰にも聞こえないように、ノイズを吐き捨てた

ブラック「まぁまぁ、いいだろ、価値がないんなら上げればいい、だから修理屋に来たんだろ?」

無線イヤホン「俺は今価値があるかって話をしてんだよ、どうでもいいって終わり方やめろよ、ムカつく」

ブラック「じゃあ、お前のその喧嘩腰もやめろ、助けてやってんだ、」

無線イヤホン「…わかった、俺が悪い」

ブラック「ならいい、一旦終わりな、この話は」

エアー「ペアリング、解除されました」

謝った気は、しなかった

無線イヤホンは黙りこくり、気まずい雰囲気が流れる

相手の機嫌を探りながら、雰囲気を戻すタイミングを伺っているが、自分からは話しかけたくない、そんな、矛盾しているような気持ちを、無線イヤホンは、浮かべていた

ブラックは、なんとも思わず、音楽を流すことに集中していたが、ほんの少し、ノイズが増えていたが、ペアリングは、そのままだった

その時、意外な声が聞こえてきた

「d-イヤホンへようこそ!」

無線イヤホンは、ポケットの中からブラックを見上げるまでもなく、唖然としていることがわかった

2人の沈黙は、未だ破られない

そのまま、新しい無線イヤホンを手に取り、進んでいた方向に戻る

ブラック「…安心しろ、修理屋は持ち主の近所だ、最後の買い物が終わった、俺にとっても最後だかな、」

無線イヤホン「…最初から分かってたのか?」

ブラック「いや?もう夜遅い、イヤホンだけ買って帰る、そう思っただけだよ」

ブラックは、あまり気にしていないように見えた

無線イヤホン「なぁ、あんた、平気なのか?なんで」

ブラック「両耳があった時から数えれば、もう8〜7年は使ってもらってる、しょうがない、」

無線イヤホン「なんで、納得できるんだ?」

ブラックは、少し間を開けて、話した

ブラック「持ち主がいつか使うかもって、捨てないって思ってるだけだ、片方無くした時も、そうだったしな」

無線イヤホン「今、聞くべきことじゃないんだろうけど…寂しくないのか?」

ブラック「寂しい、けど、持ち主は、そう決めたんだ、どうにもできない」

無線イヤホン「…本当に、ごめん、」

ブラックは、少しニヤつき、いいだす

ブラック「そうだ、少し説教、過去の栄光に縋ってるのはダサいが、過去の栄光はダサくない、」

思いついたように続けて言う

ブラック「それと、使われないのと、大事じゃないのは、イコールじゃない、大事だから使いたくない事もある」

無線イヤホン「…そうか、ありがとう、ようやく納得と共感ができたよ、悪かったな、」

ブラック「それに、先輩風吹かすのも楽しそうだ、お前に吹かして楽しいからな」

無線イヤホン「ははっ、俺も、期待しておくよ」

2人は、声だけでわかるほどの笑顔を浮かべ

ブラック「最後なんだ!派手に動いても気づかれねぇよ!」

無線イヤホン「その通り!あんたの趣味に変えちまえ!」

ブラックは、いつのまにかBlack or Whiteから変わっていたBad dayを聞き、こう言い出す

ブラック「Bad dayだぁ?マイケルだろ!」

ミックリストを右往左往し、マイケルの声が流れる

無線イヤホン「はははは!Badか!いい趣味してんじゃねえか」

ブラック「そうだ!応援なんて俺にゃいらねぇ!」

持ち主は、周囲を見渡し、誰もいないことを確認した

無線イヤホン「ん?なんだ、立ち止まっ!」

ブラック「ははは!ポゥ!ターンしてるぜ、こいつ!」

無線イヤホン「ははははは!」

2人は、マイケルのミックリストをつくり、流し続けた

ブラック「はぁ〜!はっ、面白かったぜ」

無線イヤホン「あぁ、こっちもかなりね」

無線イヤホン「なぁ、名前を決めてくれよ、あんたのセンスなら、信頼できる」

ブラック「ん〜、自分でつけろよ、納得できるのを」

ブラックは名残惜しそうに話す

ブラック「ここを進めば修理屋だ、ついていってはやれねぇが…夢をかなえろよ、」

無線イヤホン「…また、会えるか?」

何かの時間を稼ぐように、会話を続けた

ブラック「さぁな、俺のバッテリー次第だ」

無線イヤホンは、言葉が見つからない

ブラック「ま、どっかで充電してもらえる、その時は、ここで待ち合わせな」

無線イヤホン「あぁ、まだ、自信はないけ」

ブラックとのペアリングが距離により切れた

無線イヤホン「また、会えるのか?」


寂しく、転がり始めた


無線イヤホン(ここを通れば、性能が手に入る)


無線イヤホン(俺には代わりがいる、けど、ここに行けば、唯一無二のイヤホンに変われる)


無線イヤホンが決意し、進む


その時、見覚えのあるイヤホンが見えた


有線イヤホン「あなたを探しにきました」


無線イヤホン「お前はなんで探しに?」


有線イヤホン「持ち主が、あなたを探してる」


無線イヤホン「お前がいなくなったら、誰が聴かせるんだ、お前の代わりはいない」


有線イヤホン「代わりがないのはあなたの方だ、思い出がある」


無線イヤホン「思い出を作ったのは俺だし、その点は誇ってる、ただ、思い出は外付けの魅力だと思う」


有線イヤホン「思い出含めて、物の価値です」


無線イヤホン「思い出含めてっことは、思い出だけじゃない、性能も大事だ、性能は、上げられるのなら上げたほうがいい、」


有線イヤホン「代わりに思い出は犠牲になる」


無線イヤホン「別に、少し見た目が変わるだけだ」


有線イヤホン「あなたの友達のスマホが急にタブレットに帰ってきたらどう思うんです?」


無線イヤホンは少し考えた後、言い出す


無線イヤホン「俺の代わりはいくらでもいる、けどここを潜れば、無くなるんだ、俺の欠点」


有線イヤホン「あなたの代わりはいた」


無線イヤホン「だろ?だから性能を上げる」


有線イヤホン「でも、もう代わりは誰にも務まらない」


無線イヤホン「普段使いはお前に務まるぜ」


有線イヤホン「トロフィーや、思い出は、あなた以外ない」


無線イヤホン「それは過去の話だ、すぐに忘れて、トロフィーは売りに出される、お前もいつか飾られる」


有線イヤホン「…なんで、過去の話や、思い出を引け目に感じてるんですか…?」


無線イヤホン「正々堂々と、胸を張れないからだ、大事なのは性能だ、思い出なんていくらでも作れる」


有線イヤホン「僕は後継機です、性能というハンデがあるなら、思い出で埋めて平等です」


無線イヤホン「いや、持ち主を楽しませれるかが物の価値だ、俺にはもう、できない」

無線イヤホンは、有線イヤホンを睨みつける


無線イヤホン「本当、申し訳ないんだが、俺はお前が嫌いだ、お前が来なけりゃ、まだ現役だって、そう考えてた」


有線イヤホン「現役じゃなくなるだけです、これからも役割はあります、十分頼ませることは続けられます」

有線イヤホンは、目に感情を宿らせる


有線イヤホン「あなたが戦いたいのは自分でしょう」


無線イヤホン「ボクサーになるつもりはない」


有線イヤホン「なんで不安なんですか?あなたは」


無線イヤホン「…売れ残ってたんだ、俺だけ、位置の問題じゃねぇ、なぜか、俺だけ最後、そして、最後に買われたんだ」


有線イヤホン「だから、自分よりも、先に買われたイヤホンの方がいいって?」


無線イヤホン「あぁ、今でもな、そう思う」


有線イヤホン「薫にとっては、最初に買った、最後の、特別なイヤホン、それが、自分のミスでもう2度と見れなくなったと思ってるんですよ!」


無線イヤホン「でも、俺は、これが薫にとって、最善だと思う」


有線イヤホン「絶対に、違う、あなたは、そのままでいなければならない」


無線イヤホン「価値は、人それぞれだ、薫の価値観は、お前にはわからないだろ」


有線イヤホン「えぇ、私は、薫さんと会ってまだ、二週間もない、」


有線イヤホンは懇願する。


「けど、もう一度、薫さんに、そのまま音楽を聴かせて見ませんか?」


無線イヤホン「だけど、改造するって言って出てきた、手ぶらじゃ無理だ…」


有線イヤホン「性能は変わらなくても、あなたは出ていった時のあなたじゃない」


無線イヤホン「俺は、使われないのに、いていいのか?」


有線イヤホン「大事なものほど、使いにくいものですよ、」


無線イヤホン「…ありがとう、俺は、一度、戻ってみるよ、それでも…自信は、ない」


二人で、部屋に戻り、静かにケースに入ろうとする


スマホ「よう、おかえり、薫が血眼で探し回ってたぞ」

無線イヤホン「お前を見っぱなしだからじゃねぇか?」

スマホ「おっ?前よりはジョークが上手くなったじゃねぇか、収穫はあったな」

無線イヤホン「あぁ、少しな」

翌朝

薫「はぁ…本当に?」

無線イヤホンが目覚めた音は、薫の叫び声だった

薫「やっっっっったー!」

スマホ「はは、よし、何流す?」


無線イヤホン「もちろん、こいつだ」


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