二話目 いろいろ解決すると思いきや割とそうでもない
あれから一か月がたって、俺達の戦いは終わった。
・・・
いや、始まってもねぇ。
達って誰のことだよ。
というか、一か月前にそのことについては、謎を残したまま終わっている。
なんか推理小説みたいだな、謎を残してって。
あれからの一か月間は特に何もなかった。
ああ、いや、あったには、あったけどここで話す事じゃないかな。
あと睡眠時間が大幅に削れた、今はもう大丈夫けれど、ぐっすり寝たかったよお。
そういえば、一か月と前は言ったけれど、今は、何月言ってなかったね。
今は10月29日。
もうすぐで、ハロウィンだね。
お菓子をもらわなければ。
一体何歳なんだ俺は・・・。
そんなことを考えている、暇があれば勉強しなくては。
受験生だからね、今。
まぁ、あの事が起きたのが大体一か月前の9月。
忘れようと必死だったから覚えている、嫌なことって随分、頭に残っているものなんだね。
なんの節目もきっかけもなかった日にあんなことが起きるなんてね。
んー、あの事と言っているけれど、わからない人は前の一話目を参照してみてね。
あっいや、やっぱり見なくていい、あんなに短時間で二度も殺されかけた所なんて、見てほしくない。
ああ、待って、一話目見てない人、説明するから。
吸血鬼に襲われ、それを撃退しました、おわり。
あの長い文章ってこんなに短くなっちゃうんだ・・・。
うーん、見ちゃう?一話目、見ちゃう?
まぁ、俺も結構酷い事してるとは思うんだけれど。
実際、倒すとは言っていたけれど、相手何もしてきていないしなぁ。
もしかしたら、こちら側が、加害者かもしれない。
はたから見れば、少女の腕を取ったやつが近くで怪物をバラバラにしてるんだもんなあ。
なんて行為をしてたんだ・・・俺・・・。
なんか自分が悪く思えてきた・・・。
仕方ないで済まされるかなこれ。
あっ、少女って言ったけれど、あの吸血鬼の容姿を言ってなかったね。
忘れていることが多いな・・・。
あの吸血鬼は外見から判断すると、自分と同じくらいの年齢だったよ。
あくまで、『くらい』だからね、実際は何歳か違うと思う。
服装は・・・えーと、特に変なところがなかった気がする。
逃げてたし、そんなところはよく見ていない。
見ていないというか、見えていない。
通りすがりの人の顔を覚えるくらい困難だよ。
まぁ、とにかく、今は10月29日で、あれ以上のことは起きないように毎日、神に祈ってるっていうことかな。
10月29日の1時。
午前じゃないよ、午後だよ。
割れた窓もすっかり直っていた。
さすがに一か月経ってるし。
そんな中、俺は特に何もなかった風に過ごしていた。
目撃者がいないことを願って。
願い事が一つ増えてしまった・・・。
あの、吸血鬼が言っていた通り、見られるとマズかったんだな。
まぁ、夜の神社の前だったし、誰も見てないとは思うけれど。
うーん、これからは、ビクビクして生きていくことになりそうだ・・・。
「お兄ちゃーーーん」
ドアの外から声が聞こえてきた。
ふーむ、何か頼みごとがあるときの声だな。
一緒に住んでると何となくわかる。
だが、俺はエスパーではない。
ん、知ってた?
仕方ないから兄が妹に頼まれてやろう。
「なにーー?こっちに来て」
「お兄ちゃんが来て」
俺が頼まれるほうなんだけどなぁ。
「尾似意茶ーーん、早く来てーー」
「わかったから、おにいちゃんにそんな漢字をあてるな」
あるだろ兄っていう漢字がさ。
ちゃんと使ってたじゃねーか。
階段を下りて下の階に行った。
「お兄ちゃん頼みごとがるんだけど」
ね?言ったでしょ、頼み事だって。
「なんだよ、頼み事って」
「ジュース買ってきて!」
しょうもねぇ頼み事!
「自分で買って来いよジュースくらい、近くに自動販売機あるだろ」
「えぇ」
「んーじゃあ、俺の分も買ってくれるなら」
「ええ、なんでお兄ちゃんの分まで」
別にそんなにのど乾いてはないけれど、買わせに行かされるんだから、買ってくれてもいいともうけどなあ。
ちなみジュースの値段が120円、ここはそんなに都会じゃない。
「んーどうしようかなー、外寒し自分で行きたくないんだよなー」
妹が悩んでいた、120円がどれだけ惜しいんだ、こいつ。
すると妹が笑顔になってこう言ってきた。
「ほら、この笑顔を120円で買って」
この笑顔120円。
どこかで聞いたフレーズだな、それ。
「いや、なんでお前の笑顔買わなきゃならないんだ!」
「お兄ちゃんに買ってもらった笑顔の120円をまた返すの」
ただただ、俺が損する話だった。
結局、俺が自分の分、払ってるじゃん。
「じゃあ、私の愛を120円で買って!」
「愛が安い!!」
コンビニにありそうな、値段だ。
もしかしたら、見かけたかも。
仕方ない、愛まで言われたし、買いに行くか。
「はぁ・・・わかったよ、買いにくよ」
「じゃあ、財布取ってくるね」
妹が財布をとって来て120円渡された。
いや、渡されたのは合計120円。
10円玉が12枚。
なんてことだ・・・なんてことだ・・・。
こいつ・・・お釣りでたまった10円玉消費したいだけだろ・・・。
これだけしか10円玉がないから、俺の分を買いたがらなかったのか、納得。
妹の分だけ買うのもなんか癪だし、自分の分ついでに買ってくるか。
ジュース買うだけだし、ポケットに入れた、重い。
やたら、ジャラジャラという音が聞こえる。
ここから、寒い道を歩かなければならないのか。
靴も履いたし、よし行くか。
着いた。
まぁ、そんなに遠くないし。
さっさと、10円硬貨を12枚入れてジュースを買ってしまおう。
どれだけ俺は『じゅ』という発音するんだ、ラップか。
ああー、いやいや、ラップを馬鹿にしてるわけではないよ。
コーラを二本でいいか、寒いけれど。
コーラを二本、買って、自動販売機の前から離れようとすると、声をかけられた。
女性の声だった。
「やっほ、春夏冬くん」
「なんだ、お前か」
「なんだとはなんだっ、お前とはなんだっ」
なんか、こう、面倒くせぇ。
彼女は、小学校に入ってからの友達で名前は赤石沢 徳。
まぁ、仲はいい。
「あっ、私もジュース一本買ってくれない?」
今日はよくジュース頼まれるな。
でも、もう、お金持ってないんだよね。
どうしよう。
・・・。
愛を120円で買わせようかな。
いや、普通に上げよう。
二本持ってるし。
「ん、じゃあ、これをあげるよ」
「おおおお、やったー」
お金が無いのか・・・?、こいつ。
「ねぇ、どこに行くところだったの?」
「あー、そうだな、ここが目的地」
「ん?、どういうこと?」
「妹に頼まれたんだよ」
「ああ、そういこと」
「お前は、何処へ行く途中だったんだ?」
「お前とはなんだっ」
面倒くせぇ。
「あっ今めんどくさいって思ったでしょ」
「なぜわかった!?」
エスパーかこいつ。
俺はそうじゃないのに・・・。
「私は、ただ歩いてただけだよ」
「ふーん、用もなく?」
「うん、用もなく」
勉強はどうした、受験生。
まぁ、俺もそうなんだけれど。
「じゃあ、もう帰るよ」
もう一本買うお金はないし。
そのまま、歩き出した。
そうしたら、後ろから足音が聞こえてきた。
これは・・・付いてきてるな。
「ん?まだ用があった?」
「暇だから、付いて行っていい?」
「・・・まぁいいけど」
どうせ、近い、家までだし。
「でさ、そんなところで、知ってる?」
「ん?何が?」
「転校してきてすぐに行方不明にになった子が見つかって、そろそろ、学校にくるんだって」
転校生?
そんな伏線、張った覚えないけどなぁ。
というか、受験生で転校とか、あまり見ない気がする。
さらに行方不明とは災難だな。
「ふーん?」
「もしかして・・・行方不明とか知らなかった?」
「・・・」
「春夏冬くん、あんまり他人に興味もたないもんね」
まぁ、無いと言われれば無いけど。
多分、そのことを聞いた事があると思うんだけれど、覚えてないな。
頭から、全部抜けている。
そして、今思いだそうとしてる。
「まぁいいや、春夏冬くん、学校で人と話してなさそうだし」
「いや、友達がいないみたいに聞こえるじゃん、それ」
「え!?違うの!?いるの!?」
「違うよ!いるよ!?」
なんて会話だ・・・これ。
赤石沢はこんなこと言っているけれど、居るからね、友達。
で、そんなこんなで、家に着いた。
この疲れる会話もここで終わりだ。
やったー。
早く鍵を開けて中に入ろう。
「ピンポーン」
赤石沢がインターホンを鳴らした。
なぜ、鳴らした!?
ははは、でも残念ながら俺は妹がインターホンに出ないことを知っている。
「鳴らしても妹は出な――」
「はーい」
出やがった、あの妹、出やがった。
なぜだ!?
「どちらさまー?」
「赤石沢ですけど春夏冬くんいますか?」
います、隣にいます。
「んーお兄ちゃん?お兄ちゃんなら今私の使い走りをしてもらってるとこ」
妹は決して目上の人ではない。
「わかりました、失礼しますー」
「なんて、意味のないことをしたんだ・・・」
地味に妹がインターホン出たところが一番ショックなんだけど。
「はぁ、家に上がるの?」
「いや、もう帰る」
赤石沢は帰っていった。
本当に何だったんだ・・・。
一斉に兄妹二人にちょっかいかけやがって。
そんなに暇だったのかよ。
はぁ、とりあえず家に入って、コーラ渡そう。
その後、妹に。
「なんで、寒いのにコーラ買ってきたの」
と文句を言われ部屋に戻った。
もう今日は家から出ないぞ。
早く、『今日は疲れた一日』で終わってくれ。
翌日10月30日。
そう、ハロウィン!。
袋をもって、近所の家を回るぞ。
冗談はさておき、俺は当然のことなので、学校に向かっていた。
はぁ、もう一度サザエさんがみたい。
なんて事を思いながら。
学校に向かっているところから始まってるけど、道中は何もなかったよ。
自分の教室のある階までも何もかったよ。
回りくどいけど、つまり、自分の教室がある階で何かがあった。
ちょっとざわざわしていた。
すると、行方不明なっていた子が学校に来たという、声が耳に入ってきた。
なるほどね、そういうことか。
まぁ、そんなに俺に関係ないかな、違うクラスみたいだし。
教室でチャイムが鳴るのを待つか。
「・・・・・」
教室に入ると誰もいなかった。
・・・・・・・・・。
ちょっとだけ、様子を見てこようかな。
人だかりができているところをのぞいてみた。
「・・・!!!」
あぁー、これはもう衝撃的ですよ、皆さん。
何が衝撃かというと。
いた、彼女があの吸血鬼が。
ここで思い切り叫びたい。
押さえろ俺、押さえろ。
声に出してはダメだ。
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!
心の中なら大丈夫!。
たとえ、100人が叫んだとしても。
100人叫んでもー、だいじょーぶ。
いや、どうしよう。
「!!」
どうやら、あの吸血鬼もこちらに気づいたらしい。
ラブコメならあいつはパンを加えて俺にぶつかった、少女なんだろうけど。
俺を殺そうとしてたんだよね、あいつは、あの吸血鬼は。
ありえねぇ。
と、とと、とりあえず、ここで話すのもおかしいし、放課後か数日後だな。
今は、教室に戻っておとなしくしてよう。
授業を受けて待とう。
「キーンコーンカーンコーン」
この学校のチャイムの名前、ウエストミンスターの鐘っていうんだよ、知ってた?。
まぁ、そんなことはどうでもよくて。
放課後です。
あの吸血鬼が見あたらない。
はぁ、諦めて家に帰るか。
場所がすぐに変わって申し訳ないけど、家に着きました。
家の前でポケットに手を入れる。
大丈夫、鍵は忘れていない。
はぁ、今日は、早く寝よ。
昨日以上につかれた。
家に入って、部屋に入って、ベッドにダーーーーイブ。
「メキッ」
あっやばっベッドからメキッて聞こえた。
はぁ。
ああ、このまま、寝たい。
「メキメキ」
あっ降りようベッドから降りよう。
「ピーンポーン」
インターホンが鳴った、妹が出てくれるかな?
「お兄ちゃーーん、友達が来たよーー」
出てくれたみたいだな。
本当になんで俺の時出てくれなかったんだ。
赤石沢かな?今日ハロウィンだから何かお菓子を持ってきてくれたのかもしれない。
玄関でドアを開けた。
そこにいたのは、あの吸血鬼だった。
叫ぶのは我慢だ。
「えっとあの・・・」
「・・・・」
「・・・・」
気まずいいいぃぃ。
何で今来たんだ。
家に上がってもらうか?。
いや、それだと、警戒心が無さすぎだな。
でも、こいつと話す内容は誰にも聞かれたくないしなぁ。
仕方ないしあがってもらうか。
「ま、まぁ、とりあえず家に入ってよ、誰かに聞かれてもさ」
「あっ、う、うん、お邪魔しまーす」
軽いな、こいつ。
まーすって。
そんでもって俺の部屋で二人とも正座。
いやぁ、気まずいけれど知りたいことあるからね。
「あっあの、春夏冬・・・ 主冴くん、ごめっ――」
「あ、あぁ、いやいや、謝るとかはいいだろ、お互い許さないだろうし」
「・・・」
まぁ、少なくとも俺は許さない。
ん?あれ?なんでこいつ俺の名前知ってるんだ?
・・・同じ学校だしな、自分で調べたのか?
「じゃあ、聞きたい事があるんだけど答えてくれる?」
「まぁ、うん」
それではどうしようか、何から聞こうか。
何からがいいだろう。
「もともと、お前は人間だったのか?」
「うん・・そうだよ」
「じゃあ、どうやってなった?」
「あの怪物に噛まれたから」
「やっぱりそうか」
「やっぱり・・・?」
「あー、あの後ちょっと色々あってね」
冒頭で言った、今ここで話すべきではない話のことです。
そのことで、あの怪物に関しては全部わかってる。
あとはこの吸血鬼だけ。
「ん、そういえばお前、日光が出てるのに外に出て大丈夫なのか?」
「あーえっと、これは、んーなんというか、吸血鬼っていう超能力のようななものを持っているかんじなんだよね、だから、本体は人間ていうか」
「俺のワープと同じ感じか」
「同じ類かどうかはわからないけどね」
「じゃあ、食事とかは?」
「血とかは吸わなくてもいいよ」
まぁ、色々わかったね。
なかなか、ハイブリッドな吸血鬼だ。
血を吸うために人を殺すとかないし。
吸血鬼から吸血を抜いたら鬼じゃねぇか。
これから、こいつとどういう関係性で接すればいいんだろうか。
同じ学年だしなあ。
うーん、友達でいいのかなあ。
お互い仕方ないで済まされるか?
・・・。
ここは、保留・・・というかどうしようもねぇよな。
「あの、名前とか・・・」
「ん、俺の名前は知ってるだろ?」
「あっいや、私の名前」
「ああ、そうえば」
そういえば聞いていない。
どういう名前だろ。
「海月 和っていうの」
「ふーん」
「あれ、反応が薄い」
そんなに、興味無かったし。
これこのまま警察に突き出せるんじゃねーかな。
名前と学校わかったし。
うーん、一度ニュースで取り上げられたとはいえ、信じてくれるのかな。
「でね、あるじゃない、貸しというか恩というかが」
助けてしまったしな。
「だから・・・助けがいるときは何でも言ってほしいの・・・」
何でもねぇ・・・。
まぁ、法で裁けないしな。
・・・なんか、スタンドみたい。
「そういう気があるなら、・・・わかったよ」
こいつとギャグパートする日とかくるんだろうか。
・・・。
そろそろ帰ってもらうか。
「じゃあ、もう、話す事も終わったし」
「あっうん、そろそろ帰るね」
「あっ危な――」
海月が立ち上がろうとしたとき、よろけてベッドに倒れた。
「バッキィ」
壊れたベッドが。
壊れた!?
ベッドおおおおおおおおお。
いや、俺はベッドにダイブしたからか。
全部が俺の所為じゃないけれど。
「ああ、ああ」
「えっと、あのっ、ごめん」
「あっ、いやっ、うん、大丈夫、お前の所為だけじゃないから」
「えっ」
「というか、毎日使ってるし、このベッドも古かったし」
「本当に大丈夫なの?」
「うん・・・大丈夫だから・・・帰っていいよ・・・」
うん・・・そのあと申し訳なさそうに海月は帰った。
いやーさあ、もう部屋に入れたくねー。
これから、床に布団を敷くか。
これからまた、少しの間睡眠時間が削れそうだ、ぐっすり寝たいよお・・・。
ストレスが溜まっていくのであった。
ちなみにそのあと、赤石沢が来て。
「トリックオアトリート!お菓子どうぞ」
と、玄関で言われた、その台詞だと違和感すげえ。
「あー、せっかく来てくれて悪いけれど、部屋にはちょっと入れられない」
「ん?なんで?」
「んー、えっとー、諸事情」
まさかあんなことがあったなんて言えない。
「あぁ、ベッドに飛び込んだら、ベッドが壊れたのね」
「お前、すげぇな!」
本当にこいつエスパーじゃねぇのか。
まぁ、ちょっと違うけれど。
「ちょっと違うの?」
「いい加減にしろや!」
ああぁ。
溜息つこう。
「はぁ・・・」
「早く『今日は疲れた一日だった』で終わればいいね」
「ああ、そうだな」
「そういえば、今日学校に来た海月さんに春夏冬君の名前聞かれたんだけど、何かあったの?」
・・・お前かあああああ。
なぜ、あいつが俺の名前を知ってると思ったら。
「ああー、まぁ、ちょっとね」
「ふーん?」
流してくれてよかった。
「まぁ、頑張ってね」
「もちろん」
赤石沢に慰められた。
じゃあちょっと気晴らしにそこら辺を歩いてくるか。
「じゃあ、私のジュースを買ってきてね」
「これ以上心をよむなーーー!」
最後まで疲れた一日だった。
続きです、と言っていいかわからないけれど、一か月くらい時間が飛んでるし。
関係ないけれど、最近アメコミの映画ラッシュだね