58/58
エピローグ:焚き火があれば、だいたい大丈夫。
――後年、王国の公文書にこう記されている。
『辺境の不穏な焚き火集団、実害なし。
むしろ香ばしい。』
分析も反省も尽くされたが、結論はそれで終わった。
なぜなら、誰も飢えず、誰も争わなかったからだ。
* * *
今日もまた、森の片隅で焚き火が燃える。
パチパチと音を立て、夕暮れの風に小さく笑うように。
木の枝に刺したウインナーをくるくる回しながら、
エリザベートはいつもの調子でつぶやいた。
「戦略? そんな難しいこと考えてないよ。」
「焚き火があれば、だいたい大丈夫。」
炎がふっと揺れ、まるで肯定するように光を放つ。
その輝きは、王国の地図には載らない“平和の証”だった。
――そして今日も、森は静かに、香ばしく繁栄している。




