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悪役令嬢、今日も辺境でキャンプ防衛 ― 焚き火の火は消さないけれど、戦意はよく消える ―  作者: 南蛇井


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30/58

Scene 30:教会の変化

数日後。

王都の中心、白亜の尖塔がそびえる教会本部。

厳粛な空気の中、重厚な扉が勢いよく開かれた。


審問官グラウス、帰還。

衣服は煤け、袖口には砂糖の粉。

しかしその顔は、どこか晴れやかだった。


司祭長:「グラウス、報告を。」

グラウス:「……はい。」


彼は机の上に、一枚の巻物を置いた。

タイトルは、筆跡も堂々と――


『焚き火における神性の再評価』


静まり返る会議室。

司祭たちは顔を見合わせ、ざわめく。


若い司祭:「……再評価?」

グラウス:「はい。火は破壊の象徴にあらず。

人を温め、甘味を与える神の試練であります。」

老司教:「あ、甘味……?」

グラウス:「マシュマロです。」


机の上に置かれた、ふわふわの白い塊。

グラウスは自ら火を灯し、それを金串に刺した。


グラウス:「見よ。焦げ目こそが、神の意志。」

司祭たち:「……おお……」


誰かがつぶやいた。


「……香ばしい……」


その日の午後。

教会の庭では、黒衣の司祭たちが列をなし、

一心にマシュマロを焼いていた。


「もっと近づけろ、焦げすぎるぞ!」

「祈りが足りん、風がずれた!」

「聖なる炎よ、均等な焼き目を!」


信仰が、まさかの焚き火実習型へと進化を遂げる。


そして、正式な通達が出された。


『新たな礼拝形式:焚き火会』

『マシュマロは聖餐として扱うこと』


教会内に、正式に**「焚き火寛容派」**が誕生した。

それは後に、王国全土へと広がる信仰改革となる。


章ラスト一文(締め)


かつて焚き火を罪と呼んだ者が、

今はその炎で祈りを捧げている。

神と火のあいだに、甘味が架けた橋――

それが、“初の交戦”の真相だった。

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