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悪役令嬢、今日も辺境でキャンプ防衛 ― 焚き火の火は消さないけれど、戦意はよく消える ―  作者: 南蛇井


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55/58

Scene 55:協定案の調整 ――「火の取り扱い、国是に」

焚き火の炎が落ち着き、香草の香りが漂う中。

リゼットは眼鏡を押し上げ、真剣な面持ちで口を開いた。


リゼット:「辺境で培われたこの“生活技術”を、王都でも広めたいのです。

 火の管理、湿度の調整、虫除け草の知識……どれも人の暮らしを豊かにします。」


エリザベートはスープをかき混ぜながら、少し考えてから微笑む。


エリザベート:「いいですよ。ただし――」

リゼット:「ただし?」

エリザベート:「朝のコーヒーは、自分で淹れてください。」


一瞬の沈黙。

次の瞬間、学者が手を打った。


学者:「それだ……! それこそ生活自立の第一条!」

リゼット:「……そんな条文、聞いたことがありませんけど……でも、いい響きです。」


その場で新しい協定草案が書き上げられた。

タイトル――


『焚き火協定 第一条:

 すべての人は、自らの火を扱う権利と義務を持つ。』


風が吹き抜け、炎がふっと大きくなる。

それはまるで、森が「それでいこう」と頷いたようだった。


エリザベート:「火は貸せるけど、温もりは自分で育てるものですから。」

リゼット:「……素敵な国になりますね。」


焚き火がぱち、と音を立て、協定が正式に燃え――いや、成立した。

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