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異世界転移して教師になったが、魔女と恐れられている件 〜王族も貴族も関係ないから真面目に授業を聞け〜  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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メイプルリーフの歴史(アオイの偏見)

 メイプルリーフ聖皇国。


 国の代表である皇帝を神の血を引く者として教育しているのは有名な話である。


 遥か昔、現在の皇都がある地にメイプルリーフ聖教という宗教と、その宗教を中心とした集落があった。そこに、とある商会が訪れて住み着くこととなる。


 神の血を引く聖人はそれまでひっそりと暮らし、己を頼る者だけを救ってきたが、商人達はそれを酷く哀しみ惜しんだ。


 メイプルリーフ聖教の素晴らしい教えを、何故もっと広めようとしないのか。もっと多くの人を救おうとはしないのか。


 その言葉に応えて、聖人はメイプルリーフ聖教の教えを広く伝え、教徒達を守るために国の建国を宣言した。


 それが、メイプルリーフ聖皇国の誕生の歴史とされている。


 その歴史から、メイプルリーフは人々を癒す魔術の研究に力を注いでおり、他の国々からあらゆる人々が集まり、一挙に大国の仲間入りを果たしたそうだ。


 周囲の小国を吸収した際、聖人は皇帝を名乗るようになったという。


 宗教の力に気付いた商人達の商売におけるセンスが異常に高かったのか。それとも当時の教祖がそれほどまでに影響力のあるカリスマ性を有していたのか。


 どちらにせよ、初代皇帝一代で興国し、大国へと成長したメイプルリーフ聖皇国は一挙に存在感を示すことに成功した。


 その際、国の中枢となる大貴族も誕生したのだが、聖皇国第二位の地位である宰相を担うのは必ず最初の商人達の家系の者である。


「……商人が内政を管理するから、メイプルリーフの階級制度は根強いのでしょうか」


 そう呟くと、ストラスが眉根を寄せてこちらを見た。


「……場所を考えて口にしてくれ。ここはもう王城内だぞ」


 と、咎めるような目で注意の言葉を口にする。


 今いる場所。二十畳ほどありそうな広い部屋だ。壁や天井には美しい紋様が描かれており、壁際には均等間隔で調度品なども並んでいる。家具はゆったりとした一人掛けのソファーが十脚あり、それぞれに小さな丸いテーブルが備え付けられていた。


 唯一の出入り口には槍を杖のように持つ銀色の鎧の騎士が二人おり、身じろぎひとつせずに立っている。窓も二つあるが、牢屋のように格子が取り付けられていて開けられそうにない。


 内装は豪華だが、少し息苦しく感じる部屋の中で、私とストラス、エライザが並んで座っており、コートとシェンリーは私たちの正面のソファーに座っている。


 そして、アイル達は窓から外の景色を眺めたり、ウロウロと部屋の中を歩き回ったりしていた。


 それを横目に見つつ、私はストラスの言葉に首を左右に振る。


「国が制度として定めている以上、それを指摘されたからと怒るのは変な話です。大国なのですから、自信を持って自国の制度について解説する程度の度量は持ち合わせているでしょう」


「わ、分かった。分かったから静かにしていてくれ」


 返答すると、ストラスは慌てて私の口を手で塞いだ。珍しく焦っている姿を観察するように視線を向けていると、それに気がついて身を引く。


「あ……すまない」


 しどろもどろになっているストラスを、エライザも興味深そうに見ていた。確かに、出入り口に立つ騎士二人の目は鋭くこちらを睨んでいるし、あまり良い空気とは言えないだろう。


 それにしても、あのストラスが動揺するとは、メイプルリーフはそれほど危険な国なのだろうか。


 ちなみに私が口にした階級制度とは、メイプルリーフ聖皇国内での市民に定められた等級のようなものだ。


 メイプルリーフ聖教の当初の教徒は全て人間であったことからか、亜人種は階級が低い傾向にあった。だが、メイプルリーフ聖教に入信している者はまず一段階上がり、更に魔術師や国の職務に関する仕事をする者はもう一段階上がることとなる。


 最上級市民は人間であり魔術の才能を持ち、更に聖皇国の公務に関わるメイプルリーフ教徒。逆に最下級市民は亜人であり魔術の才能が無く、一般職の見習いなどをしている他の宗教を信奉する者である。


 階級制度は暮らしぶりや教育機関への就学の権利だけでなく、罪を犯した際の刑罰の軽重にも影響するという。


 奴隷制度こそないものの、メイプルリーフ聖皇国内において最下級市民は奴隷に近い扱いを受けることとなる。つまり、最低限の人件費で使い潰すことの出来る、都合の良い市民が常に存在する国ということでもあるのだ。


 恐ろしいのは熱心な教徒こそ盲目的に従う為、最上級市民も聖皇国は都合良く扱うことが出来る点である。


 ある意味、最も効率的な運用が可能な国づくりを成したとも言えるが、私はあまり好きでは無いやり方だ。


 と、メイプルリーフ聖皇国の成り立ちを頭の中で批評しながら思い出していると、部屋の扉が外から開かれた。


「……皆様。メイプルリーフ聖皇国皇帝、ディアジオ陛下とのご面会が可能となりました。どうぞ、こちらへ」


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― 新着の感想 ―
[一言] 更新毎回楽しみに見ています。 メイプールリーフ聖皇国が魔女に絞られてメイプルシロップになってしまう未来しか見えないな・・
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