名前
「俺に会いたい奴がいる?」
「は。どうやら陛下の顔見知りのようです。」
後日、戦後処理をこなしていると俺の部屋にグレグが訪ねてきた。
各村に派遣した制圧部隊はほとんど抵抗を受けることが無かったので、そのまま駐屯し、移住してもらう事にした。
その家族もその村に移住させ、先の戦で減った人口分は移住させられただろう。
これで、この村の食糧問題は解決出来る。
後はすべての村において、食料を少しずつ備蓄していき、余剰分を不足している村に届ける。
これで少しは食糧問題を解決出来るだろう。
そんな事をしていると、俺を訪ねてくる者が現れたのだ。
「もう来てるのか?だったら通してくれ。」
「は。」
グレグは一度部屋を出て、扉の前にいるであろう人物と話し、客人を案内した。
その人物は確かに見覚えのある人物だった。
「爺!」
「お久しぶりですな。」
俺の村にいた、今にも死にそうで、そして色々と教えてくれた恩人である。
いや、俺が勝手に恩人にしているだけなのだが。
「一体どうしたんだ?」
「少し、お話しておきたい事がございましてな。」
心なしか少し元気な気がする。
俺が村にいたときはもっと口も回ってなかったと思ったが。
「今日お話しすることは、我が家系に先祖代々言い継がれてきた事、名前についてです。」
「名前?」
そういえばグレグに名前について聞こうと思っていたのを忘れていた。
グレグの方に目をやると、思い出したかのように説明を始める。
「そういえば、ご説明しておりませんでしたな。我が名は私のご先祖様が魔王様より頂いた名前です。我が家系は代々それを名乗ることが決められています。」
「そうだったのか。爺、魔物の名前について詳しく教えてくれないか。」
ということはグレグの息子もいずれはグレグと名乗るのか。
それ、俺が混乱しそうだな。
「魔物の中にも名を持つものが少数ながらおります。それらはすべて、魔王様から直接頂いた物。大体は自分の息子にそれを名乗らせます。」
「……それがお前の家に伝えられてきた事なのか?他には?」
それだけだと正直弱い。
もっと驚くような事が伝えられたりするのではとワクワクしていたのだが。
「勿論、それだけではありません。我が家には後の世で真の魔王が現れた場合、その真の魔王が名乗るべき名を代々守ってきました。」
「……それは?」
「真の魔王は『アル』と名乗れと魔王様は仰せであったそうです。」
俺は一瞬思考が停止した。
何故前世のアルフレッドの頃の略称と同じなのだろうか。
いや、たったの二文字だ。
偶然ということもあるだろう。
「そして、その弟は『フレド』と名乗れと。」
更に困惑してしまう。
アルとフレド。
続けて読めばアルフレド。
ここまで前世の名とそっくりならば偶然とは行かないだろう。
それに何故弟がいる前提なのか。
一体どういうことだろう。
爺もそれ以上語る様子もない。
恐らく、それ以上は伝えられていないのだろう。
「……分かった。」
俺は椅子を立った。
「これより俺はアルと名乗る。弟はフレドだ。グレグ、皆に重大な発表があるから集まるように言ってきてくれ。」
「はっ!」
まぁ、別に良い。
気になることには気になるが、やること自体は変わらない。
俺はセラやレイン、母上達ともう一度会えればそれで良いのだ。
なら、誰の思惑か知らないが、乗ってやるとしよう。
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