表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、今日も辺境でキャンプ防衛 ― 焚き火の火は消さないけれど、戦意はよく消える ―  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/58

Scene 43:風の精霊、来訪

夜更けの焚き火は、まるで呼吸をするようにゆらめいていた。

静かな風が通り抜け、炎の形が一瞬、奇妙に揺らぐ。


ぱち――。


火の粉が宙に舞い上がり、それを包むように風が渦を描いた。

そして、その渦の中から――ひとりの“人影”が現れる。


透明で、輪郭がはっきりしない。

風でできた髪がふわりとたなびき、瞳は淡い青に光っていた。


精霊:「おまえたち……人間のくせに、燃やすのが上手だな。」


声はどこか無邪気で、しかし空の彼方から響くように澄んでいる。

驚く一同の中で、エリザベートだけがいつも通りの調子で微笑んだ。


エリザベート:「ありがとう。キャンプだからね。」


精霊は首をかしげ、焚き火の炎をのぞき込む。

その動作に合わせて風がふわりと流れ、火が虹色に揺れた。


精霊:「へぇ……火も風も、踊るのが好きなんだな。」


焚き火の周りに、かすかな旋律のような風音が響く。

炎と風が混ざり合い、渦ができ――光の粒が夜空へと舞い上がっていく。


学者:「あれが……精霊共鳴……! 自然現象のはずが……!」

エリザベート:「見た目の割に、すごい現象らしいね。」


精霊はくすりと笑い、焚き火の熱を楽しむように両手をかざした。

その笑顔はまるで子どものようで、けれど風そのもののように掴めない。


精霊:「いい火だ。見てると、胸のあたりが……ふわってする。」

エリザベート:「それはね、あったかいってこと。」


精霊は、しばらくその言葉を噛みしめるように黙った。

そして、夜空に舞う光の粒の中で、ひときわ強い風が吹く。


精霊:「また、遊びに来る。」


そう告げて、風は形を失い、夜空へと溶けていった。

残された焚き火は、まるで笑うように――ぱち、と小さく音を立てた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ