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Scene 54:焚き火外交会談(昼食形式) ――「議題:ぬくもり」
会場:森の焚き火広場。
机の代わりに丸太、椅子の代わりに切り株。
議題は「文化交流・技術共有・火の安全管理」。
……だが、進行役のエリザベートが開口一番に言ったのは――
「まず、コーヒーを飲みましょう。」
その瞬間、風がふっと流れ、香ばしい焙煎の香りが森全体に広がる。
リゼットの背筋が一瞬でゆるんだ。
リゼット:「……っ、この香り、集中力が……」
書記官(メモ中):「※会談開始5分、全員が香りに黙る」
湯気の立つカップ。
香草を少し混ぜた特製コーヒーは、驚くほどやわらかな味だった。
エリザベート:「これが“辺境式の外交プロトコル”ね。」
リゼット:「……五感に訴えるタイプの……新しい形式……」
香り、火の音、鳥のさえずり――
どれもが自然と「会話の間」を作り出す。
エリザベート:「火を前にすると、嘘が燃えちゃうんですよ。」
リゼット:「……それ、すごく……いいですね。」
彼女のペンが止まる。
議事録の欄外に、思わずこう書き込んでいた。
『この距離感こそ、平和の定義かもしれない。』
焚き火の炎が、ふっと揺れて笑ったように見えた。




