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腐愛の黙示録 ~朽ちた神に呪われた世界で~  作者: 赤金武蔵


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第7話 憎悪

 静かな場内に、呟きが響く。


 波紋は新たな波紋を呼び、大きな波となり、爆発的に会場中へ広がっていった。



「アンデッド……?」

「アンデッドだって……!?」

「伝説の生物ではないか!」

「不死者を捕らえたのか!?」

「俺が買う!」

「いや私が!」

「絶対に欲しい!!」

「そいつを寄越せ!」

「私の物おおおおおお!!」



 欲に飢えた貴族たちが、客席からステージ上に向かってくる。


 それより先に、まずは司会へ急接近し、首を捻じ切った。

 これで合言葉による拘束はできない。

 あとはどう切り抜けるかだ。


 目の前で行われた凄惨な光景を見ても、貴族共は止まらない。


 司会から奪ったナイフで両足首と右手を切り落とし、再生した。

 自分だけなら逃げられるが、約束した手前、そういうわけにもいかない。


 瞬時に周りを見て、脱出経路を確認していると、まだ動けないでいるゴーダが叫んだ。



「兄ちゃん、使え!!」



 何かを喉の奥から吐き出し、口をうまく使って何かを飛ばしてきた。

 空中でキャッチ。直ぐに意図を察した。



(なるほど。だからこれだけの男が、大人しく捕まっていたのか)



 封魔法鉱。

 指定した魔法を閉じ込め、魔力を流すことでそいつを使うことのできる鉱石。


 この封魔法鉱に閉じ込められているのは──転移魔法。


 誰かを呼び寄せるつもりだな。乗った。


 魔力を流し、天井へ投げ飛ばす。

 力強く光り輝く鉱石が、弾けるように4つに分裂し……会場へ、4人の男女が現れた。



「遅せぇ遅せぇ! 遅せぇぜオヤジィ!!」

「とりあえず、鏖殺(みなごろ)し?」

「全殺し確定ね」

「団長、ご無事ですか!?」



 4人の服装に、統一感はない。


 しかし、羽織っている空色のマントに刻まれた紋様に、見覚えがあった。



「天輪の鷹爪団か」



 国王に認められ、最強を冠することを許された十の騎士団。

 という事は、ゴーダもそのメンバーの一員ということだ。


 前髪の長い少女が、ステージの上で両膝をつき、手を合わせる。



「結界魔法――《終縛の天蓋》」



 少女を中心に、会場を包むように結界が降ろされる。

 外に出ることは愚か、中に入ることもできない。


 つまり、元から結界内にいた傭兵以外、役立たずということだ。


 3人の騎士は剣や斧を用いて、目に入った貴族を片っ端から殺していく。

 国家直属の騎士がやっていい所業ではないが……恐らく、王家からの勅命なのだろう。


 容赦のない凶刃が、泣き、喚き、逃げ惑う貴族たちに振り下ろされる。


 傭兵たちも応戦するが、一瞬で殺される。

 まさに圧倒的だった。



(……それよりも)



 血の臭いで満ちた会場であっても、腐愛の臭いは収まらない。


 ミランから漂う臭いが強くなる。

 全身から、常人では見えない腐のオーラが迸っていた。



(聖女の祈りもないのに、自力でここまでとは)



 ミランの体と、リランの体が癒着してきている。

 今ならまだ間に合う。ミランを気絶させて、リランの遺体を剥がす。


 ナイフを手に彼女たちに近付こうとした、その時。

 動けるようになったゴーダが、目の前に立ち塞がった。



「退け。邪魔をするな」

「ま、待てよ兄ちゃん。あの子たちをどうするつもりだ」 

「双子を引き剥がす。あのままじゃ危険だ」

「大丈夫だって。あいつらは俺の部下だし、危険はない。もう少し、姉妹だけの時間にしてやろう」

「そういう意味じゃ……ッ!」



 反射的に、ゴーダの体を蹴り飛ばす。

 直後、何かがレクスの横っ腹を穿ち貫いた。



「ぐっ……!」



 いくら痛みに慣れているアンデッドでも、不意の痛みには弱い。

 何かに臓物ごと引き抜かれ、思わず膝をついた。


 触手だ。あまりにも太く、おぞましい形をしている。

 それに付いている口が、レクスの内臓を食い散らかしていた。



「リランの血ぃ、止めなきゃ……食べなきゃ……お肉食べなきゃ……食べなきゃ……食べなきゃ……死んじゃだめ……だめ……だめ、だめ、だめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめだめいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや」



 1本だった触手が2本、3本と増えた。

 それらが無造作に蠢くと、傍で逃げ遅れた肥満の貴族を補足した。


 だが、貴族はその異変に気付かない。

 騎士団の面々に恐れ、腰を抜かしていた。



「なっ、なななななぜここに騎士団が……!」



 触手がゆっくり男を囲む。


 そこまでしても、気付かない。

 男はただ、喚き散らしているだけだった。



「だ、誰か! 誰かおらんか! 私を優先的に護れ! こんな所で死ねるか! 騎士団から護った者には、特別に報奨金をだだだだだだだだだだたもらららららららららららら」



 男を巻き取り、無数に付いている口が男を生きたまま咀嚼する。


 四肢をもぎ、内臓を食い破り、最後には頭を噛み砕く。


 凄まじい捕食本能だ。

 目の前で双子が殺されるというのは、ここまで憎しみ()が強くなるのか──。

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