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野戦に備えて

 後日、新たな情報が入った。

 どうやら先日壊走した敵が態勢を整え、再度軍を編成しているらしい。

 それに加え、先日の勝利でこちらの側に付きたいという村も現れたと報告を受けた。

 が、そいつらを含めても戦力的に言えばまだまだ向こうが圧倒しており、まともに戦えば負けるのは明白である。

 ので俺はあれを打ち明けることにした。

 

「魔法……ですか?」

「あぁ。ほら。」

 

 俺はグレグに魔法を使って火を出して見せる。

 その様子に驚くかと思いきや、顎に手を当て、何かを考え始めた。

 

「……魔法はゴブリンには使えぬ筈です。が、言い伝えでは真の魔王として相応しい者だけ使えると言われております。」

「……つまり?」

「魔法を使えるところを見せれば更にこちらに靡く者が現れるやもしれません。」

 

 既に開戦が近く、軍備も順調に整ってきている。

 だが、皆が不安を胸に抱えているのは分かる。

 グレグは戦が始まり、劣勢と見るや否や裏切る者が出てくるのではと危惧しているのだ。

 

「成る程な。」

「陛下には戦が始まったら最前線にて魔法を使っていただきたい。」

「だが、俺が使えるのはこれだけだぞ。」

 

 すると、グレグはニヤリと笑う。

 

「ええ、十分です。私に考えがあります。当日は私が護衛に付きますので思う存分暴れてください。」

「お、おう。」

 

 グレグの考えというのが気になるが、それは当日まで楽しみにしておこう。

 そして、もう一つ。

 

「あと、俺の弟についてだが……。」

「そうですな。先日の指揮を見るに部隊を任せてみても良いかもしれません。」

 

 先日の戦にて俺が交渉に赴いている間、村の指揮は任せていた。

 俺とグレグに何かあった場合は撤退をしろと指示していたが、弟は不安に怯える皆を纏め、立派に指揮していたと皆が口を揃えて言っていたのだ。

 

「あぁ。あと、部隊の編成もあいつに一任させようと思うがどうだろうか。」

「異論はありません。」

 

 今後、弟は重要なポジションに付くことになるだろうから、出来る限り様々な事を経験させておきたい。

 弟はやりたがらないかもだが、無理にでも経験させておこう。

 

「因みにですが、先日反乱を企てた者を捕らえた二人、彼らはそれぞれ一部隊与えるつもりです。武力もありますし、忠誠心、統率もしっかりとできると見ています。」

「あぁ、あの二人か。良いんじゃないか?俺も彼らには褒美をやらなければと思っていた所だ。然るべき態勢が整ったら何か重要な役を与えてやろう。」

「それがよろしいでしょう。」

 

 例の二人はあの後、直接感謝を述べておいた。

 出来れば褒美を取らせたかったが、そこまでの余裕が、我々には無い。

 戦に勝てば戦利品をやることもできるので、取り敢えず今は部隊の指揮官に任じておいておくのが良いだろう。

 聞けば優秀らしいし、問題は無い。

 後は、この戦に勝つだけだな。

 魔法を使った作戦を何か考えているらしいし、期待しておこう。

 俺も、魔法を自在に使えるように訓練しておかなければな。

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