カンパイ‼︎
転移スキルを使ったのか、ストイ様が部屋にいて話に割り込んできた。
「ストイ様!?」
「あれ?ストイさん?」
「じーさん!なんでここにいるんだよ?!」
「すすすす、ストイ様!!は、早く神殿にお戻りください!」
おれ達はそれぞれの反応を見せた。ストイ様の目は少し赤かった。
「…アリアよ!こんな時に神殿にいられるものか!あのような神曲を…そしてヒミツの二人で弾き語りの新曲を聴かせられて興奮しないものなどおらぬ!」
「あのぉ、ストイ様……神が“神曲”とかいう言葉を使うのはどうかとー、ははは…。」
「いや!あれは間違いなく神曲である!ヒビキ殿よ!素晴らしいギターの音色であった。ワシも危うく浄化させられるところだった。」
「あー、あはは……ありがとうございます…。」
「そして何よりミミよ!!」
「え?私?」
「……あれはそなたの書いた歌詞だな。今までとは比べ物にならないほど想いが伝わってきたぞ。」
「……ありがとうございます。」
「…うむ。それにしても素晴らしい曲だった。思わずワシはサブアカウントを使ってふたつのアカウントで投げ銭してしまった。」
「す、ストイ様!!!それは規約違反でございます!!神殿の神に仰られる貴方様がそのようなことを…!」
「………アリアよ。内緒にしていてな?」
「〜〜〜!………は、はい。」
もう状況がわけわからなくなっていた。
「……して、バンドサウンドにはいつなるんだ?」
「あぁー、それはこれかr…」
「任せろじーさん!!すぐ作ってやる!!そのためにアタシとアリアはここに来たんだ!!」
「そ、そうなんです、ストイ様!早くさっきの曲をボク達も演奏したくて、居ても立っても居られなくてここに来たんです!」
「ほほっ!そうかそうか!それなら早くバンドでも聴けるだろうな。……だがヒビキ殿、あの曲はたまにはミミとふたりで演奏するのも悪くないと思うぞ?」
「それはなんとなくわかります。タマもアリアもこれだけ喜んでくれましたし。」
「うむ……。そして、目標の3,000カーズに達成したようだな。」
「…え?なんでそれを?」
「うむ、ミミから聞いたり、時々そなたの心の中を見せてもらっていた。」
「すすす、ストイ様!重ね重ね申し上げますが、それは違反行為です!!担当のミミならいざ知らず、貴方様がそれをするというのは…」
「…アリア。内緒だぞ?」
「〜〜〜!!!!も、もぉ!ストイ様のバカ!」
「ほほっ♪アリアにそんな言葉を浴びせられるのは、逆に光栄なことだな!………ヒビキ殿よ。そなたが目標金額に達したことは讃えるべきことだ。どうでも良い事などではない。…….この女神達は金の有り難みを忘れておる。素直に喜んでいいのだ。」
「……は、はい。」
(それなりに喜んでたつもりだけどな…)
「この女神達が喜ばぬ代わりに、ワシが共に喜ぼうではないか!!バンザーーーイ!♪やっふーーー!!!♪」
「……………。」
目の前の神が喜ぶ姿を見て、少し引いてしまった。
「どうした?!共に喜ぼうぞ!?バンザーーーイ♪!3,000カーズ達成だーーー!!!!フゥーーー!!!♪」
「……ば、ばんざーい。やったー………。」
「ミミ!アリア!タマ!!お前達もこの偉業を讃えるのだ!バンザーーイ!!!」
「「「………ばんざーい。」」」
ストイ様の無邪気な姿に引きつつも、この方の人格の凄さに反論はできなかった。
ストイ様を含めた五人で何度もバンザイをした。
「……うむ!そろそろよかろう!では、宴の用意だ!」
「は、はぁ?!じーさん!アタシ達の言ってたこと聞いてたか!?今からあの曲にドラムとベースをつけるんだよ!!」
「そ、そうです、ストイ様!!ボク達はそのためにここへ来たんですから……。それに貴方様がこんなところで宴なんて…許されません!」
「…そなた達の言い分もわかるが、今宵は祝いの夜だ!今からここで呑むぞ!!ヒビキ殿!酒の肴を所望する!!」
「え……?あの、祝いの主役はおれじゃ……。」
「ワシは、そなたの料理を所望する!!」
「……はい。」
おれはキッチンに立った。
ミミの家にアリアとタマと、そしてストイ様が机を囲んでおれの料理を待っていた。イブキはストイ様の頭の上に楽しそうに乗っていた。
「す、ストイ様!何度も申し上げますが、我々のような下々の民と貴方様が食卓を囲むというのは…」
「アリアよ。そなたは神と魂の差別をするつもりではないな?」
「そ、そのようなことは…!で、ですが!」
「…今宵はいいのだ。めでたい日なのだ。『to you』の編曲に関しては明日でよかろう。それに…」
「そ、それに…?」
「…一度ヒビキ殿の手料理を食べてみたかったのだ。」
「……も、もう、なんでもいいです。」
アリアは全てを諦めたみたいな顔をしていた。
おれは、今日ミミと食べるために仕込んでおいた豚の角煮とうずらの煮卵を皿に盛り付けて出した。
「あ、あの、ストイ様…こんなのしか出せませんけど…いいっすか?」
「おお!なんと!これがヒビキ殿の手料理か!こういうものでいいのだ!むしろこういうものがいいのだ!」
ストイ様は、孤独な男のグルメ漫画みたいな台詞を言った。
「…あはは!ならストイ様も併せて、みんなで乾杯しよう!!!ミミ!乾杯の音頭取ってくれ!」
「えー?仕方ないわね……。みんなグラス持った?!…それでは!ヒビキの3,000カーズ達成と、、、あと、なんか色々めでたいことあったし、ストイ様も来てくれてるし、なんか色々祝ったりして……んー!よくわからないけと…」
「乾杯だーーーーー!!!!!!」
ミミが考えながら話していたことを全て遮ってストイ様がテンションMAXでそれを言った。
「「「カンパーイ!!!」」」
(キューーーゥン!!!)
「ちょ、ちょっと!ストイさん!私の役を取らないでくださいよー!」
「はっはっはっ!!何でもいいのだ!!今宵は実に愉快だ!!」
ストイ様はタマと同じくらいテンションを上げて宴会を盛り上げた。
おれの作った料理を食べては何度も涙を流して、その後酒を流し込んで笑顔になっていた。おれはこんな変で面白くて素敵な神がトップにいることを知って、少し安心した。
豪華とも言いにくい安上がりな宴会は、今までにない盛り上がりを見せて、空が明るくなるまで続いた。
お読みいただきありがとうございます。
今タイトルはTOKIOさんの楽曲から拝借致しました。
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とはいえ、私自身そういうことをしてこなかった者なので、しなくても全く問題ありません。
これからも『それでも尚、神に媚びる』をよろしくお願い致します。




