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交渉

「で、用は何だ?」

 

 門番の男、この村のリーダーの息子にこの森の外れに連れられた。

 全員が武器をこちらに構え、動きを牽制している。

 これではこちらが何か動き出そうとすれば簡単に制圧されてしまう。

 

「申し訳無いが、村長に合わせるわけには行かない。立ち去ってもらう。」

「……何故だ?」

 

 彼らはこちらの問いに答えるつもりは無い様だった。

 武器をこちらに向け、変わらず脅してくる。

 弟も身構えているが、流石にこの状況では勝てない。

 いや、武力で制圧することしか考えていなかったが魔王としての協力者を得るのなら交渉したほうが良いかもな。

 

「まぁ、落ち着いて俺の話を聞いてはくれないか?」

「話?」

 

 こちらの話を聞くつもりはあるようだ。

 相手は村長の息子の指示に従い武器を下ろした。

 

「今、この村には食料が足りていないように見えたが、どうだ?」

「な、何故それを!?」

 

 どうやら図星のようだった。

 村を訪れた際、昼時だというのに食事をしている者が全くいなかった。

 そして、訓練をする者とは別に狩りの準備をする者、恐らく樹の実でも取りに行こうとしている者もいた。

 そして、その人数が非常に多かったのだ。

 更にはこの村の人数。

 俺達の村ですらまともに食事が出来ていないので、この村の人数なら更に厳しいだろうと予測したのだ。

 

「で、どうなんだ?村長に合わせてくれるなら食料事情解決の案を提示出来るぞ?」

「し、しかしその案とやらが効果があるかどうかは分かるまい!一体どうすると言うんだ!?話してみろ!」

「村長に合わせてくれるなら、教えてやるよ。」

 

 相手は何も言えなくなった。

 しばらく考えた後、驚きの行動に出る。

 

「……ええい!面倒臭い!始末しろ!」

 

 まさかの暴力。

 考えるのが嫌になったのだろう。

 だとしても脳筋過ぎはしないだろうか。

 そして、配下のゴブリン達が武器を構え直す。

 

「このバカモンが!」

「痛っ!」

 

 すると、村長の息子に怒りの鉄槌が下る。

 村長の息子の背後から村長の息子よりも一回り大きいゴブリンが現れる。

 眼帯を付け、体中に傷があり、歴戦の猛者てあることが分かる。

 

「話は聞いておりました。うちの馬鹿息子が申し訳無い。この御無礼、どうお詫びしたら……。」


 相手は頭を下げてくる。

 そして、馬鹿息子ということは……。

 

「い、いや詫びなんて……。というか、馬鹿息子って言うことは……。」

 

 相手は頭を上げ、頷いた。

 

「はい。ここの村長をやっております。名はグレグと申します。」

 

 どうやら、ここの村長はどういうわけか名があるらしい。

 そのあたりも含めて話をしっかりと聞きたい所だ。

 何にせよ、状況は好転しそうだな。

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