島人ぬ宝
「……タマ?あんた今なんて言ったの?」
「だから!ヒミアスにアタシも入れろって言ったんだよ!ロックで口だけじゃなくて耳まで悪くなったのか?!“ミミの耳”は!なはは♪」
「…あ、あんたなんかメンバーに入れるわけないじゃない!何の楽器ができるのよ!?」
「楽器ー?何でもできるさ、きっとな♪」
「“きっと”って何よ?!“きっと”って!楽器できないのにバンド入ってどうすんのよ!?」
「いちいちうるせーなー。…ほら、バンドってアレなんだろ?好き放題演奏して、その後酒呑みまくる毎日なんだろ?最高じゃねぇか!」
「……あんたそれ誰から聞いたの?」
「ん?この間、アンタ達のバンドの噂が流れてきた時に、たまたまアポロンと弁財天とバッカスと呑んでたんだよー。アイツらが言うんだよ!“バンドは酒を呑む為の看板だ”って!」
「……そんな最低な理由で入れるやつがいるか。……あの酒カス神共めー!!」
「ミミー!連れないこと言うなよー!昔からの仲じゃんかよー。」
「…ハハハハ…」
おれは苦笑いするしかできなかった。
(ガラガラ…)
「す、すいません店員さん、中で待ち合わせしてる人達がいて…」
振り返るとアリアが店に入ってきていた。なんというタイミングなのだろうか。
「(……ぉーぃ)。」
おれは小声で手を振った。
「あ!ひ、ヒビキ君!すいませんお待たせしましt…」
「んー?おおっ!アリアじゃねぇか!!!?」
「………帰ります。」
無表情になったアリアは急に踵を返した。
「ま、待てよー!なんでアタシのこと避けるんだよ!こんなにアタシはお前のこと愛してるのによー!?」
タマさんはアリアに抱きついてそんなことを言った。
「お、お酒臭いっ…!ぼ、ボクは別にタマのこと愛してませんー!なんでタマはボクにだけベタベタししくるんですか?!離れでぐだざいー!」
「あーん♪ホント可愛いなーお前は…髪も切ったんだなー?ショートヘアのお前も素敵だぜー?」
「ひ、ヒビキ君!助けてください!」
「………え?」
「何を見惚れてるんですか?!この変態馬鹿!早く!」
「あ、ああー。」
アリアにそんな言葉を吐かれるとは思わなかった。
おれは急いで二人を引き離して、着席した。
「……なーんで、アタシの横がお前なんだよ?ヒビキ。」
「い、いやー…たまたまっすね!タマさんなだけに……。」
「………。」
「………。」
「…言ってくれるじゃねぇかー♪なははは♪」
九死に一生を得た気分だった。
アリアの分のお酒が届いた、
「ほら!仕切り直しだ!ヒミアスのメンバー四人で乾杯だぜ?!」
「え、ええ??み、ミミ!これはどういうことですか!?」
「私は認めてない!ヒビキだってそうでしょ!!!??」
「…んー……」
「何で悩む必要があるのよ!?」
「……タマさん、趣味は?」
「ああ?お見合いかよ…そうだな、酒とー、アリアがゲーム好きだからアタシもゲームはしたぜ?アリアみたいにコントローラだけ持ってやるのはつまらねぇから、足にマット引いて踊ったり、太鼓叩いたりもするぜ!身体は動かすためにあるんだ!」
「……なら、落語も?」
「おー!わかってくれるか!?アリアがひとつもアタシに振り向かないから、手当たり次第にコイツの好きなものに手を出したんだよ!落語はなかなか良かったな!テンポがいい!」
「へー……。」
「あ、あの…!」
おれ達の会話に割って入るように、アリアが珍しく大きな声を出した。
「…!?なんだ?」
「…な、なんとなく話の流れは理解しました……タマがもし、ヒミアスに加入するなら、ぼ、ボクは、ドラムとしてメンバー入りを所望します!」
「「…………はぁ??」」
おれとミミはまたハモってしまった。
その様子を見てタマは大声で笑っていた。
お読みいただきありがとうございます。
今回のタイトルはBEGINさんの楽曲から拝借致しました。
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とはいえ、私自身そういうことをしてこなかった者なので、しなくても全く問題ありません。
これからも『それでも尚、神に媚びる』をよろしくお願い致します。




