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異世界転移して教師になったが、魔女と恐れられている件 〜王族も貴族も関係ないから真面目に授業を聞け〜  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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ケアン侯爵家5

「まぁ、せめて食事でもしていくが良い。それに王都までの道はフェルターも覚えておらんだろう?」


「……むむ」


 ラムゼイが笑いながら言った台詞に、フェルターは不満げに唸った。


 その様子を見て、オーウェンは溜め息を吐く。


「仕方ない。言う通りにするしかなさそうだ」


 と、オーウェンはとんでもない発言をする。その台詞を聞き、思わず早足でオーウェンの側へ行き、背中を叩いて怒った。


「オーウェン、失礼過ぎます。ラムゼイさんが折角お食事に誘ってくださったのに……」


 低い声でそう告げると、オーウェンは眉根を寄せて口を噤んだ。拗ねたように押し黙る百歳超えのエルフを見て、思わず呆れてしまう。


「もうちょっと考えて発言してください。私はともかく、グレン学長だって困りますよ?」


「……グレンが困るくらい、別に」


 人前なので諭すように注意してみたのだが、オーウェンは口を尖らせて反論してきたではないか。これには思わずこちらも感情的になってしまう。


「オーウェン?」


 もう一度、今度は少し強く名前を呼んだ。それにオーウェンは深く息を吐き、腕を組んで頷く。


「……分かった」


 仕方なくといった様子だが、オーウェンは素直に従った。それにホッとしていると、男女の笑い声が聞こえてきた。


 振り向くと、こちらを見てラムゼイとフィオールが楽しそうに笑っている。どうやら、私のオーウェンとのやりとりが面白かったらしい。


「申し訳ありません。お見苦しいところを……」


 気恥ずかしい気持ちになってそう謝罪の言葉を口にすると、フィオールが笑顔で首を左右に振った。


「いえいえ、問題ありませんよ。むしろ、アオイ先生の新たな一面を見ることが出来て、嬉しく思っております。それで、そちらの方は、もしかして……」


「あ、この人はオーウェン・ミラーズといって、私の魔術の師であり、育ての親のような存在です。普段は山の中で人と接することなく生活しているので、色々と失礼なことがあるかもしれませんが、悪気はないので許してあげてください」


 そう言ってフィオールにオーウェンを紹介すると、フィオールは声を出して笑う。


「そうですか。とても仲が良いようなので、てっきり婚約者の方かと……オーウェン様。アオイ先生に魔術を教えた方なのでしたら、おそらく最上級の魔術師なのでしょう。こちらこそ、何か失礼がありましたら仰ってください」


 フィオールは柔らかな雰囲気でそう口にし、微笑んだ。そして、ラムゼイも豪快に笑いつつ、フィオールの言葉に同意する。


「我がケアン家は強者に敬意を払う。もし可能なら数日滞在して魔術について尋ねてみたい気分だ」


「……それは断る」


 ラムゼイの言葉に、オーウェンはこちらを一度見てから答えた。更に、答えた後にも私の様子を確認するように振り返る。まるで私が怖いかのような態度を取らないでもらいたい。


 まぁ、今の受け答えはオーウェンにしては上出来だろう。不問にしておく。


「さて、話が決まったなら歓待の準備をしようじゃないか。フィオール」


「はい。それでは、皆様。私はお先に失礼いたします。また、晩餐会でお会いいたしましょう」


 それだけ口にして、フィオールは一足先に中庭から出て行った。まさかフィオールが厨房に立つわけではないだろうから、料理人に食事の要望か何かを伝えに行ったのだろう。


 そんなことを思っていると、ラムゼイはフェルターに声をかけた。


「フェルター。食事まで城内を案内しておれ。良いな」


「……なんで、俺が……」


 ラムゼイの言葉にフェルターが不満そうに答えようとしたが、その返事を聞く前にラムゼイは中庭から出て行ってしまった。フェルターはその背を見送り、舌打ちをする。


 フェルターは反抗期らしい感じだが、ラムゼイがまったく気にしていないので空回っている、といった様子だ。


 しかし、反抗しつつもフェルターは真面目に我々を連れて城内を案内してくれた。なんだかんだで真面目である。


 オーウェンは興味が無かったようで、中庭に残っていたが、他の皆は楽しく見学をした。特に、エライザとシェンリーは喜んでいた。


「グランサンズ王国の王城より大きそうです!」


「え? そうなんですか?」


 後で問題になりそうなエライザの発言と驚きの声を上げるシェンリーを先頭に、ロックスとハイラムが続く。二人はあまり騒ぐこともなかったが、興味深そうにはしていた。


 一方、私はグレンとストラスと一緒に、ブッシュミルズ皇国について確認をする。


「昔、差別されていた獣人達が作った国だと聞いていましたが、想像以上に大きな国なのですね」


「うむ。まぁ、建国は遥か昔のことじゃからな。とはいえ、ブッシュミルズ皇国も大国の一つに数えられるまで発展したのは凄いことじゃよ」


「ラムゼイ侯爵の力も驚くべきものでしたが、他にもそういった方がいるのですか?」


 ストラスが尋ねると、グレンは顎髭を撫でながら頷く。


「そうじゃのう。今の王も、相当な実力者だった筈じゃよ」

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