表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢、今日も辺境でキャンプ防衛 ― 焚き火の火は消さないけれど、戦意はよく消える ―  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/58

Scene 40:帰還報告と論文提出

王都、王立魔術学院。

荘厳な塔の上層、魔力結晶の光が冷たく揺れる研究室。


扉が開き、リリィが戻ってきた。

以前よりも表情が柔らかく、手には分厚い報告書が一冊。


教授:「リリィ=アークライト、辺境調査からの帰還を確認した。

 では――報告書の提出を。」

リリィ:「はい。こちらが、わたしの卒業論文です。」


教授が表紙を読み上げる。

教室の空気が、一瞬で静止した。


『キャンプは最強の魔術体系 ― 焚き火共鳴理論の実証報告 ―』


……沈黙。

魔法理論科の学生たちが顔を見合わせる。

教授の手がプルプル震える。


教授:「……か、キャンプ?」

リリィ:「はい。

 理論ではなく、呼吸と炎の共鳴による魔力安定。

 実際に“火の瞑想”で魔力の暴走を抑えられました。」


後ろの助手が小声でつぶやく。


助手:「……なんか……健康にもよさそうですね……」


教授が机を叩く。


教授:「原始的だ! 学問を何だと思っている!」

リリィ:「焚き火を、ですか?」

教授:「違う!……いや、そうだが……!」


――混乱。

その後、論文は上層部によって「再審査行き」とされた。


だが――


数日後、学生寮の掲示板にはコピーされた論文の一部が貼られていた。

「焚き火呼吸法の実践報告」「虫除け草ブレンド表」など、実用性が高すぎたのだ。


学生A:「これ、実験室でやったら超集中できたぞ!」

学生B:「次の試験、“キャンプ形式”でやらない?」

学生C:「俺、焚き火係やる!」


その熱気は、やがて一つのクラブへと形を変える。


――王立学院・キャンプ部、誕生。


リリィは窓の外でその噂を聞きながら、静かに微笑んだ。


「あの森の火、ちゃんと届いたんだ……」


彼女の瞳に映るのは、遠くの焚き火の記憶。

学院の冷たい塔に、あたたかな風が吹き込む。


そして、この一文で論文は締めくくられていた。


“魔法とは、理屈でなく――温もりである。”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ