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異世界転移して教師になったが、魔女と恐れられている件 〜王族も貴族も関係ないから真面目に授業を聞け〜  作者: 井上みつる/乳酸菌/赤池宗


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まさかの来客

 メーカーズに観察されるように見つめられて若干の不安を覚える。


「……はい。私がアオイですが」


 そう答えると、メーカーズは先ほどとは打って変わって穏やかな微笑を浮かべた。


「おぉ! 貴女が噂の! 今後は是非とも我がオークションハウスをご利用ください。そこの騒がしい二人のオークションよりもずっと良い品が揃います」


「あ、ありがとうございます」


 答えると、そういえばとメーカーズは笑みを深めた。


「あぁ、そういえば今月一番の高額となった生きたドラゴンもアオイ様でしたね。いやいや、素晴らしい商品の出品、誠にありがとうございました」


「あ、いえ、こちらも助かりました」


 そう答えると、メーカーズは不思議そうに首を傾げる。


「なにか、金銭面でお困りですか?」


「あ、今日出品される魔術具を購入したいと思っていたのですが、かなり高額になるかもしれないと聞いて……」


 私の言葉を聞き、メーカーズは成程と頷いた。


「……あぁ、そういうことですね。アオイ様は、ロイル様と真っ向から競り合いをしてでも魔術具を手に入れたい、と」


 そう口にしてから、メーカーズはワイド達を横目に見た。


「確かに……それなら、私に先に話をしておいたのは正解でしょう。オークションで競り落とした方が無事に帰られるよう、全力でお手伝いいたします」


 あっという間に状況を理解したメーカーズ。かなり頭の良い人のようだ。しかし、それほど危険だと認識しているなら出入り禁止にしてもらいたいところだが、やはりロイルから入る利益は無視できないほどなのだろう。


 そんなことを考えていると、メーカーズはこちらの考えを察するように目を細めて苦笑した。


「……ここ一年くらいでしょうか。ロイル様は以前よりも少々過激になられました。どうやら、かなりの能力を有した魔術具を手に入れたようで、その力を恐れて貴族であっても迂闊にロイル様と争うようなことはしなくなりました。争うぐらいならば、ロイル様と友好的に接して自分たちも利益を得ようという方が多いかと思います。ただ、我々オークションハウスとしてはお客様は公平に扱うべきと思っておりますので、アオイ様が無事に落札された際には最大限の配慮をさせていただきます」


 と、メーカーズはロイルの変化と自身の立場での考えについて述べる。


「いえ、別に何か不満があるわけではありませんよ。それに、ロイルさんが魔術具を使ってくれるなら是非見てみたいと思っていますから」


 そう答えると、周りの面々がギョッとした顔になった。


「あ、アオイ君……王都で魔術具戦争みたいなことは止めるんじゃよ? わしとの約束じゃよ?」


「アオイ先生、流石に王都内での戦いは凄い損害に……」


「フィディック学院が取り潰しになるようなことはするなよ?」


 皆から争いを止めるようなことを口々に言われた。まだ争うとは決まっていないのだが、皆随分と心配性である。


「大丈夫ですよ。私も攻撃されない限りは反撃しませんから」


 そう答えると、皆ががっくりと頭を垂れた。対して、ワイド達は首を傾げる。


「先に手を出されたら流石に反撃するのも仕方なくない!?」


「本当よー! ぶっ飛ばしちゃいなさいよ!」


 ワイドとタキーが鼻息荒くそう言ったが、グレンが片手をあげて一言呟いた。


「……そんな感じで各国の宮廷魔術師長をぶっ飛ばしてきたんじゃが……」


 グレンがそう口にすると、皆の目がこちらに向く。


「……街は、あまり壊していません」


 弁解しようと返事をしたのだが、揃って皆無言だった。


 その時、扉の向こうにいるメーカーズが後方を振り返った。


「……なに? 今か?」


 誰かと話している様子でメーカーズが一言二言喋っている。それにワイド達が眉根を寄せた。


「ちょっとメーカーズ! アオイちゃんは超上客よ!?」


「ちっちゃな用事なら放っておきなさいな!」


 二人が抗議すると、メーカーズはそれを完全に無視してこちらへ振り返った。


「……アオイ様。オークションハウスに陛下が訪ねて来られたようです」


「え? ミドルトンさんが?」


 メーカーズの言葉に聞き返すと、ワイドとタキーがすごい勢いでこちらにむかってきた。


「へ、陛下よ!? 聞いてた!?」


「み、み、ミドルトンさんって、あんた……!?」


 顔面蒼白の二人。


 そういえば、ロックスの親といえど国王である。私は生徒の親として接している為あまり意識していないが、オークションハウスの支配人という立場からするとまた違うだろう。


 そう考えると、オークションの収益のどれくらいが王国の取り分なのか気になってくる。


「とりあえず、アオイ様。改めて正面入り口まで行っていただきたい。陛下は応接室でお待ちですので」


 メーカーズにそう言われて、色々と思考を中断した。


「あ、分かりました。すぐにお伺いします」


 そう答えると、ワイドがメーカーズを見る。


「あんたも来なさいよ?」


「当たり前だ、馬鹿者」


「馬鹿って何よ!?」




異世界教師7巻!

8月発売予定です!(*''ω''*)

よろしくお願いいたします!(*´ω`*)

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― 新着の感想 ―
[一言] プラズマカノンや核融合を再現できる術者が 「攻撃されたら反撃しますが、こちらからは攻撃しませんよ」と言っても安心でけへんw
[良い点] アオイの味方って居ないのねw みんなマイナス面ばかり見てる。 学園にとってアオイがもたらした貢献度を考えると既に学園理事位になってもいいのでは?w 大体相手が暴走するのが悪いのにねw
2024/08/02 14:34 退会済み
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