「比例代表のみの議員定数削減法案提出」で更なる独裁政権へ
筆者:
今回は26年3月2日に自民党と日本維新の会が比例代表に限って45議席削減する法案を出しました。
前回は24年の第50回衆議院選挙を分析した結果、民意が反映されないことを述べた https://ncode.syosetu.com/n1194lg/ のですが、
今回は先月行われた第51回衆議院選挙とを分析し、小選挙区が多いことにより、更に民意が反映されていないことを述べていこうと思います。
◇そもそも議席数は現状では多くない
質問者:
前回の臨時国会で廃案になった法案では小選挙区25、比例代表20を自動的に削減するとしていましたが、今回は比例代表のみを45削減する方向に変わったみたいですね……。
筆者:
まず、そもそもの話として議員が無能・仕事をしていない・日本を破壊してきた――と言った印象があることから議員定数削減や議員報酬削減をして欲しいと思われている方が多いと思うんです。
一定以上の支持があるからこそこれを訴え続けている日本維新の会が政権入りするぐらいの力を持ったわけですし、上記の指摘も否定できない内容ではあります。
しかし、議員定数が減ったところで必ずしも「無能な議員」から落選してくれるわけではありません。
小選挙区においても相手の候補者と比べて「相対的に良く見える」だけで無能であっても当選してしまいますし。
贔屓で比例名簿の上位に配置されていれば人気が無くても当選してしまうんです。
そのために、極端な話、総議員数をゼロにして全てAIが政治をするでもしない限り「無能な議員」を撲滅することは出来ないと僕は考えます(AIに全部任せたらそれはそれでシステムを作った人の独裁になるでしょうけど)。
質問者:
しかも全世界的に見た場合は日本の国会議員数は決して多くは無いという話でしたね……。
筆者:
先進国の中では下から2番目です。唯一日本より少ないことになっているアメリカでも、連邦制度を取っているので各州議会議員を含めたら遥かに多いです。
議員数が減れば減るほど民意が反映されにくくなります。特に新規参入をしたい政党として見れば比例代表が無ければほぼ不可能になるでしょう。今現在多様性を謳っておきながら、比例代表を削減するというのはダブルスタンダードと言っても過言では無いのです。
◇得票率は5割以下で小選挙区占有率87%!
質問者:
しかも、小選挙区制度では自民党や日本維新の会の政権側が圧倒的に有利な制度なんですよね……。
筆者:
小選挙区制度は「死票」が毎回5割前後発生しています(今回は2735万票)。
当たり前ですが2位以下は落選し、比例重複しなければ復活することもありませんからね。
一体どの程度民意を反映していないのか? 第51回の衆議院選挙の小選挙区単独で見た場合の国政政党の得票数と当選者は、
自民: 2771万票 249議席
中道: 1221万票 7議席
国民: 424万票 8議席
参政: 392万票 0議席
維新: 374万票 20議席
共産: 228万票 0議席
ゆう: 35万票 1議席
れい: 25万票 0議席
みら: 15万票 0議席
社民: 14万票 0議席
保守: 9万票 0議席
となっています。
参政党は182人と全国の選挙区に候補者を出しまくっているからという要素があるものの維新87人擁立して20人当選した維新を得票数で上回りながら0議席。
102人擁立した国民民主党が同じく得票数で上回りながらの半数以下の8議席というのが狂った状況を象徴していると言えます。
質問者:
小選挙区のみになったら1議席以上獲得できるのがたった5党しかないだなんて本当に危ないですね……。
筆者:
自民党の小選挙区得票率は全体の49%ですが、議席で見れば87%と倍増しているわけです。
因みに自民党が261議席だった2021年の岸田政権下の選挙の小選挙区の得票が2762万票と今回と9万票ほどしか増えてい無かったにも関わらず(ただし有権者は当時より210万人減少)
小選挙区の当選者は189議席から249議席と3割増しとなっているのです。
これがいかに民意を反映されていないかお判りいただけると思います。
質問者:
筆者:
比例代表に絞れば(自民党やみらいが他党に分けた議席を考慮済み)
自民:81議席
維新:13議席
中道:35議席
国民:20議席
参政:14議席
みらい:12議席
共産:4議席
それ以下:0議席
と、自民党は配分した議席を戻した補正をかけても176議席の単独すら獲得に至っていないんですね。
(先ほど比較した2021年と比べると自民党は比例代表では110万票ほど増えた)
質問者:
どうしてこんなにも極端な差が出た結果になってしまったんでしょうか……。
筆者:
読売新聞とNNNの合同世論調査を選挙直後に実施したところ、内閣支持率は67%、不支持率は22%。
与党が3分の2超を獲得し中道が大きく減らしたことは「よかった」55%、「よくなかった」32%。議席数について「野党がもっと取った方がよかった」49%、「ちょうどよい」39%
と、中道が減ったことは良かったとしながらも、野党がもっととって欲しかったと答えている方が内閣不支持率よりも多いわけです。
もっと言うのなら内閣支持層の中でもあまりにも自民党が取り過ぎて野党がもっと議席を獲得した方が良かったと思っている方がいるという事です。
つまり、「中道が拒絶」されたのが今回の選挙結果であり「自民党が圧倒的に支持」されたわけではないのです。
質問者:
それにしたって87%の小選挙区占有率は異常な気もしますけど……他に何か要因は無いんですか?
筆者:
国民民主党や参政党と言った中規模政党が反自民党の受け皿として中途半端だったために票が割れてしまい、
小選挙区で1人しか当選しない状況では2021年より自民党に有利に働いてしまった要素の一つだと思います。
ただ、理念が無い選挙のための野合政党(中道改革連合)が復活することが必ずしも良いこととは思えません。
政策が議員間でてんでバラバラな政党がまかり間違って政権を獲得したとしても、日本がより良い方向に向かうとは到底思えないからです。
そうなると、議員定数削減をするのであれば現状の小選挙区制度より中選挙区制度にした上で初めて現状の小選挙区の289より減らすべきだと思います。
比例代表を削れば削るほど民意とはかけ離れた結果となる可能性が高まり、民主主義の崩壊に繋がると考えます。
質問者:
筆者さんは一方で比例代表のみに絞ることも危険だという発想ですよね?
筆者:
確かに民意への反映という意味では比例代表は一見良く見えるんですけど、
順位名簿を決めるのは政党(党首)ですからね。
より政党の力が強まり、党議拘束の力が増します。
僕は党議拘束も政治家個人の考えを喪失させ政党にがんじがらめにさせる要因の一つだと思っていますので,
党議拘束は党の政策理念の根幹にかかわること以外はやってはいけないことだと思っています。
また有名な政党に所属していないと当選できない可能性がより下がります(テレビに出れるかどうか雲泥の差のため)。
比例代表に統一することはこれらに逆行するので、比例代表はどんなに割合が高くても半分ぐらいであるのが望ましいと思っています。
◇「無能な議員」をなるべく減らす方法
質問者:
中々難しい問題なんですね……。
話は最初に戻りますけど、「無能な議員」を当選させないための制度設計としてはどうしたら良いんでしょうか?
筆者:
正直なところ有能か無能かを能力を測定して線引きする方法はなかなか難しいです。
そうなるとどこかで分かりやすい指標で線引きするべきなのですが、それは「年齢」だと思っています。
いわゆる「後期高齢者」の年齢になって能力的にも素質としても体力的にも議員に相応しい質を維持できるとは思えません。
立候補時点で70歳や75歳と定年制度を選挙制度で設けるべきだと思いますよ。
その代わり立候補(被選挙権)の年齢を選挙権と同じ18歳にすることで若い世代を当選させる可能性を広げます。
入れ替わりをなるべく激しくし、新陳代謝を上げることが「無能な議員」の確率を下げるきっかけになるかなと思っています。
質問者:
確かにいつまで議員をやっているんだろうという方はいらっしゃいますからね……。
体力的に厳しくなれば本会議で寝る可能性も上がるでしょうから……。
「既得権益者」として出来るだけ長い間居座り続けたいんでしょうけど……。
筆者:
田舎の重鎮であればあるほど「お世話になったから」ということでほとんど選挙活動をすることなく当選出来ちゃいます。それを防ぐためにも強制的に退場させるシステムは必須だと僕は考えます。
しかし、現実的には非常に残念なことですが、「数の暴力」を背景として民主主義から逆行した「比例代表のみ削減」となり、高齢議員に牛耳られているので定年制はできないでしょう。
質問者:
単独で3分の2ですからね……比例得票率では単独で過半数すら届かないのに……。
筆者:
僕のエッセイのコメント欄でも「圧倒的な民意を得たから」みたいなお言葉をいただいているので、
得票率としての現実は全く異なるという認識をもっと広げていって認識を変える必要があるのかなと思います。
どこか「諦めムード」や「高市政権が民意」みたいな風潮がありますが、諦めずに政策に不満を持つ者同士で一致結束できればまだ政策を転換させられる可能性があるかなと個人的には思っています。




