魔法
「大丈夫か!?」
弟の身を案じ、急いでテントに戻って来る。
もしあのゴブリンが単独犯で無いのなら、弟も危険だ。
そう思い、急いで戻って来たのだが……。
「あ、おかえりー。」
弟は飯を食い終わった頃であった。
荒らされたような形跡も無いし、俺のことをおもんばかって平然を装っている訳では無いようだ。
「……無事、みたいだな。」
「うん!兄ちゃんも大丈夫だった?」
元気な笑顔でこちらの身を案じてくるり
目立った外傷が無いので安心しているのだろう。
弟は体格から戦闘向きだと感じたが、根は心優しいのでそうではないようだ。
「大丈夫。さぁ、朝飯の続きを……。」
「……あ。」
朝飯の続きを食おうと、座り、木皿を手に取るとそこには何も乗っていなかった。
ふと弟の方を見ると目をそらしている。
口元には樹の実のカスが。
そして、先程の笑顔は消え、申し訳無さそうな顔をしている。
「……お前な……。」
「ご、ごめんなさい……。」
どうやら、空腹に耐えきれなかったようだ。
この村には問題がある。
衣食住が全く足りていない。
まずは最優先で食。
今は毎日満足に飯を食うことすら出来ない。
狩りもしているが、ここ最近は成果が中々挙がらないらしい。
だが、この食については解決する方法が一つある。
人口を減らす事だ。
増え続けるゴブリンがこの食料事情をさらに難しくしている。
まずはこれを解決しなければ。
解決する方法は分かり切っている。
先程、俺がやったことを繰り返せば良い。
「ま、大丈夫だ。所で今日も爺の所に行くけど一緒に来るか?」
「勿論!」
少しションボリとした顔をしていたがすぐに元気な笑顔に戻った。
この体に生まれ変わってまだ実感は中々湧かないが、弟だけは守り抜いて見せよう。
魔法について詳しく知ることが出来れば、弟の身を守ることが出来るし、自分の身も守ることが出来る。
それに、人間と接触した際の交渉材料になるかもしれないからな。
そう思いつつ、爺のテントへと向かった。
何事も無く爺のテントに付き、早速爺から話を聞いた。
どうやらゴブリンは魔法を使える種族では無いらしく、例外としてあるのが魔王が使っていた事があるのみらしい。
なので魔法の使い方や仕組みは知らなかったようで、その辺りは自分で探っていくしかなさそうだ。
だが、これで俺が村長として、魔王としての素質があると分かった。
なら、話は簡単だ。
俺が魔法を使えることを公表して村の支持を集めれば村長として認められ、村の外に活動範囲を広げられる。
そうすれば、俺が死んだあと国がどうなったのか、セラやレイン達が無事なのかどうかが分かる。
今はその情報が最優先だ。
では、評価や感想ブックマーク等お待ちしてます!




