一話目と二話目の間の続き 俺は人間なんです、多分
後日、つまり八日そして日曜日。
普通なら何もない休日だけれど。
何もない休日であって欲しかったけれど。
でも、今の俺は全く普通ではない平和でもない。
吸血鬼に襲われて、その襲われた吸血鬼に今度は殺してくれといわれた、もしも、これが普通だとすると、全て他のところが異常すぎる。
俺が異端すぎる。
まぁ、襲われたことについては大体どういうことかは分かった。
巻き込まれなかったら何も知ることは無かったのに。
知ってしまうことは無かったのに。
こんな事すべてを放り投げたいけれど、脅されているしなぁ。
あの時助けなければ、丸く収まってたのかなぁ。
・・・
いや、見たから死んでたな。
あれ以上逃げても顔が見られてるし。
はぁ・・・まぁ今どこに居るかというと。
海。
なんでこんなところに来なければならないんだ。
もちろん自転車を漕いできた。
今、10月なんだけどなぁ。
まぁ、決して海水浴をするために来たわけではない。
というか、そんなはずがない。
寒いし、海月(決して未来で再会した吸血鬼の名前ではない、つまりクラゲ)とかすごそう
来たくないのに来た、まぁ、ただあの怪物に連れてこられただけなんだけどね。
流石に家で話してたりしたら、家族に見つかるかしれないし。
かと言って外で話すわけにのいかないしなぁ。
ちなみに今回はガラスを割らずにベランダに着地していた。
つまり、今の時期には海に誰もいなくて見られることがないということ。
でも、ここに人が来たらこれ以上なく目立つだろうな。
「本当にここじゃだめか?」
「まぁ、誰もいないですしねぇ」
「いやさ、開けてるから目立つだろ」
「話さえ聞かれてなければそれでいいんですよ」
「それもそうか」
別に見られたら都合の悪いことをするわけでもしな。
ただ話すだけだ。
「そういや、お前この前自己紹介するって言いながら名前とか全く聞いたんだけど」
「名前ですか?」
「そうだ」
「うーん、そうですねぇ、名前なんて無いも同然ですし、お前とか怪物とか怪物くんでいいですよ」
「・・・」
お前の周りにフランケンとかいないだろ。
と、いうかお前はドラキュラに近いぞ?
・・・ドラキュラ?怪物?
あれ、こいつ随分と万能なんじゃないか?
万能・・・そういえばこいつ吸血鬼なのに平然と太陽の下に出てるな。
「・・・お前、太陽の下とか大丈夫なのか?」
「心配してくれてるんですかぁ?」
「心配?正直に言うと、お前が生きているの嫌ならずっと生かせやりたい、良かったなぁ、地球の最後が見れるぞ?」
「そんなことを言っても私を殺すしかないんでけどね」
「本当に生かせてやろうか」
「またまた、冗談を」
普通は生と死が逆のはずなんだけどなあ。
いや、俺らが逆なのか。
さっき言ってなかったけれど、協力者が来ることを知らされている。
昨日言ってたやつね。
まぁ廃墟なんて限られた場所にしかないけれど。
「・・・協力者っていつ来るんだ?」
「んーもうすぐ来るはずなんですけどねぇ」
「というかよくいたよな、こんな面倒くさい事に首を突っ込むやつ」
「ええ、まぁ」
「また、吸血鬼か?」
「協力してくれる吸血鬼がいるならとっくに死んでますよ」
「ああ、そうか」
昨日もしたような会話だな。
本当によくいたよなぁ・・・協力してくれるやつ。
俺は渋々だけど、協力っていうことはきっと乗り気っていうか、やる気はあるんだろうなぁ・・・。
わざわざ、こんなことにやる気ねぇ。
「あっ来ましたよ、協力者が」
こっちに一人の男が歩いてきていた。
なんか今回、男くさいなぁ。
「よぉ」
「こんにちわ」
「・・・」
黙っておこう。
まぁ、黙っておこう、なぜなら見た事がある顔だから。
相手は覚えてるかどうかはわからないけれど・・・。
いや、初顔合わせということらしいし、自己紹介くらいあるだろう。
「こいつが・・・殺すの手伝ってくれるやつか?中学生?」
「ええそうです」
「・・・いや、お前、なんで危ないのに―」
「この方、私を一週間だけ倒したひとなんですよ」
「本当か?それ」
「ええ」
この二人どういう関係なんだよ・・・。
なんか、俺の心配までしてくれてるし。
いや、まぁ、普通はするよなぁ・・・。
「見かけによらないなぁ、おい」
「私がばらばらにされましたからね」
ここで自己紹介をされた。
つまり名前を言われた。
俺は誰だか知ってるんだけどね。
「赤石沢だ、よろしく」
うん、つまり、あの赤石沢の身内だ。
あの、ものすごくちょっかいをかけてくる赤石沢 恵の身内。
詳しくいうと、赤石沢 恵の高校二年生の兄だ。
ちょろっとしか会ったことがないから、記憶はあやふやだけれど。
でも、珍しい苗字だし、ほとんどそうだろうな。
「えっと、よろしくお願いします」
年上だからこいう喋り方になるよね。
「・・・」
「さてーそれでは探しに行きすよぉ」
「これで本当にお前は死ぬんだろうな」
「もちろん」
なんでこの人殺す気満々なんだ?
俺と同じく脅されているのかな?
仕方ないのかな。
・・・。
そんなに気にすることでもないか。
で、そのあと、怪物くんから色々説明があった。
要約すると、倒す相手はどこかの廃墟にいること、つまり廃墟巡りをすることになる。
あと、あの怪物君は探索している間はどうやら俺の影の中に入って忍んでるらしい。
確かに年齢差がある人が三人並んで歩いてたらなぁ。
顔も似てないし、今のご時世どうなるか分からないよな。
敵が急に襲って来ることもないわけではないし。
あとは、そうだな、探索するのは無理の無い範囲で、だそうだ。
だから、探索は休日か放課後ということになるな。
そして、対戦は人目がない夜に限るそう。
はぁ・・やだなぁ。
ちなみに、今、一つ目の廃墟に向かってるところ。
早速行動開始と、怪物野郎に言われ、そのあとすぐに影に入られた。
あの怪物が俺の影の中に・・・。
なんか気持ち悪いな。
早く出てほしい。
というか、吸血鬼って本当に影に入れるんだな。
いろいろ無視してるよな・・・それ。
だって平面に入っているんだぜ?
入る余地とか一切ないのに。
「なぁ、お前なんで、吸血鬼を殺そうとしてるんだ?」
行間もなく急に話しかけられた。
「・・・この吸血鬼に脅されてるんですよ」
「そうなのか、・・・でも何ともなさそうに見えるけどな」
???
何が何ともなさそうに見えるんだろう?
ああ、吸血鬼に協力している間は何も起こらないってことを知ってるから安心しているように見えるってことか?
まぁ、家族に限っての話だけど。
「そうですか?」
「ああ、何というか、自分には関係ないみたいな感じだ」
「?」
いや、関係ありまくりだとも思うけどな。
早く、ザマスとの関係を断ち切りたくはあるけど。
そろそろあの吸血鬼をを呼ぶときの、バリエーションがなくなってきたな。
・・・訊かれたし、訊き返しておくか。
「赤石沢さんはどうして?」
普段赤石沢 恵のことを赤石沢と呼んでいるから、違和感あるな。
「ん?僕は助けるためだ」
一人称が僕っていうキャラだったのか・・・この人。
「吸血鬼をですか?」
「何を言ってるんだ、他のみんなに決まっているいるじゃないか、吸血鬼がいつ生きる意志を取り戻すかわらないんだ、もしそうなったなら、こいつは人間を殺しながら、生きて行くことになる、それは十分に人間の敵だ」
「・・・」
俺が関係なさそうっていうのはこういうことか。
他人・・・他の人間を助ける為に動いていない、人間の敵なのに俺はこいつを生かそうしていた。
他人の事一切考えずに。
わざわざこちら側の被害を出させようとしてったてことか。
今まで気にしたことが一切なかったことだ、基本的に他人は無関係だから、関係ない人には関わらない。
・・・。
なんか、自分が自分じゃないように思えてきた。
まぁ、でもこんなことが分かったからって、性格がすぐに変わるわけじゃないし。
人間の敵をわざわざ生かそうとしてたねぇ。
性格がすぐに変わるわけじゃない、今もあいつ生かし続けていたいと思っている。
・・・。
はぁ・・・。
赤石沢さんは正義感強いなぁ。
「おっ着いたな」
色々話ているうちに着いてしまった。
一件の廃墟。
幽霊とか出てこないことを祈ろう。
いや、吸血鬼のほうが怖いな。
元々なにををしていた場所かは一切わからないけれど、倉庫みたいなところだ。
広くて、その脇に少し部屋あるくらいの何の変哲もない、倉庫。
広くて、小部屋がある・・・。
居るか?
簡単に見つかりそうな場所だけれど。
隠れて暮らしているはずだしなぁ。
もっと部屋があったほうがいいんじゃないかな。
まぁ虱潰しに部屋を調べるか。
赤石沢さん(違和感すごい)とは、二手に分かれた。
・・・、ここだったら、影に入ってる吸血鬼は外に出てきてもいいんじゃないか?
これ、俺の意識で外に引きずりだせるのかな?
うーん、出てこいー、出てこいーー。
出てこねぇ。
影に居てられるの嫌なんだよなぁ。
ずっと密着して付いて来てるようなものだろ?
・・・憑くのほうが正しいかもな。
憑いてくる、みたいな。
まぁ、こんなことを考えてる間にも、一部屋ずつ入って行ったけれど、人っ子一人いなかった。
そりゃそうだよね、そもそも探しているのは吸血鬼だし。
「赤石沢さんそっちに居ました?」
「んー、居なかったな、そっとはどうだ?」
「こちらにも居ませんでした」
んー、もう6時半かそろそろ帰らなくては。
「おい、吸血鬼出てこい」
「うーん?呼びました?」
最初からこうすればよかった。
「もう、そろそろ帰らなくちゃいけないからさ」
「ああ、そういうことですか、無理の無い範囲でですもんねぇ」
「じゃあ、今日の探索は終了ということで」
ここで今日の探索が終わった。
その場で解散し、個々、家に帰っていった、吸血鬼に家があるかどうかは知らないが。
次の日、えーっと、9月10日だっけ11日だったけ、えーあー、ちょっと冒頭の文章みてこよう。
ああ、違ったね9月9日だ。
月曜日だ、昨日のサザエさんは面白かったよ。
そして、放課後は吸血鬼を探すために廃墟巡りをする。
普通に学校に行く以上に憂鬱だなぁ。
このまま、時間が進まなければいいのに。
できるだけゆっくり学校にいこう。
そんなささやかな抵抗も空しく、放課後になってしまった。
いーーーやーーーだーーー。
本当に嫌だ、いくら俺が攻撃を全部よけれるといっても、危険なことをするのは嫌だ。
見つからなけば戦う必要がないからね、だから行きたくない。
まぁ、脅されているから、行くんだけど・・・はぁ。
ちなみに、集合場所は昨日調べた倉庫の前だ。
そして、今回は吸血鬼の居そうな場所を探すらしい。
最初からそうしろよと言いたい、言わないけれど。
昨日の探索はなんだったんだ、無駄に広いところを探索させやがって。
あと今回、探索する場所が既に決まっている、というか決めれらていた。
「今回は、はいこうを探索しに行きますよ」
廃坑にいくらしい、・・・いや廃校だな。
ややこしい、漢字に変換しろよ。
廃校ね、あと廃墟と言われれば、数棟くらいしかない、それも廃墟というか使われなくなった建てものってだけで、外見とかはそんなにボロボロにはなっていない。
まぁ、その廃校居ることを祈ろう。
廃校、やや不気味なんだよね、ヒビキというかが。
幽霊とかいそう。
昨日も思ったなこんな事。
倉庫から自転車で走行中、特に赤石沢さんと会話はなかった。
いや、んー、完璧に無言ということはなかったけれどね、そんなに意味のある会話は無かったよ。
で、廃校前なわけだけれど、まだ明るいからか、そんなに不気味というほど不気味ではなかった。
普通にボロボロになった校舎、ところどころ壁も屋根も無いところもある、外から見る限りだけど。
そして、これからこの中を探索する、随分広そうだけど。
昨日の倉庫は真ん中の部屋が広かったから探しやすかったけれど校舎は階数あるからなぁ。
そんなことを考えながら、探索開始します。
と言っても、探している時に特に会話はなく、人と同じ大きさのものを見つけるだけなので、歩き回っているだけだった。
そして、うん、結果見つかった、そりゃそうだ、探せば見つかる。
わざわざあの倉庫を探した意味はなんだったんだ。
それから、その吸血鬼に見つからないようにして、廃校から出ていった、逃げるように。
その時に服を着た何かが見えたような見えていないような気がするけれど、見ていないことにしよう。
「ああー、見つけちゃいましたねぇ」
「・・・」「・・・」
怪物の喋ったことに俺と赤石沢さんは黙っていた。
この怪物なに言ってるんだよ、わざとらしく残念そうにしやがって。
「で、これからどうするんだ?」
「後は、もう、しつこく頼み続けるだけですよ、どれくらい時間が掛かるかわかりませんが」
見つけるのは余り時間掛からなかったのにそこで掛かっちゃうんだ。
今日はその場で解散した、今日っていうか昨日もそうだったけど。
そしてどうやら、怪物は吸血鬼は今日から頼みに行くらしい。
一体どれくらい時間が掛かるだろう。
うーん、一週間くらいかかるだろうか。
大体一週間後。
本当に一週間くらいかかりやがったよ!
おかげで休日がつぶれるよ!
俺の日曜日がーーーー、サザエさん見れるかな。
「と、いうわけで今日の深夜ですからね」
「何がというわけだ、時間掛かりすぎだろ」
「いやぁ、数回死にまして」
なんで、頼み事で死んでるんだこいつ、何されたんだよ、というかどれだけ強いんだ。
「兎に角今日で終わりです」
やっと終わるのか、あーやっとか。
あとは深夜を待つだけ、それだけだ、まぁ、そのあと戦うんだけど。
戦いに関しては余裕だとも思うけどね。
どれだけ強いかは知らないけれど。
「うん、今日で終わるのも分かってるし、そもそも数日何もしてなかったし」
「今思うと、何かしたの二日だけですもんね」
「お前一人で良かったんじゃないか?」
「鉢合わせが一番まずいんですよぉ」
「俺の知った事でないけどな」
本当に知った事ではない、死に続けようと関係ねぇ。
「そういえば、赤石沢さんには言ったのか?」
「ええ、もう言ってありますよ」
そういえば、吸血鬼と赤石沢さんの接点はなんだろうな、どこで、あったんだろう?
どうせ、訊いても教えてくれなさそうだし、考えても仕方がないんだろうけど。
「それでは深夜にあの倉庫で待ってますよ」
部屋のベランダから飛んで行ってしまった。
こんどは窓を割られなかったよ!
ふーむ、ここからはもう、待つだけしかないか。
みんなも気になっていただろう、サザエさんは無事見れて、午前1時くらいに家を出た。
倉庫に向かって、自転車を漕いだ。
あの探索した倉庫は広いし屋根も高くて周りからは見えないから、ちょうどいい場所だ。
一番の心配事は死ぬことだけど親に気づかれるのもまずいよな、早く済むといいなあ。
倉庫前にはすでに怪物と赤石沢さんがいた。
「おっ来たか」
「こんばんは」
挨拶は大事だと思います。
「・・・この中にもういるのか?」
「ええ、はい、待ってもらっています」
もう、中にいるのか。
戦う相手って待ってくれるような吸血鬼なのか。
本当に話し合いでどうにかできなかったんだろうか。
・・・・。
「そういえば、赤石沢さんって何で戦うんですか?」
「怪物、お前教えていなかったのか・・・、僕は剣をだして使うんだよ」
「剣?」
「ああ、そうだ、お前も持っている異能力みたいな感じだ。」
納得、剣を出すってなんだよって思った。
この異能力みたいなもの誰でも持てるんだな。
どうやって持ったかは分からないけれど、俺もある日突然って感じだったし。
「あと怪物に訊いておきたいところがあるんだけど」
「なんですか?」
「吸血鬼から血を採るって言っても回復するときに消えるんじゃないのか?」
「ああ、それは、回復すると思わなければ回復しないので」
んー、そうなのか、別に自動に回復する訳じゃないんだな。
・・・。
「・・・じゃあ、そろそろ中に行くか」
「はい・・・」
倉庫の中には吸血鬼らしき人物がいた。
吸血鬼って外観普通に人間だからね。
そしてその外観が俺よりも一歳上くらい、でも、怪物が数百年生きててあの容姿だから、外観とかあてにならないだろうけど。
一体何歳かは分からないそいつが話かけてきた。
「よお、お前らが戦う相手?」
「ああそうだ」
俺は黙っておこう、ここは年上に任せておく。
「へー、弱そうだな」
「・・・」
まぁ弱そうってだけであって弱いか強いかわからないからな。
「そんなことはどうでもいいか、さっさと始めようぜ」
「ああそうだな」
きっと格闘スポーツなら今頃ゴングが鳴っているだろうな。
この吸血鬼どういう攻撃をしてくるんだろうか。
吸血鬼はこちらに走ってきた。
さてと、出番だな。
吸血鬼をバラバラにする、これで俺の勝ち。
だったんだけどなぁ・・・。
その吸血鬼はバラバラというか、パーツをワープさせた瞬間に回復する。
すごい速度で、瞬きしている間に、いつの間にか回復している。
これに吸血鬼はこれに驚いたのかすぐに距離をとった。
「なっなっ」
本当に驚いていた、こっちも回復の速度に驚いている。
そこから、吸血鬼は背中の方から、触手のようなものが伸びてきた、先が尖っている触手。
その触手がこっちに向かってきている時に赤石沢さんが間に飛び出した。
「あっ!」
この先は言えなかった。
俺は赤石沢さんの方向を向いて、注目をしている。
つまり、その逆方向は全く見ていないわけで、攻撃されていても見えないなら瞬間移動が出来ない。
だから、まぁ、攻撃を当てられた。
右肩から下をその尖った触手に盗られた、ひったくられた。
「うっう、いっ、がああああああああああああああ」
うでっああああああああああああああああああ。
治らないって、これはぁぁぁあああ。
死ぬ、死ぬっ、ああうう。
吸血鬼でもなかったらこの傷、治らないだろおおおおお。
そんな、俺を一瞬だけ赤石沢さんが見て、吸血鬼に突っ込んでいった。
そのまま、どこからか出していた剣を吸血鬼に投げつけた。
吸血鬼が放り投げられた剣に視線が向いていつ間に近づき、さらに吸血鬼に剣が刺さった。
「うあ、あ」
剣を抜こうとしている、抜かなければ回復できないらしい。
吸血鬼が苦しんでいる所に走ってきていた赤石沢さんが首に飛びついた。
手で吸血鬼の首を絞めている。
「ぐが、ぐぎぁ」
吸血鬼が動かなくなった、気絶したか死んだかのどちらかなんだろうけど、まぁどっちでもいい。
吸血鬼は回復しようと思はなければ回復できないから、意識を飛ばしたのか。
それから、赤石沢さんは吸血鬼の両腕を斬り、片方の腕の血を俺の無くなった肩の部分に掛けた。
「大丈夫か?、これでお前の腕は治ると思うから」
すると、腕が治ってきた、よくわからないけれど吸血鬼の血で治るみたいだ。
そのまま、赤石沢さんは片方の腕を捨て、もう片方をもって外に出て行った。
俺は治った腕を見て、赤石沢さんに続いて外に出た。
「いやー待ってましたよ」
待たれてた。
「・・・ああ、取ってきてやったぞ」
赤石沢さんは言った。
「これで私は死ねますねぇ」
化け物は腕受けとり、それの斬り口から血を飲んだ。
「これで安心ですねぇ」
「ああ」
化け物は砂というか、塵にになって散ってしまった。
「はぁ、終わったな」
「ええ、そうですね」
あの、腕を斬った吸血鬼はそのうち目を覚ますだろうな。
「じゃあ、家に帰りますね」
「ああ、わかった」
俺は帰った、役立たずだったけれど。
結局、状況は俺はあの怪物と再会する前に戻った。
というかもう、無かったことにしてもいいともう、これから関わってこないだろうし。
つまり、白紙に戻ったということ。
「いや、そんな話私と再会してすぐに言ってよ、もう三か月経ってるよ?」
私は言った。
「いやー、なんかこう、頭から抜けてたというか」
春夏冬君はいった。
「この事があってそのあと何かあったの?」
「いや?このことに関してはそれから何も起きてはいない」
だから白紙に戻ったとか言ってたんだ。
「んじゃ、まぁ話終わったから帰るよ」
「えっあ———」
「じゃあね」
言いたいことが言えずに春夏冬君は帰ってしまった。
・・・・・・。
いや、・・・。
ダメでしょ、春夏冬君。
他人を見捨てようとしてたり、この経験を白紙にしたりしたら。
ダメだよ・・・。
いやー主人公の性格がヒーローじゃないね。
・・・なんでこんなやつが主人公なんだろうか