10,仲良しかも知れない
そう!!こういう話だよ!私が書きたかったのはー!という感じのほのぼのほぼオンリー回(言いにくい)。嬉しい。だからか少し長くなっちゃいました。気長に落ち着きながらお読み下さいませ。
闇属性な設定ばかり浮かぶんですよ。使わなきゃ損な気がしていつもの文章が出来上がってるのです…
「おーーーい!!皆ー!中庭に集合〜〜!」
ほとんどの準備が整ったのだろう。私はすぐに作業の手を止めた。少し心を弾ませながら廊下を歩いていき、ふと窓の外を見て時間を確認しようとしたが、太陽は見えないことを思い出した。
「好きなとこに座って座って!……それでは…僭越ながら乾杯の……音頭を!取らせて頂きます!皆さま!…グラスの準備はよろしいでしょうかっ!」
頑張って覚えてきたらしい。凜々猫さんが言い出した事だからか、心配そうな夕花さんが横で待機しながらも、自慢気に幹事になりきっていた。
広げられたレジャーシートの上には、全員分の紙コップが置いてあった。中身は色的にいつも館で飲んでいるお茶。これがグラス…でしょう。雫さんに説得された白夜さんも、端の方に移動してしまったが出席していた。
「綺麗な曇天と、突然の提案にも快く協力してくれる素晴らしい仲間を祝して!かんぱーーーい!!」
全員「「乾杯!」」
少しだけ手伝った…?サンドイッチの他にも、沢山のフルーツやおにぎり等もあり、どれを初めにしようかと少し迷ったが、手近にあったバスケットにサンドイッチが入っていたため、まずはそれにする事にした。
「いただきます…!」
青空では無くとも、外の空気の中ならば美味しく感じられる。莉乃さんや菊斗さんが皆の世話をしているのを有難く、ちょっと申し訳なく横目に見ながら1口目………ん?
何か違和感がある。なんだかこう、脳が感覚を遮っているような…ぼんやりする感じが。だが、初っ端だけじゃ分からない事なんて多々あるはずだ。もう1口に挑戦することにする……
「辛……い…?…」
やっとのこさ気づく。そう。ただただ異常に辛いのだ。もう涙が出る寸前である…咳き込む程の辛さではギリギリ無いので、ちゃんと人間が食べることを少し……少しだけ考えているなと感じる。早く水………ちょっとはマシになりますね。
一応、パンの間も視界に入れた…うわぁ。冷蔵庫の中身の記憶を疑いにかかる赤色。一旦目線を外す。
周りを見渡してみても、皆談笑しながらも普通に食べていて、不審?な動きをしている人なんて……あ。予想通りの人が一人。
「凜々猫さんっ!なんでこんなサンドイッチを作っちゃったんですか!!」
向かいに座り、さっきまでチラチラとこちらを様子見していた凜々猫さんは、堪えきれないというように笑い出した。
「ごっめんごめん!いや〜ロシアンルーレットって、作るのめっちゃ楽しくってさぁ…」
事情を知らない皆は(夕花さんを筆頭に)、いきなり大声で笑い始めた凜々猫さんを、驚きや困惑の顔で見ている。
「円香さん。凜々猫が何したの?」
「夕花さんっ!ロシアンルーレット…?だったかは分かりませんが、サンドイッチのバスケットの中に、こんなものが…!」
「うっわ…何これ………り〜りね?」
「……はい」
「分かってるね?後、声が小さい!」
「はい!!」
「後で話があるよ。精々反省することだね」
「はぁい……円香さんごめんなさい…でも、前々からずっとやりたいって思ってて……ピクニックだからいい機会かなぁ………と。あ、円香さんっ牛乳あるよ!いる?」
「言い訳は後で!!………さぁさぁ皆、この子の事は気にせず、食べな食べな!」
皆、日常でこの2人には慣れている(自分もこれまでに何回か…)ため、普通の談笑に戻った。やっぱりここでは切り替えが大事なのかも知れない。
何故か安心して、ゆっくりと貰った牛乳を飲む。食べていた時も思ったが、凜々猫さんはちゃんと相手が嫌な気持ちになり過ぎないように……?考えていたらしい。凜々猫さんらしくはある。乳製品は辛みを和らげてくれる、ってよく言いますもんね。もう殆ど分からなくなりました。
そういえば、まだ例のサンドイッチがここに……あれ?
「な…い……?!」
なんだかちょっぴりデジャブだ。けれど、もしかしたら誰かが片付けてくれたのかも知れない。そう思って、顔上げたその時、
「うんうん。こ〜んくらいの辛さが美味し〜いの!…貴方も食べてみたい?」
「僕は…別に……」
…ほぼ円になって座っているはずで、視界には全員いるのに、後ろから聞こえる声……誰ですか誰なんですか!あ、もしかして私みたいな新入り?
というか、私の大体後ろの延長線には門があるので…今外から来た人なのはほぼ確実。うーん…
ここまで来ることの出来る人は、知ってる限り加入者の他にも、私のことをここまで連れてきたスーツの人等もいたりするので、友好的…?かは判定できないんですよね……
けれども、歓迎はすべきです。皆が快く私を迎え入れてくれたように!そう決心し、勢い良く振り向く。
「こんにち……は…?」
自分が想像していた…またはハウスの質素な雰囲気に合う、と言った方が良いだろう。そんな相手像とは似て非なる、豪奢な服に身を包んだ2人組が、目の前にいた。
「皆さんこ〜んに〜ちは!突然の訪問でごめんなさいね……私は心咲。初めまして!…ほ〜ら!」
「うん…初めまして。僕は弟の桜咲。別に危害を加えるつもりは無いから…えっと、落ち着いてくれると嬉しいんだけれど」
「あ、あぁ…お気遣いありがとう。疑うようで申し訳ないけど、君たちがここに来て…わざわざ中に入ってきた目的を教えてもらえるかい?」
先陣を切ったのは菊斗さん。ありがとうございますこの御恩は一生記憶から消えることは無いでしょう…と思っているのは私だけではない。確実である。
状況が飲み込めてきたので、2人組の特徴理解に意識を向けて、もう一度よく見てみる。見た感じは同年代っぽい。服は水色基調で綺麗な装飾が沢山付いている。こんな草むらを歩いて大丈夫だろうか……靴とか…
「そ〜うそう!それは話しておかなきゃよね!…え〜っと、何から話せば良いものかしら…?」
「はぁ…結論から話すと、僕らは内情調査 兼 視察係に任命されたんだ。だから、これから定期的に訪問することになる。そういう意味でも、よろしく。」
「今日は顔合わせに来た〜ということな訳!不安も感じるでしょうけど…皆さんとは仲良くしていくつもりで来たから!よ〜ろしくね!」
…ハウスに来てからぼんやりと過ごしてきた日々が少しの刺激によって、ちょっと形を持った楽しい喧騒に、変わり始めた瞬間であった。
この話から「」内のセリフを「。」で終わらせない事にしました。今回以前の話はそのままにしますが、なんか無くても良いような…どちらかというと無い方が好きな気がしたので。
私はですね。あ、そーだったんだー!が好きすぎて必要な部分を後に回しまくっていました。その結果、何も分からないままグイグイ進んでる感がね。もーー強い。これはやばいわ。となったので、適当な円香のほんのり過去編(番外編)を1.5話として近々追加します。円香(主人公にしちゃってごめん)の行動原理・ストーリーの方向性が分かるように書けたらいいな……




