Scene 22:敵偵察隊、侵入(第一次ピクニック事件)
王都発・第七偵察部隊。
精鋭中の精鋭、昼食抜きで出発。
任務はただひとつ――「辺境の不審な森を徹底調査せよ」。
隊長:「いいか、前回の連中みたいにスープで買収されるな! 今回は絶対に油断するな!」
兵士たち:「了解ッ!」
気合は十分。
だが、それが通用するのは森の外までだった。
境界線を一歩、越えた瞬間。
ふわぁ――っと、やわらかな風。
ハーブと木漏れ日が混ざったような、心の奥を撫でる香り。
「……あれ? なんか、いい匂い……」
「これ……ラベンダー? いや、セージ……?」
「隊長、なんか……気分が……」
隊長は歯を食いしばり、叫ぶ。
「だ、騙されるな! これは敵の幻惑系魔法――っ!」
しかし次の瞬間、彼の鼻をくすぐったのは、
ローズマリーの香りをまとった風。
「……昼寝していい気がするな……」
(上空から)精霊:「いいよ。」
――その場で全員、すとん。
武装した兵士十数名が、森の真ん中で一斉に昼寝を始めた。
風は優しく頬を撫で、鳥たちが子守唄を歌う。
数時間後、森の見回り中だったマルシュ(ウサギ)が、
ぴょんぴょん跳ねながら彼らを発見。
マルシュ:「ピピ(寝てる)」
精霊信仰者:「ああ、またお客さんが寝ちゃったのね。」
元庭師:「葉っぱかけておこう。夜露、ゼロとはいえ風邪引くし。」
エリザベート:「お茶も淹れておいて。目覚めたとき驚かないように。」
森の“防衛”は今日も完璧だった。
ナレーション:
「こうして発生した“第一次ピクニック事件”は、
王国軍史上もっとも穏やかな敗北として記録される。
被害報告:なし。被睡者:全員。」




