反撃開始
「……ゴブリンめ。」
眼の前には燃え盛る森。
水魔法を使える者は全員で消火に当たらせている。
が、火の勢いは凄まじく、消せる気配は未だに無い。
「何をしている!さっさと消せ!」
この大陸の森に思い入れがあるわけではないが、森に暮らす民として見過ごすわけには行かないのだ。
「報告します!森の中にて意識を失っていた者を二人保護致しました!」
「なんだと?」
何故意識を失っていたのか。
逃げ遅れたのだろうか。
「先程意識を取り戻し、ここにゴブリンの首領がいるとの事です!」
「……そうか!良くやった!捜索を続けろ!決して逃がすな!」
すると、背後からゴブリンが近づいて来る。
これは味方だ。
「……ゲイル殿か。」
「あぁ。ここに奴がいるのか?裏切った以上、首は取らなくてはな。」
「そうだな。全力で探して、殺せ。」
エルフ達も森の中に入り、消火しつつ捜索を開始する。
まぁ、この戦は勝ったようなものだし残党に大した事は出来ない。
こちらを優先しても良いだろう。
「……奴を侮らない方が良いぞ。」
「何だと?」
「いや、忘れてくれ。俺は念のため別の箇所を捜索しておく。」
そのまま、ゲイルは去って行った。
「……まぁ良い。やることは変わらん。捜索を続けろ!」
しかし、この火災はどこから起きたのか。
火種なぞ何もない筈だ。
それこそ、魔法でもない限り……。
ゴブリンが魔法を使えるわけが無い。
ドワーフ辺りの助太刀だろうか。
「隊長!後方より敵襲!」
「何だと!?」
「作戦はこうだ。」
地面に地図を書き、現在の戦況を書き記していく。
ここに潜伏していることは敵が火災の発生している森の消火に集中しているお陰でここはまだバレてない。
一部の部隊は捜索を続けているようだが、ここにはまだ来ていない。
今なら消火の為に陣形も乱れているし、勝ち目はある。
これが、クルシェの策だ。
「主力は密かにこの森を脱出し、この森にも火を付ける。敵は部隊を2つに分け消火に当たるだろう。」
「現在の総数は同等程度。敵を複数に分ける事が出来れば各個撃破に持ち込むことが可能になります。」
クルシェが更に補足していく。
彼女の立案に口出しすることは全く無かった。
「ですが、ただ火が付けばそれは囮だと気付かれるのでは?」
グレグの疑問もご尤もだ。
「あぁ、奴等は俺を探しているようだった。そこで、俺が姿を表してこの森に逃げ込む。そこで初めてこの森を燃やすんだ。」
だが、俺がいるのなら奴等は必ず部隊を割いて来るだろう。
その隙に消火に当たっているであろう部隊を殲滅する。
「成る程、それならば異論はありません。陛下の身はこのグレグが必ずやお守りいたしますので。」
「よし、頼りにしているぞ。では各々、数時間後に作戦を開始する!支度にかかれ!」
策はこれで完璧だろう。
だが、士気を上げるために皆を見て回ったがアギョウとウンギョウの姿を見ていない。
果たして二人は無事なのだろうか。
散り散りに逃げたというのは聞いたので、無事だと良いが。
まぁ、あの二人ならば大丈夫だろう。
今は、作戦を成功させることに集中しなくては。
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