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それでも尚、神に媚びる  作者: 羽曳オトカ・A
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真夏の夜の夢



「オホホっ♪わたくしは大歓迎ですよ♪むしろ、謹慎明け一発目のライブをシャーロットのリベンジ配信にしていただけることに感謝の意を表します♪」



バンドの活動再開日当日、おれ達四人はブラウンに連絡を取り配信ライブの打診をした。画面の向こうにいるブラウンは相変わらずの笑い方をしていた。



「オホホ♪…それにしても、メンバーが増えて名前まで変えるなんて、ヒビキ君も思い切りましたね♪……よりに寄って、タマさんとは思いませんでしたけれども。」


「ああん?なんだ?ブラウン。アタシだと悪いのかよ。」


「…目上の神に対する態度がまだ直ってないようですね。」


「はぁ?目上なら尊敬されるような態度取れってんだよ。そうしたらアタシだって少しは敬語にしてやるさ。なはは♪」


「……まったく忌々しい。」


ブラウンの表情が少し変わって、笑顔の中に確かに怒りが混ざっていた。

タマとの間に火花が散っているように見えて、おれは小声でタマに質問した。


「(タマ……!…ブラウンとなんかあったのか?)」


「ん?ああ、アイツがコープランドにいた時に、アイツから陰湿なイジメを受けてた後輩の神達を助けたんだ。あんなやつがまともな神なわけねぇよ。」


やっぱりタマは漫画のヒーローみたいなキャラをしている。

ブラウンは咳払いを数回して話を進めた。


「……し、失礼、少し取り乱しました。では、配信ライブの契約内容ですが、以前と同様で構いませんか?開催は三日後、前と同じ時間から。もちろん、バンド名と参加人数は変更させていただきます♪」


「あ、それなんですが、配信の場所を少し変えさせて欲しいんです。ドラムが入ったので、野外で行うと思います。照明は用意しますので!」


「場所?そんなのは特に指定していませんので、お好きな場所で配信してもらって構いませんよ?」


「いや、一応、なんというか…」


「わかるぜヒビキ!あんなやつ、ちゃんと細かく決めとかねぇと後で何の言い訳されるかわかんねぇもんな!」


「た、タマ!やめろって!そんな全部言うなよ!」


「……ヒビキ君もタマさんの影響を少々受けてしまったようですね。」


「いや!そんなつもりじゃ!」


「わざわざそんな細かいところまで決めるというのは、よっぽど自分達の演奏に自信がお有りのようですね?♪オホホっ♪」


「あー、それはありますよ?」


おれは素直に答えた。


「 ………なるほど。貴方達の覚悟は理解致しました。是非とも、前回のことが無きようよろしくお願い致しますね?同じことを繰り返されるようなら、わたくしはバンドの強制解散を申請致しますので♪それでは〜♪」


(ティロン♪)


おれ達の挨拶も聞かず、契約書だけ残してブラウンはオンラインルームから退室した。

おれは書面を確認しながら口を開いた。


「タマー。いちいちブラウンを煽るなよー。めんどくさいじゃないか。」


「ああ?いいだろ別に。お前の気持ちを代弁してやっただけさ。」


「それはそうだけど、わざわざ口に出さなくてもさー。」


「ひ、ヒビキ君!契約書、ボクに見せてくれませんか?」


アリアがおれ達の会話に割って入った。


「ん?別にいいけど。ほら。」


「………!!こ、これ!違約金が500カーズになってます!!向こうも開き直ってますよ!」


「ん?そんなの確認してるよ。」


「え?!な、ならそれはまずいのでは、、?」


「いや、だって違約しなければ良いだけだろ?おれはこのメンバーならもうあんなことはないって信じてる。」


「あ……。」


「くっくっくっ……!!なはははは!♪いいねぇヒビキ!!そういうところがアタシは好きさ!!そうだよな!違約金なんかクソ喰らえだ!」


「…その代わり頼むぞータマ。あんまり暴れんなよ?」


「は、はぁ?!いつも練習中煽ってきてるのはお前だろーが!!!!」


「あはは!そうだな!」


おれはアリアが確認を終えた契約書にサインして、それを送信した。



ミミが一言も話さなかったことが気掛かりだった。



「ミミ?」


「………え?あ、あー何?どうかした?」


「いや、それはどちらかといえばこっちのセリフなんだけど。。、」


「え?あ、えっと、……やっぱり私があんなことしなかったら、こんなことにならなかったのかなって…あはは…。」


「無理に笑わなくていいよ。前にも言ったけど、あの時ミミが言わなかったら、おれがすぐに言ってたよ。ミミはおれを守ってくれたんだ。ありがとう。大丈夫だ。」


「ひ、ヒビキぃ。」



そんなおれ達のやり取りをニヤニヤと見ていたタマとアリアが話し始めた。


「…….へぇー。お熱いことで♪アリア!アタシ達は帰るとするか!」

「そ、そうですね、ボク達はお邪魔かと…。」

「コイツらの熱い夜には敵わないだろうけど、アタシ達も甘い夜を過ごすとするか!なはは♪」

「あ、それはないですね。」



そんな二人のやり取りがリズム隊として頼もしく見えつつ、少しめんどくさく思えた。


「ち、違うからな!そういうわけじゃ…」


「まぁまぁ!良いじゃねぇか!三日後まで時間はあるんだし、今日はふたりでしっぽりヤんなよ?じゃあな!また明日〜♪遅刻すんなよ!なはは♪」



そう言ってタマとアリアは家を出て行った。




「……た、タマはほんと余計なこと言うよな…。」


「……そ、そうね。私達が何かあるわけでもないのに……。」


「………。」


「………。」


(キューゥン?)




おれ達はそれ以上の言葉を交わさず、互いに寝支度を済ませた。ミミは寝室に、おれはソファの上で寝た。イブキがおれの頭の上で暴れていたけれど、今日はなんとなく、彼女の寝室で寝る気にはなれなかった。いや、寝てはいけない気がした。






三日間練習を繰り返して、おれ達は配信ライブ当日を迎えた。


野外用の照明を焚いて、カメラをセットし、準備は万端だ。



「よし、みんな心の準備はできたか?」



「「「うん!」」」


三人が同時に頷いた。



おれは配信開始のボタンを押した。






お読みいただきありがとうございます。

今回のタイトルは松任谷由美さんの楽曲から拝借致しました。

この物語が気に入ってくれた方は、ブックマーク、評価に星をつけていただけると幸いです。

とはいえ、私自身そういうことをしてこなかった者なので、しなくても全く問題ありません。

これからも『それでも尚、神に媚びる』をよろしくお願い致します。

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