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Scene 48:霧と香草の結界
森の外縁――そこには、見えない“境界線”があった。
最初の一歩を踏み入れた瞬間、
王国軍の行列はふわりと柔らかな霧に包まれた。
クルス:「霧か……いや、これは自然現象ではない。結界だ。」
副官:「……に、匂いがしますね。香草のような……?」
霧の中には微かなハーブの香りが漂っていた。
それは穏やかに鼻をくすぐり、鎧の金属にまで染み込んでいく。
兵士たちは互いの姿を見失いながらも、不思議と不安を覚えなかった。
むしろ――落ち着く。
兵士A:「……なんか、腹減ってきたな。」
兵士B:「戦う前に……飯、食ってもいいんじゃないか?」
副官:「ま、まあ……軽食ぐらいは……」
どこからともなく小鳥の声が聞こえた。
地面はふかふかで、空気がやわらかい。
兵士C:「なぁ、隊長。これ、ほんとに敵地ですか?」
クルス:「……黙れ。まだ結界の中だ……(ごくり)……スープの匂いがするな?」
霧は深く、香りは濃く。
やがて、彼らの陣形は自然と崩れ――
**“進軍”は“昼食会の準備”**に変わっていった。
風がくすくす笑うように吹き抜け、
焚き火の光が、霧の向こうでやさしく瞬いていた。




