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ゲームクリア

 それからしばらくして、捕虜としてフレク叔父上に預けていたセイルズとランが野盗に襲われて死んだという報せが届いた。

 共にいたフルートはどさくさに紛れ、脱走し行方不明とのことだ。

 フローゼルは元々こちらで預かっていたので、大丈夫であった。

 あれほど俺たちを苦しめたセイルズがこんなにあっけなく死ぬとは驚きである。

 彼はセインの父親でもあったし、俺からしても様々な事を教えてくれた師でもあった。

 敵ではあるが、しっかりとした墓を建ててあげるとしよう。

 ランもリンと一緒の墓に埋めることにした。

 なので、俺は今回の戦没者の慰霊碑を多額の金を投じて立てることにした。

 敵味方関係なくだ。

 また、ジョナサンの墓を彼の地元でもある王国時代の俺の領地に作った。

 セインもジゲンも協力してくれた。

 そして、俺は内政にも本腰を入れた。

 幸いにも帝国は金をかなり溜め込んでいたので、税は低く設定した。

 諸外国とも貿易をすることになったので、外交収入や貿易による収入も見込める。

 レインもジゲンも永世的に友好関係を築こうと言うことで話がまとまったので、とてもありがたい。

 まあ、アナテルは俺がレインと結婚する予定なので今後どうなるのかはわからないが。

 また、屯田兵政策も志願者が予定人数を満たしたので実行に移した。

 家を継ぐことの出来ない次男坊や三男坊が多く集まった。

 これは兵力の補填も目的ではあるので、これから訓練が必要だが、国防力も備わったし未開拓地も開拓出来る。

 勿論不満が出ないように精一杯の支援はしている。

 だが、彼らを率いる正規軍が俺に不満を持っている者達なので、いずれ反乱は起こるだろうがそれも見越して帝都から遠い所にやったのだ。

 そして、やることが一段落ついたころ、俺はセラとレインを呼んだ。

 レインが使節団としてこちらに来ているタイミングで、声をかけた。

「で、話って何?アル?」

「あの、本当に私もですか?何か間違ってません?」

 まあ、レインと話があるってことは外交関係だと思うだろう。

 だが、今回はそうではない。

「いや、そろそろしっかりと覚悟決めないとなって思ってさ。」

「「覚悟?」」

 2人の声が見事に重なる。

 いきなりこんなことを言われても困惑するだろう。

「2人にこれを受け取って欲しい。」

 俺は机の引き出しから2つの小さな箱を取り出し、2人に渡した。

「開けてみてくれ。」

 出来るだけ平常心を装っているが、心臓の音がとてもうるさい。

「……あ。」

「これは……。」

 箱の中にはあかい宝石がはめ込まれた指輪が入っていた。

「その宝石は前にセラからもらったお守りの効果があるっていう宝石を加工した物だ。家族になるんだから皆に共有しないとな。」

 俺は密かに職人にあの宝石を加工して指輪にしてもらったのだ。

「え、えっと、アルフレッド様。これってつまり……。」

「これってプロポーズ?」

 セラが恥ずかしがって言えなかった事をレインが何も気にせずに言う。

 断られる事は無いと思ったが、想定はしていた。

 もし失敗したら俺は死ぬつもりだった。

 恥ずかしくて100回は死ねる。

「ま、まぁそうだな。」

「……はぁ。」

「……アルフレッド様。」

 レインにため息をつかれた。

 セラはどこか真剣な顔をしている。

 もし、全部冗談であなたの事が嫌いでした。

 なんて言われたら立ち直れない。

 まあ、俺の方が立場は上だったからお膳立てとして付き合ってあげていただけでしたとかもあり得る。

「遅いです。」

「……え?」

 予想外の答えが帰ってきた。

「そうよ!私達はずっと待ってたのに!」

「えっと……つまりOKってこと?」

「当たり前じゃないですか!」

 取り敢えず良かった。

 本当に。

「本当に遅かったわね!アル!」

「母上!?」

 するといきなり扉を開け、母上が入ってきた。

「レインとセラが呼ばれたって聞いてもしかしてと思って盗み聞きさせてもらったわ!」

「盗み聞きって……。」

 少しあきれてしまう。

 元気になったのはいいか、やりたい放題やっている。

 まあ、母上らしくていいのだが。

「まあ、良いです。」

「ええ!ということで早速式を上げましょう!既に段取りはすんでいるわ!セイン!」

「はっ!」

 母上が指をならすと直ぐ様セインが現れた。

 セインは書類を渡してきた。

「今後の予定の合間を縫って式の予定を組み込んでおきました。既に支度も整っております。また、諸外国の要人にも既に喧伝しております。ご確認下さい。」

 相変わらず手が速い。

 というか俺の誕生日の時からセインが母上の手先に成り下がっている。

 まあ、別にいいんだが。

「なるほど、外国の要人を招くことで俺がプロポーズを弱気になってやらなかったとしても、既に招待状は送ってますって言えばやるしかないもんな。うん、流石だ。コノヤロウ。」

「はは、ありがとうございます。」

 笑ってんじゃねえよ!

 しかも誉めてねぇし!

「さあ!そうと決まれば早速支度よ!セラ!レイン!貴女達はこっちよ!セイン!アルの事は任せたわ!」

「畏まりました。」

 母上がセラとレインをつれていった。

 2人も母上のことは知らなかったようで、驚き、困惑した表情のままつれていかれた。

「で、俺は何をすればいいんだ?」

「……さあ?」

 ってわからないんかい!

 いや、相手が母上では仕方ない気もする。

「お前も大変だな……。」

「若ほどではありません……。」


 数日後、招待状を送った国から要人が到着し、久々に懐かしい顔触れが集まった。

 アーロン兄上にゼイル、ジゲンにフレク叔父上、イリスさん、ルーゼン、ローゼンの兄弟等、今回の戦争で共に戦った者達が一同に介した。

 そんな中、多くの民衆に見守られながら行われたのは花嫁が2人いる結婚式である。

 どうなるのか不安ではあったがセインや母上が上手く段取りをやってくれていたのでスムーズに進行した。

 何せこういう経験は一度も無いので不安だらけだ。

「では、新郎新婦のご入場です!」

 因みに母上が司会をしている。

 俺は右側にセラ、左にはレインをつれて前へと進んでいく。

 2人ともとても綺麗で、少しでも直視すれば目が離せなくなってしまう。

 というか俺は緊張のし過ぎでまともに動けていない。

「ふふ、アル。落ち着いて。」

「そうですよ、リラックス、リラックス。」

 セラとレインに緊張をほぐされる。

 とは言ってもやはり、緊張はする。

 そして、緊張の余り気がつけば一番大事なところまで来てしまっていた。

 既に指輪の交換は終わっていた。

 つまり、次はあれだ。

「では、誓いのキスです!お願いします!」

 母上がものすごい盛り上がっている。

 自分の大事な息子と自分が保護した娘にも等しい存在、そして昔から知っている俺の許嫁のレイン。

 まあ、自分の子供が結婚するとなればあれくらいのテンションになるのだろうか。

 俺もいずれはその気持ちが分かる時が来るのだろうか。

 ……いや、あれは親バカだからだろう。

 というか今、俺は人生で最大級の分かれ道にいる。

「……。」

「……。」

 2人とも無言でこちらを見つめている。

 2人のどちらから先にキスをするかという問題だ。

 俺は2人とも平等に愛している。

 どちらかに優劣をつけるなど無理だ。

 それに、2人の間に亀裂が生まれるかもしれないし、レインは次の国主だ。

 民衆の目もあるから軽率な事は出来ない。

 だからレインから先にというのはやはり違う気がする。

 だが、セラからしてしまえば先程の問題が生じてしまう。

 いや、それよりもレインがすねるだろう。

「アルフレッド様?」

「アル?」

 ならば、俺は3つ目の道を行こう。

「2人とも俺が良いというまで目をつぶってくれ。決して開けるなよ。開けたら絶交だからな。」

 2人に釘を指しておく。

 互いにずっと目をつぶっていればどちらが先か分からない。

 これで、2人の間の関係を気にする必要は無い。

「セイン!」

 俺はセインを呼んだ。

 あらかじめ話を通しておいたので、使用人とセインが2人でこちらに大きめの布を持ってくる。

「お待たせしました。」

「よし、ありがとう。手筈通りに頼む。」

 母上が2人をつれて出ていった後俺はセインと共にこの問題をどうするか考えていた。

 それの答えがこれだ。

 少し強引だが、やるしかない。

 俺達3人を布で覆い、周りから見えなくした。

「ちょっ!ちょっと!セイン!離れなさい!せっかく良いところなのに!」

 しかし、セインは動かない。

「ええーい!衛兵!セインを取り押さえて!」

「は、はい!」

 衛兵が数名動き出す。

 しかし、セインは動じず俺達を隠し続ける。

「おっと!邪魔はさせないぜ!」

「アルフレッド様に貰った命だ。これくらいはさせてくれよ!」

「ローゼン!ルーゼンもか!」

 どうやら衛兵をルーゼンとローゼンが押さえてくれたようだ。

「おっと、俺達もいるからな。とっとと済ましちゃいな。」

「親友とその想い人のためです、これくらいはして見せますよ。」

「ジゲン!イリスさんもありがとう!」

 どうやら外には頼りになる人が集まってくれているようだ。

「ええー!こうなったら力ずくよ!もっと兵を集めて!」

 ゾロソロと兵が集まってくる。

「これは依頼ということであとで請求させてもらいますよ!双蛇の名が汚れちまうんでね!」

「ああ!そういうことでいいさ!後できっちり払ってやる!」

 双蛇殿まで出てくるのならばもはや心配はいらない。

「ふふ、アルフレッド様、どちらが先とか気にしなくても良いんですよ?」

「そうよ、私はとっくにセラの事は認めてるし、何も思わないわよ。」

 2人がそう言ってくれるのはありがたいが、これは2人の為なのだ。

「いや、俺は2人を同じくらい愛してる。だからどうしても優劣をつけてしまうようになってしまうから、せめて2人には俺の初めての相手が自分だと思えるような手段にしたかったんだ。2人が永遠に事実を知らなければそれは事実になるんだよ。」

 俺がどちらに先にキスをしたかは俺しか知らない。

 その事実を墓場まで持っていけば2人は自分が先にキスをされたと思えるのだ。

 それで良いんだ。

「嫌です。」

「ええ、私も。」

 しかし、断られてしまった。

「ええ……。じゃあ、どうする?」

「そうね、ここは運に任せてみましょう。」

 レインは懐から一枚のコインを取り出した。

「そうね、表が出たら私が、裏ならセラが先にするってことで。」

「良いですね。わかりました。」

「確かにそれなら……。」

 これの結果ならば文句も言いようが無いだろう。

 だが、確かレインはコイントスで好きな面を出すという特技を持っていたはずだ。

 レインの方をみるとこちらにウインクをしていた。

「じゃあいくわよ!」

 レインはコインを空に打ち上げそれを手の甲でキャッチした。

 なるほど、これで、表を出して先にキスする権利を貰おうというわけか。

 抜け目ない。

 するとレインは手の甲をこちらに見えるように開いた。

 するとコインは裏だった。

「あら、裏ね。なら先は譲るわ。遠慮しないで思う存分しちゃいなさい。」

 なるほど、レインはセラに譲るつもりだったのだ。

 このコインもそのために用意していたのかもしれない。

「で、では。」

「あ、ああ。」

 セラが目を閉じ、こちらを向いている。

 レインは気を使って反対を向いている。

 セラは少し顔を赤らめていた。

 俺はセラと唇を重ねた。

 人生で初めてしたが、案外すんなり出来た。

 セラには一目惚れであったが、それからも彼女の内面を知ってからも更に好きになってしまった。

 彼女を失うことは耐えられなかった。

 だから傷を負った時には焦ったし、もう傷ついてほしくはなかった。

 だが、彼女がいたからこそ今の俺がいるわけだし、今後とも彼女に頼ることもあるだろう。

 だから俺も彼女から頼られるくらいには立派になって見せなければ。

 そして、セラと離れる。

「あ、ありがとうございました。」

「いや、こちらこそ。これからもよろしくなセラ。」

 何がありがとうなのか微妙に分からないが、こちらこそと返しておく。

「じゃ、次は私ね。」

「ああ。」

 今度はレインと向かい合う。

 セラは反対側を向いていた。

「レイン。さっきはありがとうな。」

「あら、なんのこと?」

 セラに聞こえないように小さな声で話しかける。

 どうやらレインは認めるつもりはないようだ。

「さ、早くしましょう。」

「ああ。」

 レインが目をつぶっている。

 覚悟を決め、唇を重ねる。

 レインとは許嫁の関係だったが、親が決めたにもかかわらず、相性が良かったのかすぐに仲良くなれた。

 彼女と過ごした時間は小さい頃の少しの年月だけだったが、とても楽しかった。

 互いを理解するには充分な時間だった。

 それから数年が経ち、互いに成長してから死にかけてた俺を助けてくれた。

 その時はすこし束縛が強くて重いような気がしたが、内面は変わっておらず、安心したのを覚えている。

 長い間会えなかったのが、あの束縛を生んだのだろうか。

 だが、それからも共に過ごしたが、とても楽しかった。

 これから共に過ごす時間も楽しくなりそうだ。

 そして、俺はレインと離れた。

「今回気を使ってもらった分はいずれ返すからな。」

「あら、じゃあ期待しておくわね。」

「アルフレッド様。それは私のセリフです。」

 どうやらセラに聞こえていたようだ。

「それは私が返すものですよ。」

「レイン。気づかれてたみたいだぞ。」

「……なんのことかしら。」

 あくまでも認めないつもりらしい。

「さあ、セイン!終わったぞ!」

 セインに声をかけると布が落ち、周囲の様子が見えるようになった。

 もはや会場はめちゃくちゃで衛兵だけではなく、民衆までもが乗り込んできていた。

 そういえば民衆もすごいヤジを飛ばしていたな。

 まあ、俺が2人とそういう関係なのは前から知られていたから期待していたのだろう。

 俺達が甘い雰囲気になっている間にすごいことになっていた。

 まあ、ほとんどはゼイル殿が押さえていたのだが。

「ああ、せっかくの場面を見れなかった……。」

 母上は明らかに肩を落とし、落ち込んでいた。

「母上。後で母上()()に見せてあげますから。元気出してください。」

 すると、母上はあからさまに元気になった。

「わかったわ!衛兵!民衆を押さえて!」

 コロコロと変わる指示に衛兵は対応し、場は落ち着きを取り戻した。

 まあ、色々とあったが取り敢えずこれで、ハッピーエンドってことでいいんじゃなかろうか。

 やり残した事や心残りなんかもまだあるが、それらはまた、別の機会にってことで。

 もしかしたら誰かが勝手に解決してくれるかもしれないしな。

 取り敢えず、俺はこの幸せな時間を全力で守るとしよう。

 ゲームクリア!ってことでよろしく!






























 数年後、建国記念祝典にてエルドニア・シャムス二重王国初代帝王、アルフレッド・シャム・エルドニア

、何者かに暗殺される。

 エルドニア・シャムス二重王国は再度滅ぶこととなった。

これにて王国再興物語は完結です。

今後は世界観が共通した作品をあげていくつもりです。

ですのでこの作品に登場したキャラが再度出てくることがあるかもしれません。

地続きと言ってもこの作品を読まなくてはストーリーが分からないというような作品には致しません。

タイトルも完全に違う作品となります。

では、評価や感想お待ちしてます!

ありがとうございました!

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