戦支度
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「さて、作戦をお聞かせ願いますかな?」
その後、グレグの家にて作戦会議を行った。
参加者は俺と弟、そしてグレグとグレグの息子、更にはこの村の副長である。
副長はとても優秀らしく、昔からよくグレグを支えてくれていたらしい。
そして、今回の作戦についてだが、全て俺に丸投げだ。
いや、俺の采配を見るため、わざとか。
なら、それに答えてみせよう。
既に他の集落に宣戦布告の使者は送っている。
日時も指定しているし、やることは単純だ。
「まず、今回の戦の目的は人口を減らす事、しかし負けてしまっては元も子もない。だから、全ての集落との戦闘で完全に勝利しなければならない。が、敵対する集落の数は多く、ここの戦力だけではすべての方面に同時に戦は仕掛られない。」
そう、いくら強いと言っても数がいないのだ。
勿論、他の村と比較して村の規模としてはかなり大きい。
が、近隣の集落全てに戦を仕掛けるとなると個々の方面の戦力がかなり減ってしまう。
「だから日時を少しずつずらして同時に戦をする必要が無いようにする。それでも一日に一つずつやってたらきりが無いから編成する部隊は3つ。それなら一部隊の戦力もかなり用意できるだろう。」
「……いや、四部隊必要ですな。」
ここで副長が口を開く。
今日初めて会ったが、初めて声を聞いた。
「敵の反撃に備えて村の防衛部隊も編成すべきです。それだけの余裕はあるでしょう。」
「そうですか。では、そうしましょうか。編成は……。」
「いや、待ってくれ。」
グレグが俺の言葉を遮る。
忠誠心が高いであろうグレグが俺の言葉を遮るとは、それだけの何かがあるのだろう。
「それでは一部隊の人数が限られてしまうぞ。各方面で勝利を収める事が難しくなるやもしれん。」
「ですが、三部隊で村の防衛も視野に入れてしまえば一つの集落の制圧に時間がかかってしまいます。それでは敵対する集落が連携してしまう可能性があります。それなれば勝てる見込みはありません。」
グレグと副長の間で火花が散っているように見える。
グレグの言うことも確かだが、副長の言うことも一理ある。
「……陛下に決めてもらおう。」
いきなり話を振られる。
俺はいつからかグレグから陛下と呼ばれるようになっていた。
まぁ、アルフレッドの頃から呼ばれていたので気にならないが、まだ早い気もする。
「……副長の言っている事は正しい。が、グレグの言うこともご尤もだ。だから、防衛部隊は少数精鋭で編成してくれ。一桁でも良い。村を守り通せるだけの人材を選んでくれ。」
「はっ!」
副長が返事をする。
人事については副長が基本的に仕切っているらしく、グレグは全体指揮らしい。
まぁ、この村の個々の戦力は把握しきれていないので、そこは任せてある。
「では、私は急ぎ編成致します。」
「話も大体纏まったようなので俺も戦支度を整えておきます。」
そう言うと二人はどこかへと去って行った。
残ったのは弟とグレグの息子だけである。
暫しの沈黙が流れる。
……気まずい。
が、ここで弟が口を開いた。
「あ、あの……。」
「……どうしました?」
グレグの息子も敬語は使うようになったが、俺達を魔王として認めてくれてはいないようだった。
言葉の端々からそれを感じられる。
「あ、兄をよろしくお願いします。俺じゃ力不足ですので……。」
つぶらな瞳で懇願する弟。
その真っ直ぐな瞳にグレグの息子も一瞬動揺してしまう。
弟は自分の力不足を気にしている節があったが、どうやら本当にそうだったようだ。
俺も弟に守られなくても大丈夫なように鍛えなければ。
「……畏まりました。お任せを。」
「ありがとう!」
弟には感謝しなければならない。
もし弟がいなければ俺は自殺をしていたかもしれない。
いきなりゴブリンに生まれ変わるなんで辛すぎる。
せめて、弟を悲しませないように頑張ろう。
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