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「そ、村長!大変です!」

「どうした?そんなに沢山慌てて。」

 

 宣戦布告をしてきた村に対して他の村と連携し、相手の村を逆に攻めるため、包囲していたその時。

 伝令が慌てて駆け込んできた。

 

「や、奴ら準備万全です!大量の兵が待ち構えております!」

「なんだと!?」

 

 その報告を聞き、すぐさま前へと出る。

 確かに村には武装した無数の兵が待ち構えていた。

 遠目で良くは見えないが、体格の良さからかなりの精鋭であると予測が出来る。

 そして、その村から二人、こちらへと近づいてくる影があった。

 そして、その影はこちらの存在に気が付いたのか、手を振ってくる。

 

「父上!お久しぶりですな!」

「ひ、貧弱か……。」

 

 いつからか村から消えた貧弱と呼ばれていた我が息子。

 こんな所に逃げ込んでいたのか。

 てっきり殺されていたものだと思ったが。

 

「少しお話がしたいのですが……。どうします?」

 

 すると、もう一人が手を挙げる。

 それを合図に村を守っている兵達が弓を構えた。

 位置的にあちらのほうが若干高台である。

 こちらの射程圏内ではないのだ。

 

「わ、分かった!話を聞こう!武器を収めてくれ!」

 

 すると、上げていた手を下ろした。

 どうやら、貧弱と読んでいた息子の方が一枚上手のようだった。

 覚悟しなければならないかもな……。

 



 取り敢えず、こちらの策は成功した。

 相手が怖気づき、こちらの交渉に応じてくれた。

 上手く地形を活かすことが出来たのも大きい。

 取り敢えずはここからだな。

 相手の本陣に通される。

 警備の兵に囲まれているが、交渉の席にはつけた。

 交渉とは言っても交渉するつもりは無い。

 時間さえ稼げればそれで良いのだ。

 

「さて、お久しぶりですね。父上。」

「う、うむ。」

 

 まさか相手が父上になるとは思わなかったが、まぁやりやすくはなった。

 どうやら、父上が全体指揮を取っていたようだが、このような俺の策の裏をつけるとは思えない。

 裏に誰かがいるのは確かだ。

 

「最近、お体のご機嫌はどうですか?」

「……特に問題は無いが?」

 

 父上は警戒心マックスだが、今の所こちらの流れだな。

 

「まぁ、今日は父上のためにお体に良い薬を用意させました。グレグ。」

「は。」

 

 グレグは懐から薬を取り出す。

 が、これは実は薬ではない。

 ただの葉を粉々にし、お湯に溶かした物だ。

 もはやなんの葉かも分からないので薬というか下手したら毒である。

 

「……そ、そうか。ありがたく頂こう。」

 

 父上からすれば自分の来訪を予測されていたということになる。

 確かに恐ろしいだろう。

 が、これはただ単に俺が適当に話を合わせているだけだ。

 そもそも父上が来るとは思っていなかったしな。

 

「で、要件はなんだ?」

「……まぁ、少し落ち着きましょうか。」

 

 時間さえ稼げれば良かったので内容は特に考えてきてはいない。

 上手く話を合わせなければ。

 

「そうですね……。まずは……。」

「た、大変です!」

 

 すると突然敵方の兵が飛び込んでくる。

 本陣の外を警備していた兵だ。

 

「敵襲!敵襲です!」

「な、何だと!?」

 

 どうやら、策は成功したようだ。

 一か八かだったが、上手く行ったな。

 俺は待っていたのだ。

 異変に気付き、他の村への襲撃隊が引き返してくるのを。

 

「グレグ!」

「はっ!」

 

 グレグが剣を横に薙ぐ。

 すると、対面に座っていた父上の首が飛ぶ。

 勢いそのままにグレグは周囲の兵を蹴散らしていく。

 

「敵将、討ち取ったぞ!」

 

 本陣を出、父上の首を掲げる。

 別になんの思い入れも無いので、特に何も思わない。

 そして、これは合図でもある。

 本陣から火の手が上がる。

 これも俺がグレグに出した指示である。

 すると、俺達の村の方から鬨の声が上がる。

 

「ひっ、ひぃ!」

「に、逃げろ!」

 

 突然の奇襲に加え、包囲している先からも敵が来ようとしている。

 統率を失うのも無理はない。

 敵は散り散りに逃げていく。

 これで、この戦は俺達の勝ちだ。

 グレグ達は俺のことをより一層認めるだろうな。

 

「陛下、お見事です。追撃は如何いたしますか?」

「行ける者は行け。だが、不利を悟ればすぐに村に戻るように伝えろ。」

「はっ!」

 

 さて、この戦は勝てたが、この先はどうしようか。

 今一度、策を練らなければな。

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