空蝉
初投稿でした!とても短いので読みやすいです
ほんの少し不思議な体験を是非
ちょうど涼しげな風が肌に染みる夕暮れに、僕は友達のよっちゃんとゆーくんと遊んでいた。よっちゃんとゆーくんとは昔からの友達だった。僕らの居る田舎にはこれといったものはないけれど、不思議なものなら一つだけあった。それは、僕の家の後ろにある小さな道を進んでいくと小さな祠があって父ちゃんにも母ちゃんにも近づくなと言われていた。なんで近づいたらいけないの?って聞いても教えてくれなかった。だけど、婆ちゃんは教えてくれた。「あそこにはね小さな子供の神様がいるんだよ。しっかりと祠を綺麗にしてやればいつかきっといい事があるだろうさ」って教えてくれたんだ。だから僕は毎日祠を綺麗にする事にした。ちょうど高校の春くらいの時期までだったかな
高校に入り学校も遠かったので一人暮らししてたから祠に行く機会も少なくなり祠を綺麗にする時間もできなくなってきていたから行く機会も綺麗にする事もできなくなっていった。そんな頃、突然悲しい知らせが入った。高校三年の夏に婆ちゃんが老衰で死んだ。葬式が執り行われて僕はスーツを着て実家に帰った。実家に戻って葬式が終わり僕はふとおばあちゃんが言っていたことを思い出した。「祠をしっかり綺麗にすればいつかきっといい事があるだろう」だから祠を綺麗にしに行く事にした。祠は苔で覆われてしまい、わかりづらいような感じになっていた。その時、僕の名前を呼ぶ小さな女の子の声がした。だけど、すぐに声は聞こえなくなってしまった。蝉の声がジリジリと鳴り響くように聞こえていた。季節はちょうど夏の始め位だった。
風の声がサワサワ聞こえる頃、僕はもう一度祠を見に行くことにした。女の子が僕の名前を呼んだようなそんな気がして、草木が生い茂り夏の躍動を肌で感じていた。祠の前に立った時くらっとして目の前が真っ暗になってそのまま僕はふらりと倒れてしまった
目を覚ますと僕は同じ祠の前にいた。ちょうど夕方位になっていた。僕の名前を呼ぶ幼い子供の声がした。声はよっちゃんとゆーくんの声だとすぐ気付いた。僕はよっちゃんとゆーくんの声を手がかりに出口を目指した。出口ではよっちゃんとゆーくんが僕のことを待っていた。僕はその時タイムスリップしたのだと、その時気づいた。信じられなかったけど。空の夕暮れはもうすぐ夜になると告げていた。
僕はその次の日、また祠の前にいた。僕の名前を呼んだ幼い女の子の声が気になってしまったから。そんな時、祠の隣に小さな女の子が座っていた。僕はその女の子に声をかけた。その女の子の声は僕があの時聞いた幼い女の子の声に似ていたそんな気がした。その女の子の顔は少し寂しそうに見えた。その女の子はしたい事があるんだと僕に教えてくれた。僕は考えて、とりあえずお腹が空いたので近くの駄菓子屋に行く事にした。蝉の声がジリジリと強く聞こえていた。
その駄菓子屋でよっちゃんとゆーくんに会ったので四人で遊ぶ事にした四人で遊べば女の子の寂しい顔が少しでも晴れると思ったから。近くの団地で夕暮れになるまでひたすら遊んだ。僕は婆ちゃんに聞いた言い伝えを試そうとよっちゃんとゆーくんと女の子を連れて祠へ向かった。なんでも祠の前で近くの木に名前を彫ると一生友達でいられるというものだった。ちかくの木にみんなで名前を彫った後、よっちゃんとゆーくんは夜遅いからと先に帰らす事にした。その女の子を家まで送り届けることにしたので家を聞こうとしたら「ありがとう一生のうちで一番楽しい思い出が出来た今日はありがとう」と僕に言った。その時強い風が吹き抜けて落ち葉が舞い上がった、僕が「大丈夫?」と言おうとしたがその女の子の姿はそこには無かった僕はその時の言葉が少し引っかかって聞こえた。探そうとした時、またあの時のめまいが僕を襲った。蝉の声が遠く聞こえた
目がさめると僕はあの祠の前にいた。姿も元に戻り戻ってきたのだと気付いた。あの後、爺ちゃんに女の子の事を聞くと昔、祠の近くで女の子が事故死したのだと教えてもらった。それからというもの危険なので近寄るなと言われていたのだ。僕はその時のあの女の子の言った言葉がやっとしっかりと伝わった。あの後、祠の近くの名前を彫った木を探した。その木には僕とよっちゃんとゆーくんと女の子の名前が今でもしっかりと刻まれていた。
今日もあの時と同じ蝉の声がジリジリと鳴り続いていた
お読み頂きありがとうございました!
また投稿できるよう頑張ります!