第14話「「「なんだネコかぁ~~~~~っ!」」」
ーーイイカタァァァッ!!ーーーー
「ひぃっ!?お、おおおお化けえぇえーー!!?」
「ちちちちーがうっ!魔物ダアァァァッ!?」
「ぎゃああああ!!!っでらやべぇぇぇっうぇっ!!!」
突如、遠くの方から怒声のような声が聞こえた気がした盗賊達は、盛大なパニックに陥った。
「あっ、やべ…」
「任せろぅっ!!」
サブが気づかれたと思い、弓を構えて迎撃体勢を取ろうとしたが、その前にパワードが進み出る。
パワードは直ぐ様、空気を一気に吸い込んでギリギリまで肺を膨らませると、小さく広げた口からか細く長い鳴き声を上げた。
ーーニヤァアアアアアアアアアァァァァァァ~~~~~~~~~ッゴォッフ!!
「うわっ、ダミ声。そして無駄に響く……」
「そんなんで騙せるわけーー」
「「「なんだネコかぁ~~~~~っ!」」」
サブが枝からずり落ちかけた。
「まったくビビらせやがってぇ…」
「へへっ、お、俺はそんなにビビって無かったけ、どなぁ…」
「ふっ、強がるんじゃねぇ…足ガクガクだぞ?」
「ああ?ふ、ふふ震えてねえよ。お前こそガ、ガックガクじゃねえか」
「これは震えてんじゃねえ…。武者震いだ!!」
「一緒じゃんっ!!?」
「おおい、早いとこアジトにずらかろうぜぇ。いつホントにやべぇのが出るのかわかんねぇよ…」
パワードの擬装鳴きマネにあっさり納得した盗賊達は、少し会話をして落ち着きを取り戻した後、アジトへの帰り道に早足で戻った。
「…なんでだ!」
「もう大声出すなよ」
「……分かっとるわ!!」(ボソッ)
木の上でその様子を見ていたサブはいまいち解せないという表情をしていたが、リイダにたしなめられ声を押さえる事にした。
「これならあと二回は誤魔化せるな!」
「‥それはどうだろう。そしてあいつらもどうなんだろう…」
そのまま追跡を続行したリイダ達一行は、途中また二回も追跡がばれそうになったが、パワードの読み通りに誤魔化す事に成功した。
二回目はコウテツがスタミナ切れをおこし、枝を渡りきれず地面にダイナミックにダイブした時の震動。
ーーズダアアアアアアアアアアアンッ!!!
「「「ぎゃあああっ!!怪獣ぅぅぅぅーーっ!!?」」」
ーーワンッ!ワンッ!ワォオオオオオオーーンッ!!
「「「なんだ犬かぁ~~っ!」」」
三回目、パワードがコウテツを背負って移動する事にして枝を渡っている最中、乗る枝の強度を見誤りへし折ったかと思うと、二人見事に地面にめり込んだ時の擬音。
ーーメリコォォォオオオオオオオオオオッ!!!
「「「ひぎゃあああっ!?……何の音!????」」」
ーーテッつあんパス!ーー‥なにその無茶ぶり‥‥プトゥリオットローパパペルティーッ!ポォーイ!ポォーイ!
「「「なんだヘギオンオオデマモグラかぁ~~!」」」
「ヘギオンオオデマモグラってなんだよっ!!!」(ボソッ)
「この森の西方にある山脈地帯に住んでるあらゆる擬音を自在に出せる魔物よ。温厚な気質なんだけど縄張り意識が低くて、エサを求めていろんな所に出没する。だからそんなに珍しくないかな。」
メオナがそう解説してくれた。
「へぇ~なるほど」
「いや、いろいろおかしいだろっ!!?つかお前らも音立てすぎだろっ!!」(ボソッボソッ)
「「めんごめんご!」」
「それ謝ってんの!?」(ボソッ)
「「いや全然?」」
「お・ど・れ・らあ……っ!!!」(ボソッ)
パワードとコウテツは、二人揃って頭の後ろを掻いていた。
兎にも角にも盗賊達を追い続けること十数分後。
ようやく盗賊アジトが見えてきた。