四話目 振り返る
よくわからないけれど、よくわからない事は思ったより簡単に起きる。
ていうか起こった、まさか春夏冬くんその瞬間が見られるとは、吸血させてあげている場所を見られるなんてねー。
そして、まさか私と同じような能力?を持っているなんて。
ちなみに私の持っている能力のようなものは人の心を読める能力、自分がエスパーになっちゃうとは。
それまでは超能力とかは一切信じていなかったのに、そろそろUFOとかを信じる時かもしれない。
まぁ、どうでもいいけど――とか言いたいけれど、どうでも良くない!
むしろ重要、めっちゃ重要!重要なことなんだけれど、もう解決のしようがないんだよね。
とにかく今はもうやることがないし、話すことは無いのでおさらいをしよかな!
確か・・・八月くらいだったかな、そこまで記憶に残っていることじゃない、日にちももう覚えてない。
つまり、八月のいつか朝に目が覚めて、そして、この能力に気付いた――とかではなく、ではなく、ではなく、着替えて部屋から朝ご飯を食べに部屋から出たところだったな、その時
『ん、恵か』
兄の声だった、ただ廊下ですれ違っただけなんだけれどね、先に朝食を済ませたらしい。
「うん??何?」
「え、何も言っていないけど」
???
何かというか、名前を言われた気がしたんだけど…、まぁ、聞き間違いくらいあるよね。
『寝ぼけて何か言ったかな……?』
兄の声は聞こえてくるのに口は動いていない、ナニコレ!
「ん、いや、まあいいや」
とりあえず、何となく誤魔化しておいた、誤魔化しにはなっていないかもしれないけど。
んー、夏休みで良かった。
私は朝食も早々に済ませ、出かけるところもないので部屋に戻って考えることにした。
何だろうこの現象というか怪奇現象は、私がおかしくなったのかな、いやでも、はっきり聞こえるんだよねー。
んー、他の人で試した訳じゃないけどたぶん同じかな、この怪奇現象は。
今日は誰かと会うかな、会ったらいいんだけど・・・暇な人とかいないかな、春夏冬君とか読んでみようかな。
あーいや、スーパーとかに行けば嫌でも人に会うけどさー、そもそも何が聞こえてくるかが一切わからないから、まずは何が聞こえてくるのか考えなくちゃいけないのかな。
まぁ、大体検討はついているんだけどね、きっと思っていることが聞こえてくるんじゃないかなー。
何でこんなにファンタジックなの、でもこういう風に考えるしかないよね、ファンタジックに考えるしかない。
と、こんなところでスマホに着信が来た、友達からだったけど特に名前とかはいいよね、要件は肝試しに行った所に忘れ物をしたらしいので一緒に取りに行ってほしいとのことだった。
どこに忘れたかと訊くと廃校と言った、中学生が夜に廃校に行くのは普通に危ないと思う、行ってしまったこはもう仕方がないけど。
友達の頼み事はもちろん承諾した、承諾してしまったともいえるよね、今の状況では。
何も起こらないことを祈ろうかな。
……廃校前に来たら、すでにそこには友達がいた、まあ、集合場所をここに指定されただけなんだけど。
で、廃校に入って探した、その間、例の心の声が聞こえてきた、内容は友達の愚痴だったけど・・・。
それで、まあ、見つかったんだけど、そのあと、またここに戻ってきた、理由はここに鍵を落としたから…。
やっちゃった……まさか探しものをしている途中で探し物を作るとは、さっさと見つけて帰ろう。
はあ、どこに落としたんだろう、この廃校は、壁がなかったり、屋根が崩れてたりするけどそこまで入り組んではいないし、さっき探した場所を回ればきっと見つかるかな、となると奥の方に行かなくちゃ。
『人か』
結構無差別に聞こえてくるなー、これ……、えっって、ここに私以外に誰かいる、誰だろう?
『助けは求められないな』
助け…?
人以外に助けを求めるなんて、何をしてほしいんだろう、というか今あっちから見えているってとはこっちからも見える範囲に居るってことだよね。
どこだろう、んー?
わっ、居た、人が倒れている、ホームレスとかじゃなさそうだけど服もきちんとしてるしそもそも高校一年生くらいだし。
「えっと、大丈夫ですか?」
『見つかった、見つけて欲しくなかった、このまま救急車とか呼ばれてもまずいしな』
えー、どうしたらいいんだろう、いやいや、救急車呼ばなきゃならいないよね。
「い、今救急車呼びますね……」
「いや、いい」
そういえば、外傷とか無いしなんで倒れてるんだろう…声はちょっとかすれているけれど。
でも、顔色が悪いというかちょっとやつれている。
「えっと、どうすれば―」
「何も…しなくていい」
『まさか、血が必要なんて言えるわけないよな…』
え…血?
血がなくて倒れているの……この人、警察を呼んだほうがいいのかな、いやでも高校生だしなあ。
どうしよう……。
「何もしな…くていいから、もう行ってくれ」
「えっいやでも」
『これは…もう、吸血鬼といってしまったほうがいいのか?』
………どういう事?
言っている、もとい思っていることがおかしい、いやさ、だっていないでしょそんなの、ちょっと文脈もおかしいし……。
もう訊いてみるしかないのかな?
「えっと――吸血鬼――」
「吸血鬼――」
吸血鬼と言ったのは同時だった、どう見てもこの人は鬼じゃなさそうだけど。
「えっいや、お前どうして」
そりゃあ、まぁ質問になるよね
「血が……欲しいんだよね?」
「まあ、そうだな…」
『分かるのか、そういうのうりょうくなのか?』
能力、よくわからないけれど、というか一切わからないけれど他にも同じ感じのものを持っている人がいるっていう事かな?
この人にこれをわからせる用に次に
「そういう、能力だよ」
と言った。
「そうか…」
どうやら察してくれたみたいだけど、これ、何をどうすればいいんだろう。
「じゃあ、血を分けてくれないか…?」
「っでも、血って」
「あっいや大丈夫だ傷ができたり貧血で倒れる心配とかはない」
どういう原理だろう、吸血鬼の血ですぐに怪我が治るみたいな、みたいな、ありえなーい、ぶちゃっけありえなーい。
見てたなープリキュア。
「わかった、どうすればいい?」
「……えと、じゃあ首筋を口の前に持ってきてくれ」
ここは、まあ、言うとおりにしよ。
言われた通りに首を口元に持って行った、すごい近い。
「じゃあ、もらうからな」
「うっうん」
かぷっと首筋に噛みつかれた、痛い、すごく痛いというわけではないけれど痛い。
「ぷはっ、あー」
どうやら、吸血し終わったらしい、はー痛かった、首を触ってみたけど、確かに傷もなければ頭もくらくらしない。
そのあとお互い立って名前とか事情とかこの能力のことを訊いたし聞いた。
できればこの人の心を読める能力はできるだけ早く捨てたい、いきなり使えるようになったことはよくわからないらしい。
ちなみにこの人名前は小鳥遊唯、たかなし、なしってつく苗字の知り合いが二人もいるのは珍しいと思う。
「たかなし、うーん下の名前で呼んでいい?」
「えっどうしてだ?」
「苗字が似てる友達がいてさー」
「まぁ、いいけど…」
『初対面で下の名前で呼べれるのか…年下みたいだし………いいか別に…』
そう、思っちゃうよね、そりゃ。
で、これが私と唯君との出会いでした、めでたしめでたし―――とかではなく、私は一週間に一回唯君に血あげることになった。
それがまぁ数か月続いたんだけど、9月16日から頻繁に廃校に行くことになった、唯君が大けがしていて、腕を奪われたとかで、さらに血が欲しくなったとのこと、主食をレバーにしたほうがいいかな、一週間に一回だったのが三回くらいには増えていた。
何があったのかはよくわからないけれど、そこまで首を突っ込むのはどうかと思う。
そしてそこから数か月経って10月29日、この日廃校に行く途中で春夏冬君と会った、会ってちょっかいを出した、本当はここで会うべきではなかったと今は思うけれども。
「やっほ、春夏冬くん」
声をかけたのは私から、春夏冬くんと外で会うのは珍しい、あまり外で見ないから結構印象に残っている。
「なんだ、お前か」
「なんだとはなんだっ、お前とはなんだっ」
『なんか、こう、面倒くせぇ』
めんどくさいと思われた、まぁ、ちょっかいかけてるだけだからそう思われるか。
ていうかジュースを買いにきたんだ、そういえばのどが渇いた、へへっ頼んでみよう。
「あっ、私もジュース一本買ってくれない?」
「ん、じゃあ、これをあげるよ」
「おおおお、やったー」
『お金が無いのか・・・?、こいつ。』
お金はある、持っていないだけ、今度ジュースお返しおごってあげよう
「ねぇ、どこに行くところだったの?」
「あー、そうだな、ここが目的地」
「ん?、どういうこと?」
「妹に頼まれたんだよ」
「ああ、そういこと」
じゃあ、もらったの春夏冬君自身の分かな、あー、まぁいいや。
「お前は、何処へ行く途中だったんだ?」
「お前とはなんだっ」
『面倒くせぇ。』
「あっ今めんどくさいって思ったでしょ」
「なぜわかった!?」
このあと転校生の話とか無駄にインターホンならしたりしたけど(ちょっとやりすぎた気もしなくはないのでハロウィンにお菓子あげよ)、家に帰ると嘘をつき無事廃校についた。
翌日10月30日お菓子をあげようと春夏冬家に来て、インタホーンを鳴らした、今度はちゃんと意味がある。
「トリックオアトリート!お菓子どうぞ」
『その台詞だと違和感すげえ』
もらう側の台詞言ったものだから春夏冬君がすごく困惑している、急に来たからかまだ制服のままだし。
「あー、せっかく来てくれて悪いけれど、部屋にはちょっと入れられない」
「ん?なんで?」
「んー、えっとー、諸事情」
『まさかベッドに飛び込んで壊れたなんて言えない』
なにやってるの、どうやったらそんなに簡単にベッドが壊れるの老朽かな…、リサイクルショップで買ったとか…?
「あぁ、ベッドに飛び込んだら、ベッドが壊れたのね」
「お前、すげぇな!」
『本当にこいつエスパーじゃねぇのか、まぁ、ちょっと違うけれど』
「ちょっと違うの?」
「いい加減にしろや!」
さすがに知らないとはいえやりすぎた、反省反省。
「はぁ…」
ため息をつかれた、そんなに疲れてるのかな…、ああでも元気そうだから精神的にかな。
そういえば学校で海月さんに春夏冬君の名前聞かれたけど、何かあったのかな、何か精神来ることがあったのかな?
「早く今日は疲れた一日だったで終わればいいね」
「ああ、そうだな」
「そういえば、今日学校に来た海月さんに春夏冬君の名前聞かれたんだけど、何かあったの?」
『…お前かあああああ』
心の中で怒られた、名前…言っちゃダメだったかな。
「ああー、まぁ、ちょっとね」
「ふーん?」
まぁ、あまり関係ないし言いたくなさそうだから流した。
「まぁ、頑張ってね」
「もちろん」
『じゃあちょっと気晴らしにそこら辺を歩いてくるか』
「じゃあ、私のジュースを買ってきてね」
「これ以上心をよむなーーー!」
これ、春夏冬君が疲れている所にさらに疲れるようなことしてるよね、私。
そして問題の11月18日、見事にばれた、この時春夏冬くんにどんな心境とか状況変化があったとかわからないけれど、とにかくばれた、まさか春夏冬君に知られるなんて思ってもみなかった。
心を読む能力があるのにばれたのは私の失、このころにはこの能力のonとoffを何となく切り替えられるようにはなっていた、普段は普通に心の中の声なんて聞こえてこない、常に聞こえてくるなら春夏冬君も例外じゃないんじゃないかな、つまり使い方があるんだ思う。
ばれた後で色々文句言っても仕方がないけど。
春夏冬君にばれた後、色々、海月さんとの関係とか全部聞いた、海月さんも吸血鬼なんだって、唯君との関係は話を出し渋っていた、まぁ何かあったのは分かったけど。
これが私に関する一連の流れ、たまたま助けてたまたまそのことがばれた、ここまでならまぁ、想定しなくはないけど、一番驚きなの近くに二人もこの異能力っぽい物を持っているひとがいたという事。
ここから18日の後日談だよ、海月さんとそれなりに仲良くなりそれなりに情報共有をした、こんな形で友達になるとは思ってもみなかったけど。
「あっ、そうだ廃校で思い出したけど、春夏冬君確かあそこに幽霊がいるって」
「幽霊?」
「うん、言ってたよ」
「えっいやでも、そんな幽霊なんて噂聞いたこともないけど」
「いや、噂じゃなくて、春夏冬君が見たって言ったんだけどそれって…赤石沢さんなんじゃないかなって」
思ったより随分前に見られてた。
ちょっとというか随分遅かったですけれど。