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Scene 49:焚き火の光、そして誘い
霧の中、ぼんやりと――揺らめく光。
それはまるで、迷子の兵士たちを導く灯のようだった。
兵士A:「……見えますか、あれ。」
副官:「炎……? まさか、敵の罠では?」
クルス:「可能性は高い。だが、あの匂いは……スープだな。」
胃が鳴る音があちこちで重なった。
寒さと空腹、そして香草の香りが兵士たちの理性をゆっくりと溶かしていく。
クルス:「……様子を見る。決して油断するな。」
霧を抜けた瞬間、空気が変わった。
そこは穏やかな光と湯気に包まれた小さなキャンプ地。
焚き火のそばで鍋をかき混ぜる女が一人、
その隣には、眠そうなウサギが湯気を見つめている。
エリザベート:「こんばんは。お疲れさまです。」
(にこやかにおたまを差し出しながら)
「お腹、空いてません?」
兵士たちの喉がごくりと鳴る。
誰もが一瞬で武器よりもスプーンを握りたくなった。
クルス:「我々は……貴様らを――」
(ふわりと香るハーブの湯気)
「……少し、だけなら……味見を。」
ウサギのマルシュが、のそりと顔を上げてぽつり。
マルシュ:「すー……味見、三杯目。」
――その夜、王国軍の進軍は正式に停止された。
代わりに始まったのは、**最前線の“焚き火晩餐会”**だった。




