Scene 23:森の“平和汚染”
結界発動から三日後。
辺境の森は静かに、だが確実に拡大していた。
原因は“自然班”の予想外の成果――というか、
精霊たちの気まぐれによる副作用。
精霊信仰者:「……あれ? 結界、呼吸してる?」
元庭師:「あぁ、森が勝手に伸びてますね。いい風です。」
エリザベート:「いや、いい風じゃなくて、これ……村まで届いてるんじゃ?」
そのころ、森のふもとの小村にて。
村人A:「なぁ……なんか空気、やたらうまくないか?」
村人B:「うん。あと、やけに眠い。畑よりハンモック優先だな。」
村人C:「仕事? ……まぁ、明日でいいか。」
村の広場では、全員が昼下がりのまどろみモード。
羊も鶏も、まさかの“昼寝シフト制”。
さらに奇妙な現象が起こり始める。
・焚き火の火が、誰も触っていないのに自動で最適温度を維持。
・鍋のスープが、冷めないどころか適温をキープ。
・鳥や小動物が、人間のひざの上で勝手にうたた寝開始。
そして極めつけは――
村人D:「……うちの犬、焚き火の前で“哲学的な顔”してるんだけど。」
村人B:「森に入ったら、みんな“悟り”そうなんだよな……」
やがて、旅の商人が王都に戻り、こう報告した。
「辺境の森、危険です! 入ったら最後……!」
宰相:「やはり戦か!?」
商人:「いえ……平和が……濃すぎます!」
ナレーション:
「森の結界は、戦を止めることも、心を止めることもできた。
それは“防衛”というより――
世界をゆっくり昼寝させる魔法だった。」




