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Scene 55:協定案の調整 ――「火の取り扱い、国是に」
焚き火の炎が落ち着き、香草の香りが漂う中。
リゼットは眼鏡を押し上げ、真剣な面持ちで口を開いた。
リゼット:「辺境で培われたこの“生活技術”を、王都でも広めたいのです。
火の管理、湿度の調整、虫除け草の知識……どれも人の暮らしを豊かにします。」
エリザベートはスープをかき混ぜながら、少し考えてから微笑む。
エリザベート:「いいですよ。ただし――」
リゼット:「ただし?」
エリザベート:「朝のコーヒーは、自分で淹れてください。」
一瞬の沈黙。
次の瞬間、学者が手を打った。
学者:「それだ……! それこそ生活自立の第一条!」
リゼット:「……そんな条文、聞いたことがありませんけど……でも、いい響きです。」
その場で新しい協定草案が書き上げられた。
タイトル――
『焚き火協定 第一条:
すべての人は、自らの火を扱う権利と義務を持つ。』
風が吹き抜け、炎がふっと大きくなる。
それはまるで、森が「それでいこう」と頷いたようだった。
エリザベート:「火は貸せるけど、温もりは自分で育てるものですから。」
リゼット:「……素敵な国になりますね。」
焚き火がぱち、と音を立て、協定が正式に燃え――いや、成立した。




