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生き残りをかけて

 後日、俺は弟と共に朝食を食べていた。

 女神が授けたという知恵のお陰で食事情はかなり改善されたというのだが、今食べているのは樹の実である。

 授かった知恵というのがどういう物なのかは全く持って不明たが、大した物では無いことは分かる。

 それに、服も腰布一枚。

 一体知恵を授かるまでどのような暮らしをしていたのだろうか。

 というか、何故敵対しているはずの女神が魔物に協力しているのか。

 気になることが多すぎるな。

 

「おい!貧弱いるか!?」

 

 そうこう考えていると、いきなりゴブリンがテントに入ってくる。

 俺は多くの者に貧弱と呼ばれている。

 大変不本意ではあるが、仕方が無い。

 実際、他のゴブリンと比べて貧相な体をしている。

 

「どうした?」

「どうしたじゃねぇ!ちょっと来い!」

 

 俺は立ち上がり、テントを出ようとする。

 弟もそれに続こうとするが、止められる。

 

「お前に用は無い!」

「に、兄ちゃん……。」

 

 弟はこちらを心配に満ちた眼差しで見つめてくる。

 この村には現在、村長の息子達が多数の派閥を形成して、殺し合いが繰り広げられている。

 ルール無用、皆が常に緊張に包まれている。

 この体についた痣から俺はかなりの暴力を振るわれてきたのだと推測できる。

 つまり、劣勢の派閥のゴブリンが腹いせに虐めてきているのだ。

 俺は殺す程の価値のあるゴブリンでは無い。

 そんな労力が勿体無いのだ。

 

「兄ちゃんは大丈夫だ。ゆっくり飯でも食ってろ。」

「……うん。」

 

 俺はゴブリンと共にテントを出る。

 そのまま、村外れの林の中に連れられていく。

 

「おい、昨日爺のテントに行ったらしいな。何してた?」

「……別に。」

 

 話す必要は無いし、下手をすれば命を狙われる可用性がある。

 話によれば魔王は外交力を発揮していたらしい。

 その能力が俺にあると分かれば他の奴らは俺を狙うだろう。

 そう考えていると、いきなり腹を殴られる。


「ぐっ!」

「もう一回聞くぞ?何をしていたんだ?」

「……。」

 

 俺は無言を貫く。

 が、更に殴られる。

 二発、三発。

 容赦無く殴られる。

 痛みに耐えきれず、膝をつく。

 ゴブリンは近づき、俺の肩に手を置く。

 

「早く言え!言わなくちゃ、お前の大事な弟が大変な事になるかもしれねぇぞ?」

「……あ?」

 

 弟を殺そうというのだろうか。

 あの時、母上を失った時。

 二度と会えないと思うと、辛かった。

 まだこの体に生まれ変わって時間は然程経っていないが唯一の家族だ。

 それを俺から奪おうというのか、こいつは。

 

「ふざけるなよ……。」

「あ?」

 

 怒りに身を任せる。

 この村では殺しはご法度では無い。

 ならば、殺してしまっても構わないのだ。

 

「熱っ!」

 

 俺の肩を掴んでいたゴブリンは咄嗟に手を離した。

 そのゴブリンの手は火傷していた。

 

「弟に手を出したら、殺す。お前の派閥、全員な。」

 

 宙に火の玉が舞う。

 一つでは無い。

 5つほどの拳ほどの大きさの火球が俺の体の周りを漂う。

 どういうわけかは理解が出来ない。

 が、動かし方は何故か理解出来る。

 なら、やることは一つだ。

 

「ま、魔法!?ゴブリンが魔法だって!?」

 

 目の前のゴブリンは尻もちをつき、腰が抜けているのか全く逃げようとしない。

 こいつの様子から、魔法を使うゴブリンは珍しいらしい。

 なら、知られた以上生かすわけには行かない。

 それに、弟にも危険が及ぶかも知れない。

 火球を全てゴブリンにぶつける。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

 

 ゴブリンは火に包まれ絶命する。

 命を奪うのは申し訳ないが、生き残るためだ。

 仕方が無いと思うことにしよう。

 それに、どうやら俺は魔法が使えるらしい。

 取り敢えず、詳しいことを爺に聞きたい所だが、まずは弟の元へ向かおう。

 無事であると良いのだが。

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