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前哨戦

 結局ジョナサンは戻らなかった。

 アナテルからの援軍が来る前にこの前哨戦を終わらせなければならなかったので、ジョナサンが戻る前に戦を始めることになった。

 こちらの戦力は1300。

 向こうは3500程。

 こちらはあらかじめたてていた作戦通り、中央に神刀派と私たちの手勢を中心とした500。

 そして両翼には400ずつ配備した。

 因みにセインは神刀派の拠点に置いてきて、セインの護衛もこの戦場につれてきているので、中央の500はほぼほぼ神刀派と私達で占めている。

 敵は本陣1000を後方に置き、中央に1000、両翼に750ずつといったところだろう。

「セラ殿。」

 馬上から戦場を確認していると隣から装備を整えたのヤンとジゲンが来た。

「布陣は概ね想定通り、後はこの中央が鍵を握ります。」

 しかし、相手が想定通りに動いてくれればの話だが。

 そしてジゲンの顔を見ると緊張しているのが分かる。

「初陣ですか?」

「は、はい。実はそうです。」

 まぁ、仕方ないだろう。

 誰もが最初はそのようなものだ。

「肩の力を抜いてください。あまり動きが堅すきると、初陣で討ち死にしますよ。」

「わかった。」

 多少はリラックス出来たようだが、まだすこしぎこちない様子だ。

「セラ殿。私は若に付きっきりになります。」

「えぇ、そうしていただけると。」

 ヤンがジゲンに聞こえないように言ってきた。

 ローゼンは陣の先頭を切って戦ってもらうため、既に先頭へ移動している。

「では、若。お願いいたします。」

「うむ。」

 ジゲンは刀を抜き放ち空へ掲げる。

「これより!逆賊マトウを討ち滅ぼすための戦を始める!これは始まりにすぎない!今は無き王家復興の為、皆の力を貸してくれ!義は我らにあり!全軍!かかれ!」

 刀を振り下ろす。

 それと同時に全軍が駆け出していく。

 敵軍もそれに応じ前進を開始する。

 既に前線は混戦状態である。

 が、ローゼンが1人で無双しているのは馬上からでも分かる。

 神刀派の者達もかなりよく戦ってくれている。

 が、やはり両翼が弱い。

 それ込みでの作戦なのだが、少し押され始めるのが早すぎる。

「両翼は応戦しつつ後退!敵を引き付けよ!」

 さすがの私もこのような野戦の経験は無い。

 予断は一切許されない。

「左翼崩れ始めました!」

「右翼ももう崩れます!」

 報告が飛び交う。

 やはりこの作戦は無茶があった。

 今、なんとか戦えているのは中央のみである。

 が、馬上から敵が中央を包囲しようと必死になるあまり、敵軍中央と左翼の間に間隙が出来ているのが分かった。

「今だ!ローゼン殿!」

 ローゼンの名前を呼び、こちらに振り向かせる。

 私は槍で方角を示した。

「了解!」

 ローゼンは敵を蹴散らしながら間隙へと向かう。

 しかし、敵軍右翼が味方中央に攻撃を開始した。

 敵が目の前まで来ている。

「全軍!ローゼン殿に続け!狙うは敵軍総大将が首ただ一つのみ!突撃開始!」

 号令と共に全軍がいっせいに動きだす。

 ローゼンのお陰もあり、難なく敵を突破出来た。

 全軍はそのまま敵本陣へと突撃する。

 敵もこちらの狙いに気づいたのか追撃してくる。

「……これは少し良くないですね。」

「?どういうことですかな?」

 ヤンが疑問を口にする。

 このままでは、敵本陣と今突破してきた敵に挟撃される形になる。

 敵の不意を突くことが出来た形にはなったが、相手本陣は1000。

 こちらはざっと数えても300程だろう。

 ということをかいつまんで説明する。

「なるほど。ですが、その心配はいらないようですな。」

「え?」

 ヤンが指を指す方向を見る。

 するとそちらには先程崩れたこちらの両翼の部隊が合流し、こちらの追撃に夢中になっている先程突破した敵部隊を背後より強襲していた。

 敵軍両翼はこちらの追撃に夢中になるあまり、敵軍中央と1つになってしまっていた。

「かかれ!こんなところで引き下がっては末代までの恥だぞ!」

「皆!奮い立て!我らの活躍次第でこの戦いの趨勢が決まるのだ!」

 両翼のそれぞれの指揮官が独断で動いてくれたようだ。

 非常に助かる。

 これでこちらは敵本陣に集中出来る。

「させん!」

 しかし、先程突破した敵軍中央が変わらずこちらを追撃してくる。

 敵の各部隊の指揮官はとても有能なようだ。

 抑えられた敵は両翼のみだったということだ。

(どうする?部隊を反転すれば引き換えしてきた味方と共に逆に敵を挟撃出来る。でも、敵本陣が上がって来たら私達が挟撃を受けて全滅するでしょう。でも、本陣に攻撃を続けてもどちらにせよ挟撃を受けてしまう。どうすれば……。)

「セラ様!」

 自分を呼ぶ声で意識が戻る。

 声の方を見ると王国の旗を掲げた騎馬隊がこちらに向かってきていた。

「ジョナサン!」

「かかれ!」

 ジョナサンの部隊は追撃してきた敵部隊に突撃を開始した。

「セラ様。遅れてすみません。」

「今まで何処に!?」

 ジョナサンは連れてきた部隊から離れこちらへ来た。

「詳しくは後にしますが敵勢力を挟んだところにいた味方をこちらへ連れてきました!できる限り乗馬させ、騎馬隊のみでこちらへ来ました!歩兵部隊も来ているのでもうすぐこの戦場につくでしょう!」

「ありがとう!ジョナサン!助かったわ!」

 素直に感謝を述べる。

 するとジョナサンは少し顔を赤らめる。

「どうしたの?」

「い、いえ!ただ、セラ様がアルフレッド様の最初の脱出戦の時と同じような作戦を取るだろうと予測して、援軍を連れてきただけです!ではセラ様は総大将を!こちらはお任せください!」

 ジョナサンはそのまま自分の部隊へと戻っていった。

 確かにこの作戦はあの時のものを真似たものだが、流石に私では再現しきれなかったようだ。

 しかし、これで勝てる。

「敵総大将はすぐそこだ!全軍突撃!」

 突撃の指示を出す。

 自ら先頭に立ち、兵を率いる。

 ジゲンやヤンも先頭で戦っているので、どんどんと敵を切り崩していく。

 最強の名は伊達ではないようだ。

「総大将!ご覚悟!」

 ローゼンの声が響く。

 どうやら総大将までたどり着けたようだ。

 ローゼンの手にかかればすぐに討ち取れると思ったのだが、討ち取った声は聞こえてこない。

「な、何故ここに……。」

「久しぶりだな弟よ。」

 そこにはルーゼンがいた。

 敵の総大将はルーゼンだったのだ。

 ということはこの一件、教団が関与しているということになる。

「どうした!?総大将は目の前だぞ!」

「くっ!」

 せっかくローゼンが立ち直って来ていたという最悪の状況である。

 さぁ、どうしたものか。

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