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異世界転移して教師になったが、魔女と恐れられている件 〜王族も貴族も関係ないから真面目に授業を聞け〜  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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王都に到着

 空飛ぶ馬車で月を眺めて、ラムゼイが感動する。


「ふむ、これは絶景だ!」


 雲が海のように眼下に広がり、空には大きな月と星空が広がっている。その素晴らしい光景にラムゼイは夢中だった。


 色々と馬車の中では話が盛り上がっていたようだ。王都までそれほど時間が掛からなかった為、夜間は休まずに王都まで移動した分、多くの会話が出来たことだろう。


 一方、その間もフェルターは溜め息ばかりだったらしい。まさに反抗期という感じだ。


 そして、太陽が昇る頃には王都へと辿り着く。山の稜線を太陽の光が明るく縁取り、平野を徐々に色付けていった。真っすぐ街まで続く街道を目印に飛行していくと、ラムゼイが地上の景色を見て驚嘆する。


「なんと、もう着いたのか! これは、戦争の在り方が変わるほどの魔術だな」


 ラムゼイが大きな声でそんな感想を口にした。まぁ、普通通りに馬車で行けばかなりの時間が掛かるだろう。対して、飛翔魔術ならあっという間だ。それは大きな違いである。


 そんなことを考えている間に、王都はすぐ目の前となった。ラムゼイの居城がある城塞都市も大きかったが、王都はさらに大きかった。いや、王都はラムゼイの住む城塞都市とは違い、城塞が綺麗な四角を描いているからかもしれない。


 そして、王都の中心には巨大な王城が建っており、まるで周囲を守るように城壁の角には四つの小城が建っている。特殊な形に見えるが、実用的な気もする。


 王都の様子を空から眺めていると、ラムゼイは地上を指差して口を開いた。


「城門前に降りてくれ。俺が話をしよう」


「仕方ないな」


 ラムゼイの言葉にオーウェンは仕方なく従う。流石に王都でも城まで飛んでいくことはしないようだ。


「それでは、街道の脇におりますね」


 ラムゼイにそれだけ告げて、地上へと降下した。朝早い時間だが、それでも王都の前は人で溢れてしまっていた。街道の道幅が広かったので端に降りることが出来たが、街に入るのにはそれなりに時間が掛かりそうである。


 そう思っていたのだが、疑似精霊が引く馬車が地上に降りると、並んでいた人だかりが一気に距離を取った。そして、衛兵たちが走ってくる。


「ちょ、ちょっと待て!」


「そこの馬車! どこから降りてきた!?」


 混乱しつつも、兵士たちは槍を片手に馬車を包囲する。最初は十数人程度が走ってきたと思っていたのに、瞬く間に五十人以上が集まった。訓練の成果だろう。素晴らしい兵たちだ。


「失礼。ヴァーテッド王国より参りました。フィディック学院のアオイと申します」


 そう言って簡単な挨拶をしていると、黒い馬車の方からラムゼイが顔を出した。


「陛下に用があって参った。ラムゼイ・ケアンが来たと伝えよ」


 ラムゼイがそう告げると、兵たちの表情が先ほどまでとは違う緊張へと変化する。


「ら、ラムゼイ閣下!?」


 一人の兵士が驚きつつ名を叫び、場は騒然とする。


「……あれが、金色の獅子の異名を持つラムゼイ・ケアン侯爵」


「初めて見た……」


「閣下は、どうやって空から……?」


 驚きつつも敬礼して姿勢を正す兵士たちに対して、王都へ入場しようとしていた一般の人々はラムゼイの姿を見て、ざわざわと小さく驚きと混乱の声を上げていた。


「そういえば、ラムゼイさんはブッシュミルズ皇国で有名でしたね」


 ふと、そんなことを思い出して呟く。それに、こちらの馬車に乗っていたモアが両手を左右に振りながら返事をした。


「ゆ、有名どころじゃないです! 兵士や魔術師だけでなく、国民の憧れのような存在ですよ! 年に二回ある武闘大会で何度も優勝している最強の戦士ですから!」


 と、モアは興奮した様子でラムゼイの凄さを語る。その熱意に若干押されつつ、ラムゼイを横目に見て答えた。


「なるほど。確かに、侯爵家当主その人がそれほどの実力者だと、憧れる人も多いかもしれません。それに、大会に出ているなら実際に戦っている姿を見ることもできますし」


 そう答えると、モアは何度も頷きながら口を開いた。


「はい! ラムゼイ様があまりにも強かった為、ブッシュミルズ皇国では身体強化の魔術ばかりが研究されているほどです! 後は武器を強化したり、弓矢を強化したりといった魔術も研究されていますね」


「なるほど……」


 モアの言葉に軽く頷いて答える。面白い話が聞けた。元から獣人は身体強化の魔術が得意だという話を聞いたことがあったが、ラムゼイの存在がそれをより強固にしたようである。


 ならば、王都で研究中の魔術も是非見ておきたい。大国の一つが国をあげて研究しているという魔術がどれほどか、興味が湧いた。


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