対エルフ作戦会議
「……どういう事?」
後日、俺の家にクルシェが訪れた。
そのクルシェが困惑するのも無理はないだろう。
敵対していた勢力が目の前にいるのだから。
ガザードはクルシェのことを気にする様子もなく酒を飲んでいる。
「お疲れ様です。クルシェさん。兄がお待ちです。」
「あ、あぁ。フレド君か。ありがとう。」
弟がクルシェを案内してくる。
今はガザードやグレグ達、主要なメンバーでリザードマン救援の為の対エルフの作戦会議中である。
「やぁ、クルシェ。予想よりも早かったな。」
「……これはどういう事ですか?」
クルシェはドワーフを見ながら言う。
「俺はガザード。人間と敵対する意志は無い。」
「信用できるのですか?」
「あぁ。多分な。」
俺の曖昧な返答にクルシェは少し呆れた顔をする。
「多分って……。」
「まぁ、取り敢えずそっちの話を聞かせてくれよ。」
フレドがクルシェをテーブルの空いている席へと案内する。
因みにテーブルは円卓である。
ドワーフや人間がいるのだから優劣をつけないためである。
「さて、そっちはどうなった?」
「付近の有力な冒険者達で奇襲を仕掛け、ダムを占拠し女神軍を追い出します。指揮官は私です。」
クルシェが指揮を取るなら問題は無いだろう。
彼女自身の腕っぷしも確かだし、こちらの事情も知っているので連携が取りやすい。
「俺達も既に仲間達に報せを送った。エルフ達には知られることが無いドワーフにしか伝わらない秘密の暗号だ。合図を送れば戦の最中に奴らの陣をかき乱す事が出来るだろう。」
ガザードの話によるとエルフの陣容は主要な指揮者としてエルフ数名と、それを補佐するように複数の種族からなる連合部隊が前線に出るとのことだ。
そして、後方には主力であるエルフのみで編成された軍が待ち構えているとのことだ。
今回の戦場にはドワーフしか同伴していないとのことだったので、敵の前線はこれで簡単に崩せるだろう。
「では我々は敵の前線が崩れたと同時に後方より奇襲を仕掛けましょう。」
グレグが発言をする。
基本的に俺達の軍事部門の総括なのでそういうところは任せてある。
「では、私達はゴブリン軍とは別方向から奇襲を仕掛けます。そうする事で更に優位に立てる。」
「そうだな。クルシェの言う通りだ。だが、問題なのは奴らをどうやって誘き出すかだな。」
そう。
この作戦は敵と堂々と対峙することが前提条件である。
関係のない所でドワーフ達が反乱を起こしてもすぐに鎮圧されてしまう。
それに、連戦連勝を重ねているというエルフにこれ以上調子づかせない為にも正々堂々と戦うことが必要なのだ。
「では、我々にお任せを。」
そう言いながら入ってくるのはリザードマンの首領、ドウラの息子であった。
「おお!どうしてこちらに!?」
「いや、少しこちらも事情が変わりましてな。我が父ドウラには首領の座を降りていただいた。先日より私がドウラの名を継ぎ、リザードマンの主としてやらせていただいておるのです。」
成る程。
恐らく、あの頭の硬いドウラは息子の説得を聞かず、頑なに俺達と協力することを拒んだのだろう。
少し急な展開だが、こちらとしてはありがたい。
「父上は我々が謎の勢力と争った事すらまともに聞いてくれなかったのだ。時間も無いので少し強引にやらせていただいた。」
「命は奪ってないんだろ?親子なんだ。全てが終わったら仲良くやれよ。」
そう言うとドウラは頭を下げた。
「ありがたい。先程の話は聞かせてもらいました。我々が奴等と対峙しましょう。少し衰弱していますが問題は何もありません!」
「よし!ではそちらは任せよう!あと各部隊の編成だが……。」
正直、現在のこの状況でエルフ軍が勝てるとは思えない。
だが、奴等は魔法を使う。
最後まで油断は禁物だな。
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