残された者
先日は投稿出来ずに申し訳ありません!
「……ということだ。」
「……。」
俺はセラと共にセインのもとへ戻ってきていた。
ジョナサンの首と共に。
あちらで起きたことをかいつまんで説明した。
戦についてはこちらの勝利で終わった。
ルーゼンがいると予測していたが、残念ながら居らず、あの後は問題無く勝利できた。
軍についてはジゲンやローゼンに任せて、レインの元へと向かうように言ってある。
どうやらレインの方面に残っているのは教団からの援軍らしい。
レインの方も上手く立ち回ってくれたようでもうほぼほぼ決着はついていると聞いている。
セインはというと涙を流すこともなくただ、箱を見つめている。
下を向いているので表情はわからない。
「行こう。セラ。」
「……はい。」
そのままその場を後にする。
しばらく歩いてセインに声が聞こえなくなった頃を見計らってセラに声をかける。
「セラ。俺はもう誰も死なせたくない。あの時に言った戦場には向いていないというのも、嘘ではない。だから……。」
「アルフレッド様。」
するとセラは歩いている俺の前に出てきた。
俺も足を止める。
「お気持ちはありがたいです。ですが、私の使命は貴方をお守りすること。貴方が戦場に出る限りは私も戦い続けます。」
真っ直ぐこちらを見つめてくる。
「……そうか。なら、俺もお前を守るために武を磨くとしよう。互いに互いを守るために戦う。だから俺の側から離れるな。」
「アルフレッド様……。」
セラもこちらの想いを分かっている。
一応将来を約束した仲だ、よくわかってくれている。
するとセラがいきなり俺に抱きついてきた。
「セラ!?」
突然のことに驚いてしまう。
「一応私のほうが歳上なんだから。少しは甘えてもいいのよ。たまには歳上らしいことをさせてよ。」
敬語では無くなっている。
確かに今は2人きりだ。
「セラ……。」
こちらも抱き返す。
何やらいい雰囲気な気がする。
「アルフレッド様……。」
セラは顔を赤らめながらも目をつぶっている。
これはそういうことなのだろうか。
いや、そういうことなのだろう。
セラなりに俺の気持ちをほぐそうとしてくれているのだ。
それに、身近な所に死を感じて少し焦っているのかもしれない。
確かにセラとはまだそういうことはしたことが無い。
ならば、いつ死ぬかも分からない今、出来ることはしておこう。
よし、やるしかない。
「アルフレッド様!」
すると俺を呼ぶ声が聞こえた。
俺とセラは慌てて離れる。
すると角から伝令が走ってきた。
「ど、どうした?」
「至急、お会いしたいと言う方が来ております。冒険者のようですが、いかがなさいますか。」
この野郎いい雰囲気を台無しにしやがって。
と言いたくなったが押さえよう。
セラを見ると少しだが、まだ顔が赤かった。
さすがにセラも恥ずかしかったようだ。
それはともかく冒険者か。
一体何のようなのだろうか。
「お初にお目にかかります。S級冒険者のゼイルと申します。」
S級冒険者ゼイル。
双蛇のゼイルとして有名な双剣使いの冒険者である。
冒険者とは、依頼を請け負い、活動する集団で国家を問わず全国各地で活動する集団である。
モットーは民の模範たれ、で基本的に民の味方である。
なので、どこか1つの国に肩入れすることもなく、戦に出ることもない。
報酬次第で動くと言うところは傭兵と同じだが、国家間同士の争いには介入しないというのが鉄則である。
そして、冒険者のなかでも最高クラスの数名しかいないS級冒険者が一体何の用だろうか。
「それで、S級冒険者、双蛇のゼイル殿が一体何のようですかな?」
今は応接間に通している。
セインには伝えずにセラと共に対面している。
「おや、アラン様から聞いてはいないのですか?」
「アラン叔父上から?何も聞いてはいないが。」
どうやらゼイル殿が言うにはゼイル殿はアラン叔父上の依頼で動いていたらしい。
叔父上の転生者の情報はゼイル殿からの情報だったようだ。
「だが、報酬は?ただでは無いだろう?」
「えぇ。報酬はアラン殿の全財産です。」
とんでもないことを言う。
「全財産!?」
静かに話を聞いていたセラも流石に声を上げる。
それも無理は無い。
王族の全財産ならばその額はとてつもないだろう。
ただ、条件があるらしく死んだら全財産を譲るということらしい。
それほどまで使っての依頼、そしてアラン叔父上はあの諸葛亮孔明である。
あの帝国包囲網以外にも恐らく策は残してあるのだろう。
「……それほどの額ならば転生者の情報収集のみでは無いでしょう。他には一体何を?」
「ご明察ですな。そうです。転生者の保護、そしてアルフレッド様の元へと集め、転生者による特殊部隊を作れと、もしくは異世界の軍略や技術を継承した部隊を編成させろと、そしてアルフレッド様をお守りしろという命令を受けております。」
なるほど、転生者軍か。
転生者の軍ならば、とてつもなく強力なものになるだろう。
一体何人こちらに転生してきているのかは全くもって不明だが。
「既に可能な者は集めておりますが、まだまだ少なく、剣術も未熟な者が多いので、私のもとで鍛えております。」
「そうか。」
隣のセラを見ると話の内容が全くわかっていない様子である。
まぁ、それも仕方ないだろう。
「セラ。そのことについてセラや、セインにも知っておいてもらいたいからな。今度ちゃんと説明する。」
「は、はい。ありがとうございます。」
俺が転生者だということも含めてセラには知っておいてもらいたい。
セラには隠し事はしたくないからな。
「あ、そうでした。本日こちらに来たのはアルフレッド様の従者、セイン殿の養子のジョナサン殿が転生者の可能性があり、その調査に来たのですが、ジョナサン殿はどこに?」
場が静まり返る。
まぁゼイル殿は知らないので仕方が無いだろう。
「ジョナサンは……。」
「ジョナサンはここにいます。」
後ろから声がする。
セインの声だ。
振り返るとそこにセインがいた。
「ジョナサンは先の戦で討ち死にし、首だけで帰ってきました。」
「……それは失礼した。ですが、神樹の雫を、手に入れたのでは?」
一体どこまで情報を掴んでいるのだろうか。
流石はS級といったところか。
だが……。
「神樹の雫はあと一回分しかありません。それはフレン様に使うと私達の間で決まっているんです。」
そんな神の御業のような道具が何個もある訳がない。
いや、昔はあったのかも知れないがもう無いのだ。
「そうでしたか……。」
ゼイル殿は頭を下げた。
「あなたはセイン殿とお見受けいたします。この度の無礼お許しください。」
「いえ、別に怒っているわけではありません。」
セインはゼイルの隣に座る。
「アルフレッド様。ジョナサンの話を聞かせては頂けないでしょうか。あれでも私の義理の息子。今さらですが、、少しでもあいつの事を知りたいのです。私には知らないことが多すぎる。これでは供養も何もできない。お願いします。アルフレッド様。転生者とは何なのですか?」
頭を下げ懇願してくる。
話を聞いていたのだろう。
別に隠す必要もなかったのだが、そこは本人の意思に任せようと思っていた。
「……わかった。転生者についてはゼイル殿のほうが詳しいだろう。ジョナサンについては彼が生前昔の出来事を記した日記があると言っていた。それには転生直後の記録が残っているらしい。彼の遺品整理をしていれば出てくるだろう。彼の昔については私には話す権利は無い。というかよく知らない。」
遺品整理をしてたら見つかった。
そういうことにすれば天国にいるであろうジョナサンも納得してくれるだろう。
彼はその日記を表に出すつもりはなかったようだが、これなら仕方が無いですむ。
まあ若干悪い気もするが。
「畏まりました。では、まずはゼイル殿。」
セインはゼイルの方を向く。
「転生者について教えてください。」
セインは頭を下げる。
「分かりました。私の調査でわかったことをすべてお話しましょう。」
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