最終決戦 その3
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「なあ、流石に1人ずつ来てくれないか……。」
俺は今アロンとフルートの2人の攻撃をなんとか捌き続けていた。
負傷し、まともに動けない状況でこれ程戦闘を続けられるのだ。
恐らく手を抜いている。
いや、確実に手を抜いている。
手を抜いていても勝てるとわかっているからだ。
この状況では、勝ち目は万に1つも無い。
「馬鹿な事を言うなよ!」
「俺の息子がここまで愚かだったとはな。」
2人は相変わらず攻撃を続ける。
「ちっ!邪魔をするな!」
「それはこちらのセリフだ!こいつは俺の息子なんだぞ!俺が殺す!」
しかし、連携はとれていないように見える。
唯一の勝機はそこだろう。
しかし、どうすれば勝てるかまでは見いだせない。
懐には念のための銃がある。
しかし、弾は1発。
しっかりと当てて動きを止めたいので、確実な時に撃とう。
こいつらの連携が乱れ、足が止まった時にどちらか片方に弾丸をぶちこむ。
それしか無い。
「はあっ!」
ここぞとばかりに2人に突っ込み、斬りかかる。
しかし、いざこちらが攻勢に出ると2人は口論を止め、反撃してくる。
かわすことは出来た。
だが、あえてかわさず致命傷にならないように受けて尻餅をつく。
「くっ!」
2人は近づいてきた。
「おいおい、今のがチャンスだとでも思ったのか?」
「お前、本当に俺の子か?弱すぎるぞ。」
するとアロンが剣を振り上げる。
「じゃあそろそろ死ね。」
するとフルートがアロンの剣を抑える。
「おい!こいつを殺すのは俺だ!こいつには散々苦しめられたんだ!」
「ふざけるな!そんなことはどうでもいい!こいつはせめて父親であるこの俺が殺す!それを邪魔すると言うのなら……。」
アロンはフルートの抑えを振り払い、剣をフルートへ向ける。
「お前から殺す。」
「ハッ!今更そんなことを言うのか!?」
確かにそうだ。
父親だからとかそういうことを言うのならそもそも殺そうとするなと言いたい。
だが、それのおかげで隙が出来た。
「それが、あいつの最後の頼みだからだ。」
「何?」
今しかない。
それはすぐに分かった。
直ぐ様懐から銃を取り出し、フルートに銃口を会わせて引き金を引く。
「なっ!?」
心臓に当たるように狙いを定めたが、若干ずれたかもしれない。
だが、命中はしたようだ。
フルートは胸を抑え、倒れている。
「くっ、クソがっ!」
血を吐いているのが見える。
あれではまともに動けないだろう。
俺は念のために突然の事に身動きが出来ていないアロンを警戒して後方へ退く。
フルートではなくアロンを撃っても良かったのだが、少し聞いておきたい事が出来てしまった。
「なぁ、何故俺を殺そうとしたのか聞いてもいいか?」
「……やはり、俺の息子だな。流石だ。」
剣を下ろし、こちらを向く。
「良いだろう。話してやる。」
それからアロンの話を聞いた。
アロンは母上が帝国から嫁いでくるよりも前に庶民の娘と恋に落ち結婚した。
そして、子供も出来たのだ。
その後帝国より、政略結婚で母上が嫁いできた。
最初はアロンも国王に正妻は今のままでフレンを側室に出来ないか聞いたそうだが勿論そんな話は受け入れられるはずもなく、元々の正妻は側室へと追いやられた。
そこまでは俺も知っている話だ。
だが、そこから先は知らなかった。
数年後、母上が俺を生んだのと同じ頃に庶民の妻がよく体を壊すようになってきていた。
そんな時に国王から世継ぎはフレンとの間に出来た子にすると言われたそうだ。
この事を聞いた庶民の妻は自分の子が後を継ぐと考えていたそうで、余計に体を壊して行ったそうだ。
その様子を見ていたアロンはフレンとの間の子が居なくなれば体調が回復するに違いないと思ったそうだ。
幾度となく、まだ幼かった俺を殺そうとしていたようだ。
そして、それらはアラン叔父上により密かに防がれていた。
その事はアロンも気付いていたようだ。
そして、俺を殺せぬのなら国王の座を奪おうと思い付いたそうだ。
そして、そのために帝国と手を結ぶ算段をし帝国に話をつけに行くと決めた。
そのときだった。
庶民の妻が死の瀬戸際にいるという報が入ったのだ。
その庶民の妻は自分の為に俺を殺そうとしていることは知っていたそうだったが、止めることはしなかったそうだ。
アロンは庶民の妻を元気付ける為にこういったそうだ。
「これから帝国と内通して国王の座を奪う。そうすればアーロンを後継者にすることが出来る。だから、もう少しの辛抱だ。」
と。
それに対して庶民の妻はこう答えたそうだ。
「今更辞めてと、そんなことをしても私の容態は良くならないと言っても無駄でしょう。貴方はそうと決めたらテコでも動かない御方ですから。ですから、これは私の最後の頼みです。あの子もあなたの息子。どうしても殺すというのなら事情を説明して、あなたの手で息の音を止めてあげて下さい。せめて最後は父親としてあの子の前に居てあげて下さい。」
そう言い残し、息を引き取ったそうだ。
それから、何年もの下準備を積み重ね俺が大きくなった頃に俺が病に倒れたという報が入った。
父である国王も病に倒れた。
これは、天が今だと言っている。
そう思ったアロンは意を決し行動を起こしたそうだ。
「まぁ、その後はお前も知っての通りだな。」
つまりはもう戻って来ないと知っていながらも最後の自分の手で殺せという遺言で動いていたんだな。
「……なぁ、神樹の雫があれば生き返らせられるが、それを使おうとは思わなかったのか?」
「もう、そんな必要は無い。」
どこかアロンの目は遠くを見つめている気がした。
もしかすると……。
「さぁ!これで、邪魔の入らない親子の対決というわけだ!かかってこい!」
アロンは剣を向ける。
「良いだろう。やってやるさ!」
先ほどの話を聞いてこいつが完全な悪ではないのかもしれないと思ってしまった。
何処かで歪んでしまったが故にこうなってしまったのだ。
もう少し、あとほんの少し何かが違えば家族が誰も欠けることの無い、幸せな世界だったかもしれない。
だが、こうなってしまった以上やるしかないのだ。
腹を括るとしよう。
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